2020年 9月 17日
9月16日(水)読み聞かせ
エンデの会 山田和夫さん
作品「清兵衛と瓢箪」著者:志賀直哉
主人公「清兵衛」が,飾り物のひょうたんをこよなく愛でる話である。
清兵衛ののぼせ具体は尋常ではなく,ひょうたんを小学校の先生に取り上げられたうえに,親にこっぴどく叱られる。誰しも,子どもから大人になる過程で,何もかも忘れて熱中する時期があるものだと思うが,それが「清兵衛」の場合,飾り物のひょうたん作りだったのだ。
清兵衛が,十銭で買った小ぶりで形の良いひょうたんは,担任の手へ、そして学校の技能員へ,そして骨董屋の主人へと持ち主が変わっていく。あの十銭のひょうたんは,清兵衛の知らぬ間に六千倍の価値に跳ね上がってしまった。人間の心のみにくさが,巧みに金の金額とともに読者に伝わる。清兵衛の純粋な心と対比される大人たちのやり取り。ひょうたんを失うが,絵画という新しい趣味を見つける清兵衛。どちらも,人間らしさが,鋭く表現されている志賀直哉の短編作品である。
読み手の山田さんに,選書の理由を聞くと,「好きなものをとことん好きになってほしい」という願いから読まれたそうです。感染症への配慮を行いながら読み聞かせをしていただくこととなりました。本当にありがたい限りです。
いよいよ,「読書の秋」の到来です。お気に入りの本をじっくりと読み味わってみてほしいと思います。
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