(地域新エネルギービジョン)第1章 目的と位置付け

更新:2008年03月26日

1.ビジョン策定の目的

  地球温暖化をはじめとする地球環境問題については、国際的あるいは国レベルでの早急な対応が必要なことはもちろんですが、県や市町村単位、さらには私たちの暮らす地域や市民一人ひとりが真剣に考え、環境保全活動を実践していくことが重要です。
  また、エネルギー政策は、これまで国が主導となって推進してきましたが、世界的なエネルギー不足が予想される中、太陽光発電や風力発電、バイオマスエネルギーなどの新エネルギーは、各地域に分散的に存在することから、市町村レベルでの積極的な取組みや石油代替エネルギー確保が求められています。
  環境問題について、国では、1993年11月に「環境基本法」を制定し、翌年12月に「環境基本計画」を閣議決定しました。島根県においても、1997年10月に「島根県環境基本条例」を制定し、1999年には「島根県環境基本計画」を策定しました。
  エネルギー問題について、国では、環境保全に留意しながら、1997年4月に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」を制定し、同年9月に「新エネルギー利用等の促進に関する基本方針」を閣議決定しました。島根県では、1998年4月に「島根県地域新エネルギー導入方針」を策定し、翌年3月には「島根県地域新エネルギー導入促進計画」を策定しています。
  これらを踏まえて、浜田市では、2007年3月策定の「浜田市総合振興計画」において、「地球温暖化対策を積極的に推進するため、太陽光、風力など化石燃料に代わる環境にやさしい新エネルギーの導入に向け地域新エネルギービジョンを策定し、普及、啓発を積極的に進めます。」としています。そして2007年2月策定の「浜田市地域省エネルギービジョン」では、省エネルギーの目標を「2005年度と比べて2010年度には5%削減する。更に、取り組みを継続し、2015年度は2005年度と比べて10%のエネルギー使用量を削減するように努める」こととしています。
  2007年3月に改定された国の「エネルギー基本計画」では、新エネルギーをエネルギー自給率の向上、地球温暖化対策、分散型エネルギーシステム、技術開発による経済活性化などに資するものと位置付け、国民一人ひとりがエネルギー供給に参加する機会を与えるもので地域の創意工夫を活かすことができるものであると意義付けられています。したがって、当面は新エネルギーを補完的なエネルギーとして位置付け、長期的にはエネルギー源の一翼を担うことを目指し推進することとしています。
  今後、本市が持続的な発展を遂げるためには、「浜田市総合振興計画」や「浜田市地域省エネルギービジョン」に基づく環境保全施策を積極的に展開するとともに、地域に存在する資源やエネルギーを有効に活用する資源循環型社会を形成していかなければなりません。
  したがって、本市では、市民と行政、産業分野が一体となって新エネルギーを積極的に導入することにより、地球環境問題やエネルギー問題に貢献するとともに、地域活性化や産業の振興、教育環境の充実などを図るため、「浜田市地域新エネルギービジョン」を策定することとします。
 

2.ビジョンの位置付け

   本市では、「青い海・緑の大地 人が輝き文化のかおるまち」を将来像としてかかげ、新生浜田市のまちづくりの基本指針として「浜田市総合振興計画」を策定しました。この中で、新市のまちづくり大綱として以下のように整理されています。
Ⅰ.健康でいきいきと暮らせるまち
Ⅱ.豊かな心を育む教育と文化を身近に感じるまち
Ⅲ.自然環境を活かした潤いのあるまち
Ⅳ.地域資源を活かした産業を創造するまち
Ⅴ.快適で安心して暮らせる、にぎわいのあるまち
Ⅵ.市民とともに創り育てるまち
   この将来像を実現するために浜田市では、①健康・福祉部門 ②教育・文化部門 ③環境部門 ④産業・経済部門 ⑤建設部門 ⑥市民活動部門 と部門別に様々な施策を展開します。
  本ビジョンは、「浜田市総合振興計画」の環境部門において、地球温暖化対策への積極的な取組みの1つである「地域新エネルギービジョンの策定と取組みの推進」として位置付けられています。また、本ビジョンは、本市における新エネルギー導入の総合的な計画という性格も有します。
   現在、地球温暖化対策の取組みの1つとして、「浜田市地域省エネルギービジョン」に基づいて各種の省エネルギー対策が実施されていますが、本ビジョンは、地球温暖化対策においても省エネルギーと表裏一体をなすもので、相互に関連した施策の推進が必要です。 
   この「新エネルギー」と「省エネルギー」との双方向からの施策展開が、相乗効果を生み地球温暖化防止に役立つものとして、新エネルギー導入に向け普及・啓発を積極的に進めます。
  

3.地球温暖化の現状

(1)世界の二酸化炭素の排出量

 世界各国の二酸化炭素の排出量と国民一人あたりの排出量は表のとおりです。
 
  世界各国の二酸化炭素排出割合 平成15(2003)年

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出典)エネルギー・経済統計要覧 平成18(2006)年版をもとに作成
※グラフの数値は、有効数値の都合上、合計が必ずしも100%にならない場合がある(以下、同じ)。

 
主な国と日本の一人あたりの二酸化炭素排出量 平成15(2003)年

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出典)エネルギー・経済統計要覧 平成18(2006)年版をもとに作成
 

(2)日本に対する影響

  日本では、20世紀中に平均気温が約1℃上昇しました。
  また、地球温暖化による気候の変動が、生態系、農業、社会基盤、人の健康などに多大な影響を与えることが予想され、市民の生活形態が一変するような変化をもたらす可能性があることが、環境省から指摘されています。
   温暖化の影響は、気温の上昇が2~3℃を超えると悪影響が強くなり、5.8℃近くまで上昇すると破滅的な影響をもたらすこともあるといわれていますが、「地球温暖化の日本への影響2001」(環境省 平成13(2001)年3月)によると、今後100年間の気温上昇が、南日本で4℃、北日本で5℃と予測されています。
 
温暖化影響の全体像(日本の場合)

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 出典)「STOP THE 温暖化2004」(環境省)をもとに作成
 
  以下に、独立行政法人国立環境研究所が実施した、地球温暖化が日本に与える影響についての分野ごとの予測結果等を示します。
 

気候への影響

  経済重視で国際化が進むと仮定したシナリオ(2100年の二酸化炭素濃度が720ppm)のもと、昭和46(1971)年~平成12(2000)年と比較した場合の2071年~2100年の平均的な日本の気候は以下のとおり。
 ・地球の平均気温は4.0℃上昇する。
 ・日本の夏(6~8月)の日平均気温は4.2℃、日最高気温は4.4℃上昇し、降水量は19%増加する。
 ・真夏日の日数は平均で約70日程度増加する。また、100mm以上の豪雨日数も平均的に増加する。
 ・地球温暖化で憂慮すべき大きな変化に、雨の降り方がある。これは、降るときは豪雨になり、降らないと日照りが続くという、より極端な天候になると予測されている。さらに問題なのは台風で、発生数は減るものの規模が大型で強い台風が増えると言われている。
 

生態系(動植物)への影響

   今後の地球温暖化の進行により、動植物等の生態系への影響の範囲、程度がともに大きくなると予測される。
 ・北海道アポイ岳のヒダカソウは、ハイマツやキタゴヨウの生息高度の上昇により、早ければ30年後に消滅すると予測される。
 ・3.6℃の気温上昇によって、ブナ林の生息域が大幅に減少すると予測される。
 ・暖冬と積雪の減少で、サルやイノシシなど森林をすみかとする獣の数が増えていくという指摘がある。すでに現在でも、サルやイノシシについては、暖冬の影響で越冬しやすくなって生息数が増え、生息域も拡大してきているとの報告がある。

市民生活への影響

   今後の地球温暖化の進行により(一部は都市化の影響も加わり)、熱中症患者の増加、大気汚染や水質汚染等他の環境問題への影響、スキー産業等への影響の拡大、深刻化が予測されている。また、農業生産への影響も予測され、市民の食卓に変化が生じる可能性も考えられる。
 ・1℃の気温上昇によって、霞ヶ浦ではCOD(化学的酸素要求量)が0.8~2.0mg/l上昇すると予測されている。
 ・3℃の気温上昇によって、スキー客が30%減少すると予測されている。また、冬の積雪量が減少することにより、冬に雪として水分を蓄えておくことができないと、春からの農繁期に用水の確保ができなくなる恐れもある。
 ・気温上昇により、民生・業務部門における冷暖房需要の変化、季節型産業の衰勢に伴う産業部門におけるエネルギー需要への影響が予測されている。
 ・高温のために作れなくなる農作物が出てくる。とりわけ、寒冷な土地でしかつくれない野菜や果樹は、今まで特産地とされた場所で栽培できなくなる可能性がある。また、雑草や病害虫が繁殖しやすくなることも危惧されている。
 ・東京の場合、日最高気温が30℃を超すと、熱中症患者が増加しはじめ、35℃を超えると急激に増加する傾向にあるため、患者数の増加が懸念される。また、気温1℃の上昇により、病原性大腸菌出血性腸炎発症(EHEC,食中毒を引き起こす)の発症リスクが4.6%上昇すると推定されている。

漁港施設への影響

  環境省の「地球温暖化の影響(資料集)」によれば、温暖化で海面が上昇すれば、水深が深くなるだけでなく波の力も大きくなることから漁港施設に対し大規模な対策費が必要になるとあります。これは、全国の平均的な数値でありますが、浜田市にとって大きな影響が予想されます。
 
海面上昇による漁港施設の対策費・予測結果
海面上昇
対策費予測額(億円)
1漁港あたり平均(百万円)
防波堤
係船岸
防波護岸
合計
15cm
5,643
1,903
1,916
9,462
528
50cm
7,096
2,749
2,517
12,361
695
90cm
8,697
4,123
3,017
15,837
893
出典)石川裕康他「地球温暖化に伴う海面上昇が漁港施設に与える影響及びその対策について」2007年3月環境省をもとに作成
 
<太陽熱利用>
 

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(3)島根県及び浜田市に対する影響

浜田市の気象の変化

  浜田市(浜田測候所)の年平均気温の推移をみると、上昇傾向を示していることが伺えます。過去における年平均気温を5ヵ年移動平均(当該年の前後2ヵ年、合計5ヵ年分のデータの平均値)でみると、昭和38(1963)年から平成15(2003)年までの40年間に、約0.6℃上昇しています。このような気温の上昇には、ヒートアイランド現象の影響も考えられます。
   また、近年、マツクイムシ、カシノナガキクイムシによる樹木への被害が激増しており、地球温暖化の影響も大きいと思われます。
 
浜田市における年平均気温の推移

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 出典)気象庁電子閲覧室(浜田測候所)をもとに作成
  
   年間降水量の最近10ヵ年平均値は1,654.4mmであり、日本の年間降水量1,700mmより、やや少なくなっています。降雨特性として近年では、月別降水量の幅が大きくなっていることがあげられます。平成15(2003)年には7月に多く、10月に少なくなっています。平成17(2005)年には7月に多く、6月と8月に少ないといった特徴が見られます。平成16(2004)年には秋の台風の影響で9月と10月の降水量が多くなっていますが、7月と11月にほとんど雨が降っていない状況となっています。
 
浜田市 最近3ヵ年(H15~H17)の月別降水量

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 出典)気象庁電子閲覧室(浜田測候所)をもとに作成


海面上昇による侵食量の予測

   島根県沿岸の砂浜面積は323haと、中国5県の中では鳥取県に次いで広い面積です。
   地球温暖化の影響で海面が30cm上昇した場合には約1/3の砂浜が水没し、227haが侵食を受けるという試算が公表されています。
   この試算結果によると、海面が1m上昇した場合には、県内の砂浜の約85%が水没し、ほぼ100%が侵食を受けることになります。
 
海面上昇による侵食量の予測(島根県沿岸)

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                                                        出典)「地球環境の行方」(環境庁 平成6(1994)年)をもとに作成
 

海面上昇による宍道湖・中海の生態系の変化

   地球温暖化の影響による海面の上昇によって海水の浸入が進めば、海水と淡水の中間にある宍道湖・中海などの汽水湖では、塩分濃度が高まり、生態系が大きく変わることになります。
 

(4) 地球温暖化対策の流れ

 世界、日本、島根県がこれまで行ってきた地球温暖化対策の流れを以下に示します。
 
地球温暖化対策の流れ
 

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(5)地球温暖化対策の今後の施策

    国では、平成17(2005)年に策定した京都議定書目標達成計画に基づき、京都議定書の6%削減約束の確実な達成を図り、地球規模での温室効果ガスのさらなる長期的・継続的な排出削減へと導くため、次のような施策を展開する方針です。
  1. エネルギー起源二酸化炭素に関する対策の推進
  2. 非エネルギー起源二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素に関する対策の推進
  3. 代替フロン等3ガスに関する対策の推進
  4. 温室効果ガス吸収源対策の推進
  5. 京都メカニズムに関する対策の推進
  6. 温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度
  7. 国民運動の展開
  8. 公的機関の率先的取組み
  9. 税、課徴金等の経済的手法
  10. 国内排出量取引
  11. 排出量・吸収量算定手法の改善等
  12. 地球温暖化対策技術開発の推進
  13. 観測・調査研究の推進
   この中で、エネルギー起源の二酸化炭素排出量削減のための施策は1番にあげられています。
   また、7番にあがっている国民運動の展開では、国民一人ひとりによるライフスタイル・ワークスタイルの不断の見直しを促すとされています。
 

4.日本の一次エネルギー供給構造の予測

   一次エネルギー供給構造の中で、二酸化炭素をほとんど発生しない非化石燃料(原子力、再生可能・新エネルギー等)の比率を平成2(1990)年の17.0%から、平成22(2010)年には23.0%まで高めていく予測になっています。
 
<風力発電>

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一次エネルギー供給構造の実績と予測

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バイオマスとは、生物資源(バイオ/bio)の量(マス/mass)をあらわし、エネルギー源として再利用できる動植物から生まれた有機性の資源のこと。

※1  輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料(50万kl)を含む。 
2 未利用エネルギーには雪氷冷熱を含む。
3 黒液(パルプ製造工程の際に出る廃液)・廃材等はバイオマスの1つであり、発電として利用される分を一部含む。
  黒液・廃材等の導入量は、エネルギーモデルにおける紙パルプ・紙加工産業の生産水準に依存するため、モデルで内生的に試算する。
                   出典)「2030年のエネルギー需給展望」(経済産業省)をもとに作成 
【この情報の提供元】
浜田市 定住対策課   ( 庁舎配置図定住対策課の提供情報
電話: 0855-25-9200(直通)  FAX: 0855-23-1866  Mail: teijyuu@city.hamada.shimane.jp
関連項目
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地域省エネルギービジョン
浜田市地域省エネルギー重点ビジョン
地域新エネルギービジョン
第1章 目的と位置付け
第2章 浜田市の概要
第3章 浜田市のエネルギー消費量
第4章 基本方針
第5章 導入プロジェクト
第6章 浜田市の新エネルギー可採量
浜田市地球温暖化対策実行計画書 達成状況(平成22年度分)
浜田市地球温暖化対策推進計画
浜田市一般廃棄物処理基本計画
浜田市環境基本計画
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