ここから本文です。

第1 農業経営基盤の強化の促進に関する目標

1 現状及び課題

 本市は、島根県西部の石見地方に位置し、その範囲は、海岸部から標高1,000mを超える中国山地にまで及んでいる。総面積は690.68㎢(「平成30年~令和2年中国四国農林水産統計」より。以下同様。)で益田市に次いで島根県内2番目の広さであるが、81.2%が山林となっており、耕地面積は田、畑をあわせて2,350haと少なく、その多くが中山間地域である。このため、平均耕地面積(販売農家)は1農家(販売農家)当たり87.5aと零細である。また、水田が耕地面積の81.7%を占めており、水稲依存度が高くなっている。

 本市の農業構造については、昭和40年代後半から着手した水田の圃場整備を機に機械の大型化が進み、余剰労働力を他産業に傾注する兼業農家が増加し、専業農家、第1種兼業農家は年々減少する傾向にある。そのような状況において、集落営農の組織化や大粒ぶどう、赤梨、西条柿及び有機野菜の産地化を進めているが、地域によっては、担い手不足等により組織の弱体化や生産者の減少等が発生し、産地維持、農地保全が難しくなっている。

 一方、消費者や食品業界からは有機農産品をはじめとする安全で安心な農産物のニーズが高まっており、需要に応じた生産体制が求められている。

 こうした状況の中でも、将来的な持続性が高まるような農業構造へ移行するため、更なる担い手の育成や担い手への農地集積・集約する取組が必要である。

2 農業振興の方向性

 市の農業の主要な作目は水稲が主であり、そのほとんどが単一経営の兼業農家である。複合経営作目として果樹、大豆、キャベツ、アスパラガス等もあげられるが、農家の高齢化、後継者不足で複合作目の拡大が進まない状況である。しかし、有機野菜、養豚、果樹、施設野菜、肉用牛、花きへの積極的な取組を行っている経営体もあり、今後これらの経営体の育成指導や新規就農者の確保を図る必要がある。

 よって、地域農業の担い手として農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号。以下「法」という。)第12条第1項の規定による農業経営改善計画の認定を受けた個別経営体又は組織経営体(以下「認定農業者」という。)、第14条の4第1項に規定する認定新規就農者(以下「認定新規就農者」という。)、集落営農組織を望ましい経営体の育成施策の中心に位置づけ、各種事業が集中的かつ重点的に実施されるよう努めることとし、市が主体となって関係機関、関係団体にも協力を求めつつ経営体の育成支援を積極的に図るものとする。

また、増加傾向にある遊休農地(荒廃農地)については、認定農業者等への利用集積を図るほか、農外企業による農業参入を推進するなど、積極的に遊休農地(荒廃農地)の発生防止に努める。

 具体的方策として、

 ① 地域農業の担い手について、認定新規就農者、認定農業者、集落営農組織など担い手別の具体的な確保育成目標を掲げ、積極的な取組を行う。

 ② 就農相談(UIターン者含む)、就農意識の啓発活動、農業研修生制度の推進に総合的に取り組むことにより、次世代を担う認定新規就農者の育成と定住定着を総合的に推進する。

 ③ 生産性の向上と農業生産の再編、担い手不足に対応するため、ほ場の排水対策などの条件整備を促進するとともに、機械の共同化と農作業の受委託、集落営農組織の組織化・法人化を図り、過剰投資を防止して農家所得の向上に努める。

 ④ 観光施設及び学校給食等への食材提供による地産地消推進、特産品販売、体験型農業の推進による農業と観光が複合した交流人口の増加を促進し、農家所得向上を図るための事業を展開する。

 ⑤  農産加工施設の有効活用により、農産物の高付加価値化と商品化に努める。

 ⑥ 農産物の品質統一、計画的な出荷体制を確立し、販路確保に努める。

 ⑦  生産性と農産物の品質向上を図るため、有機質堆肥使用等を推奨し、有機栽培により差別化を推進する。

 ⑧ ピオーネ等の大粒ぶどう・西条柿・赤梨・有機野菜の振興作物の産地化及びブランド化による高付加価値型農業を推進するとともに、大豆、キャベツ、あすっこ、アスパラガス、いんげん、なすを振興し、農家所得の向上を図る。

 ⑨ 新開団地及び元谷団地を農業振興の拠点と位置付け、土地基盤整備を進めるとともに、企業的農業経営体の育成に努め、雇用創出を図る。

 ⑩ 農用地の有効活用や荒廃防止を図るため、農用地利用集積を促進し流動化を進めるとともに、農用地の利用集積を進めるに当たっては、農業委員会と連携・調整し、人・農地プラン又は地域計画と一体的に地域の担い手の明確化を図りながら、農地中間管理事業を積極的に活用する。また、弥栄地域において実施する基盤整備事業をモデル事業と位置付け、先に述べた人・農地プラン又は地域計画の実行や高収益作物の栽培を行い、他地域においても農用地の利用の実態に配慮して円滑な農用地の面的集積と集積に伴う基盤整備事業を推進する。

 

  以上、農業経営基盤強化の体制を確立し、農業構造の改善を図っていく。

3 効率的かつ安定的な農業経営についての目標及び確保・育成

(1)効率的かつ安定的な農業経営の基本水準

 市は、地域農業の現状及び見通しのもとに、農業が職業として選択される魅力とやりがいのあるものとなるよう将来の農業経営の発展を図るための目標を明らかにし、効率的かつ安定的な農業経営体を育成することとする。

 具体的な農業経営の指標は、他産業従事者と均衡する年間労働時間で地域の他産業従事者並みの生涯所得に相当する年間農業所得とし、次に示すとおりとする。

目標年次

令和15年(2033年)

年間所得

概ね360万円(主たる農業従事者1人当たりの所得)

年間労働時間

概ね2,000時間(主たる農業従事者1人当たりの労働時間)

 

(2)新たに農業経営を営もうとする青年等の確保・育成に関する目標

 本市で新たに農業を営む者の農業所得・労働時間についての数値目標は、農業経営開始から5年後に農業で生計が成り立つ年間農業所得、年間労働時間とし、次に示すとおりとする。

年間所得

概ね280万円(主たる農業従事者1人当たりの所得)

年間労働時間

概ね2,000時間(主たる農業従事者1人当たりの労働時間)

  目標の設定にあたっては、就農時の年齢や家族構成、就農地域、既存の経営基盤活用の有無、経営作目を勘案し、実現可能な目標とする。

4 農業経営体への支援体制

 市は、島根県西部農林水産振興センター(以下「農林水産振興センター」という。)、島根県農業協同組合いわみ中央地区本部(以下「農業協同組合」という。)、浜田市農業委員会(以下「農業委員会」という。)と農業振興策について一体的に取り組むため、これらが構成員の浜田市農業再生協議会と連携するとともに、浜田市農業再生協議会内に担い手育成部会(以下「担い手育成部会」という。)を設置し、市・農林水産振興センター・農業協同組合により構成される「浜田市農林業支援センター」が中心となり、担い手の確保育成、農業経営の法人化や農業経営安定に向けた取組、並びに、集落営農組織の組織化及び法人化等を積極的に支援していく。

 また、島根県農業再生協議会、浜田地方農林業振興協議会、浜田市農業再生協議会と連携し、その組織の設立目的に沿った農業者への各種支援活動を展開する。

推進体系図

このページを見た方はこんなページも見ています

    CONTACT このページに関する
    お問い合わせ先

    浜田市 産業経済部 農林振興課

    QUESTIONNAIRE このページに関するアンケート

    このページは見つけやすかったですか?
    このページの内容はわかりやすかったですか?
    このページは参考になりましたか?