「春節」とは、旧正月のことを指します。中国では毎年、春節の日が違います。なぜなら、中国の人々は旧暦に従って農作業を行うため、旧暦の1月1日から15日までは春節と決まっているのです。大晦日に当たる前夜は「年三十」と呼ばれ、1日は「正月初一」、15日は「正月十五」と呼ばれています。
幼い時、春節を過ごす(過年)ほど、楽しいことはありませんでした。春節の時にだけ新しい衣装を買ってもらえたのは、その貧しい時代の一番の楽しみでした。大晦日の朝、早々、親に起こされて公衆浴場まで連れられ入浴しました。それから、新しい衣装を着て、いくらかの爆竹を手にして外へ子供たちと遊びに行きました。線香で爆竹に火をつけ、空へ飛ばした瞬間、パンっという音が幼い私の心まで響いたことを今でも覚えています。また、大人たちは春節の一週間前に様々な準備を始めました。部屋の大掃除、春節の食べ物、年始回りのためのプレゼントなど。過去の一年とさっぱり別れ、新しい一年を大事に迎えようという気持ちが、この一週間に詰め込まれていました。
私の少年時代の春節は、大晦日の夜、家族そろって楽しい話をしたり、おいしいご馳走(年夜飯)を食べたり、テレビ番組を見たりして温かい雰囲気でした。そして、午前0時を過ぎた途端に、外から聞こえる巨大な爆竹の音に起こされました。各家庭とも去年の無事と迎える年の安全を祈念して、惜しむことなく大量の爆竹を空に飛ばしていきました。「新年おめでとう」(過年好)と挨拶すると、お年玉をもらえました。それが何よりの楽しみでした。その後、既に食卓の上に準備された餃子を食べる時間になりました。普段はめったに食べられないので、余計においしく感じました。今でもあの味が忘れられません。それから年始回りなどで楽しい毎日が続きました。
ところで、「正月十五」は「元宵節」とも呼ばれ、「元宵団子」を食べる習慣があります。一家団らんをイメージする丸い元宵団子は、楽しい春節を送り、新しい一年を迎えることを意味しています。
春節は、貧しく乏しいあの時代に、ちょっとした楽しみを持つ子供、その楽しみで満足できる子供にとって、心の宝物でありました。