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平成18年度浜田市人権作品コンクール~最優秀賞・小学校の部「私の妹」

更新:2007年03月06日

小学校5年生

 私の妹は"自閉症"です。"自閉症"とは、脳の中の中枢神経が何らかの理由でうまく機能しなくなっている先天的障害だと、母が教えてくれました。本当のところ、私には難しくてよく分かりません。けれど、妹が他の子と少しちがうところがあるということは、分かります。
 妹は小さい時、なかなか言葉をしゃべりませんでした。母は、「三歳になれば、少しずつしゃべるようになるよ。」と教えてくれました。そして、妹が三歳になった日の朝、話しかけるように「おはよう。」と言ってみました。けれど、妹はずっとだまったままでした。その日母は、予約しておいた病院に妹を連れて行きました。伝えられた病名は"自閉症"でした。母は、どんな気持ちだったでしょうか。
 保育園では、先生がいつも妹についてくれていました。妹が、勝手に部屋を出たり、みんなと同じ行動がとれなかったりして、よくパニックを起こして泣いていました。妹は、人から言われた言葉の理解が難しいのと、妹なりのルールやこだわりのためにパニックを起こしていたようです。だから、話す時にはゆっくりと短い言葉で話しかけるようにしました。そうすることで、妹は私の言葉をだんだん理解してくれるようになりました。
 妹のこだわりは、いろいろなパターンで現れました。例えば、ご飯を食べる時やねる時は、自分が決めた場所でないといけません。そうでないと、とつ然怒り出したりパニックになったりします。そんな時、家の中では「命の危険がないこと」「人に迷わくをかけないこと」「大切な物をこわさないこと」を条件に、妹のこだわりに付き合うようにしています。もし命の危険に関わるようなことを妹がした時は、父も母もきびしくしかります。時には、妹をたたいてでもしかっていました。その時私は、たたかなくても口でしかればいいのにと思いましたが、命の危険を教えるのには、たたかれた痛みよりもっと痛いことになるということを教えないと妹には伝わらないから、と母は言いました。
 命に関わることでなくても、時々妹は、母に怒られます。それは大体、母がつかれている時と重なっています。いつもなら「またやったね。」と言いながら、後片付けしてくれるようなことでも、つかれていると「何度言ったら分かるの。」と、妹をしかりつけます。すると、妹は泣きながら「お姉ちゃーん。」と言って私に助けを求めて来ます。そういう時には、私が母の代わりに、ゆっくりやさしく「ダメよ、お母さんに謝ろうね。」と言います。妹は素直に「うん。」と言って、母に謝りに行きます。
 今では、妹はこんなふうに会話ができるようになりました。でもそれは、妹が小学校に入ってからのことです。それまでは、私の言うことは分かってても返事はできませんでした。ただ、言われた行動は出来るようになっていました。どうも、妹は自分の思いを話すことはできるけれど、人の問いかけに答えるのは苦手なようです。けれど、本の大好きな妹は、本の登場人物を自分や私に置きかえてセリフを交互に言うようになりました。それを生活の中の会話に加えるようになってから、だんだん会話も上手にできるようになってきました。
 会話が上達したのは、妹だけではありません。私もです。私は、妹と会話をしたくて、ゆっくり話したり、短く区切って話したりしました。そうすることで、ずいぶん伝わりやすくなることが分ったのです。妹から教わったと言った方がいいかもしれません。そうしたことは、妹との会話に限ったことではなく、両親や友達との会話でも大切だと思います。人から話しかけられても、あいまいな返事をしたり、よそ見をしながら聞いていたのでは、伝わりにくいということです。
イラスト コミュニケーションが苦手と言われる"自閉症"の妹ですが、校区外通学をしているのに、時々友達が遊びに来てくれます。同じ特殊学級の友達だったり、学年の違う普通学級の友達だったりします。いろいろな友達が来てくれることに、私はびっくりしました。そしてこう考えました。妹の周りには、妹のことをよく理解してくれる友達がいるということ。それから、妹が人の悪口を言わない、人をいじめない子であるということです。ご解されることは多いけれど、妹のパニックの原因やこだわりを分ってもらうと妹も楽しく人と接することができるんだなと思います。
 私の友達も、妹のことを「かわいいね。」と言ってくれます。時々変な行動をして、はずかしいと思うこともあります。けれど、妹がいなくなればいいと思ったことはありません。生まれながらの"自閉症"である妹の姿が、私にとっての"普通"だからです。
 これからも、妹と話す時はゆっくり話しかけたいです。そして一人でも多く、"自閉症"を理解してもらいたいです。

  自分の気持ちを伝えることは難しいなと感じたり、相手の気持ちをわかることも難しいと気付いたことはありませんか。この作者は、妹のあるがままの姿をきちんと受け止め、心を通わせていますね。私達一人ひとりが相手の立場に立ち、気持ちを受け止めていくことが、誰もが、生き生きと輝いて暮らせることにつながるのではないでしょうか。

言の葉に 心をそえて 愛そえて

【この情報の提供元】
浜田市 人権同和教育啓発センター   ( 庁舎配置図人権同和教育啓発センターの提供情報
TEL: 0855-22-2612  FAX: 0855-23-1866  Mail: jinken@city.hamada.shimane.jp
関連項目
浜田市人権作品コンクール
平成17年度
平成18年度
入賞作品(ポスター・作文・標語の部)
最優秀賞・小学校の部「私の妹」
最優秀賞・中学校の部「ひとりひとりの名前にこめられた思い」
平成19年度
平成20年度人権作品コンクール