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平成26年度施政方針、教育方針

平成26年度施政方針 

 平成26年3月浜田市議会定例会の開会に当たり、平成26年度の当初予算をはじめとする諸議案の説明に先立ちまして、今後の市政運営に関する私の所信の一端を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

   
施政方針を表明する久保田章市 浜田市長

はじめに

 一昨年12月に誕生した第二次安倍内閣が打ち出した経済政策、いわゆるアベノミクスによって、円安株高に伴う企業収益の増加、国内総生産のプラス成長を生み、日本経済には、景気回復、デフレ脱却に向けた明るい兆しが見えてきました。
 しかしながら、地方においては、景気の上向きや雇用・賃金の伸びにつながらず、依然として厳しい経済状況、雇用情勢が続いています。
 全国的に少子高齢化が加速し、総人口も減少する中、とりわけ当地域での人口減少は著しく、地域活力の低下につながっています。
 このような状況を打破し、「浜田を元気にする」ことを掲げ、先の12月浜田市議会定例会において、任期4年間に取り組む基本方針について申し述べたところであります。
 平成26年度は、「元気な浜田」づくりの「実行元年」と位置付け、3つの政策、すなわち、第一に「産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保」、第二に「子育て支援、教育の充実」、第三に「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」の3つを重点政策として取り組んでまいります。

1.産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保

 まず第一の、「産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保」であります。

◆水産業の振興                

 産業振興では、浜田市の基幹産業である水産業の活性化に、最優先で取り組んでまいります。
 水産業は、漁業のほか、水産加工や流通業者、さらには小売業者など関連産業も多く、大変すそのの広い産業であり、浜田地域の経済に与える影響は大きいものがあります。
 所信表明において、10年後には100億円の水揚高達成を目標に掲げましたが、平成25年の水揚高は52億2千万円と、前年の57億円をさらに下回り、大変、危機感を持っております。水産業につきましては、抜本的な対策を講じていかなければなりません。

 今後、水産業を活性化させるため、次の6つの観点から取り組みたいと考えております。
 その1点目は「地元漁船の存続」、2点目は「県外船の誘致」、3点目は「市場などの施設整備」、4点目は「販路拡大や流通の改善」、5点目は「魚を増やすための魚礁の整備」、最後の6点目は「浜田漁港エリアの活性化」であります。

 まず、1点目の「地元漁船の存続」につきましては、本市の基幹漁業である地元沖合底曳網漁業5ヶ統と、まき網漁業2ヶ統を全船存続させていくため、引き続き、沖合底曳網漁船のリシップ事業への支援と、まき網漁船の老朽化対策を含めた漁業構造改革を推進してまいります。

 2点目の「県外船の誘致」につきましては、大中型まき網船の入港の継続や、いか釣り船などの誘致を推進いたします。誘致に当たっての課題を整理し、誘致を進めるための対策を検討し、講じてまいります。

 3点目に「市場などの施設整備」であります。県外船の誘致を推進し、魚価をあげていくためには、高度衛生管理型の市場(いちば)や冷凍冷蔵庫などの施設整備が必要であると考えます。現在の老朽化した市場(いちば)や冷凍冷蔵庫の整備に向けた検討を始めてまいります。

 4点目の「販路拡大や流通の改善」でありますが、浜田には多種多様な美味しいお魚があります。これまでの「どんちっち三魚」に加え、浜田港で水揚げされる全てのお魚を対象に、新たに「(仮称)山陰浜田港」ブランドを立ち上げ、市内はもとより、広島、首都圏などに積極的にPRを行ってまいります。また、季節ごとに旬の魚を選定し「(仮称)浜田の四季のお魚」として、飲食店などと提携し、観光客が訪れた際、常時提供できる体制を整えたいと考えております。後ほど述べますが、広島プロジェクトチームを設置し、山陽地区をターゲットとした市場開拓、販路拡大を強力に図ってまいります。

 5点目に「魚を増やすための魚礁の整備」であります。
 魚礁の整備につきましては、島根県が平成24年度に隠岐地区2工区、島根地区2工区に大型魚礁を整備され、さらに、国の事業として、隠岐地区において、魚のえさとなるプランクトンを増殖させる「湧昇流施設」の整備が着手されました。浜田沖におきましても、こうした大型魚礁や湧昇流施設の整備について、働きかけてまいります。

 最後に、6点目の「浜田漁港エリアの活性化」についてであります。
 浜田漁港エリアは、水産都市浜田の象徴であり、しっかりと整備していくことが必要であります。浜田漁港エリアを多くの人が訪れる活気のあるエリアにするために、「しまねお魚センター」や「公設水産物仲買売場」の活性化策を検討し、あわせて、「瀬戸ヶ島地区埋立地」の有効利用についても検討を進め、浜田漁港エリア全体の活性化に取り組んでまいります。

 以上の6つの観点から施策を進めてまいりますが、この内、次の3つにつきましては、平成26年度中に、今後の方針を明確にしたいと考えております。

 その1つは、基幹漁業である沖合底曳網漁船のリシップ事業及びまき網漁船の漁業構造改革の方針。

 2つ目は施設整備の方針。例えば、市場(いちば)や冷凍冷蔵庫について、どの程度の規模の整備が必要であるのか、また管理体制をどのような方法で行っていくかなどの検討を進め、施設整備の方針を明確にしたいと考えております。

 3つ目は、浜田漁港エリアについてでありますが、まずは「しまねお魚センター」の活性化と「瀬戸ヶ島地区埋立地」の有効利用の方向性について検討を進め、平成26年度中に、それぞれの方針を固めたいと考えております。

 これらの施策の実施に当たりましては、地元漁業者や仲買の皆さんのご意見を伺い、JFしまね、島根県など関係機関と十分に協議を行い、取り組んでまいります。

◆農林業の振興                

 次に、農林業の振興であります。
 本市の産業の大きな柱の一つであります農林業につきましては、10年先を見越して儲かる農・林業の確立を目指し、取り組んでまいります。

 まずは、3つの項目に重点的に取り組んでまいります。
 その1つ目は、「将来の浜田の顔となる農産物の選定・育成」、2つ目は、「大規模農業に対応できる農業団地の確保」、3つ目は、「農商工連携や6次産業化による農産品の高付加価値化」であります。

 1点目の「将来の浜田の顔となる農産物の選定・育成」でありますが、浜田には、金城のピオーネ、旭の赤梨、浜田・三隅の西条柿など、各地に特色ある農産物があります。これら、既存の農産物に加えて、新たな儲かる農産物を発掘し振興することに取り組んでまいります。大学や食品メーカー等のアドバイスを受けながら、ニーズの高い健康関連の農産物など、新たな儲かる農産物を発掘し振興することにより、農業者の所得の確保と農業意欲の高揚を図り、地域農業の持続的な発展を目指します。

 2点目は、「大規模農業に対応できる農業団地の確保」であります。金城町内にある元谷団地を、しまね農業振興公社から取得し、新開団地と同様の拠点農業団地として整備するなど優良農地の確保に努めます。あわせて、地域の中心的な農業者である認定農業者や新規就農者などが地域ぐるみで取り組む農業を支援するとともに、UIターンを対象としたふるさと農業研修制度や企業参入による担い手の確保と定住人口の増加を推進してまいります。

 3点目の「農商工連携や6次産業化による農産品の高付加価値化」につきましては、儲かる農業の実現に向けて、農商工連携により商品化に取り組む一方、近隣市町と連携して販路開拓を進めてまいります。また、山陽地区への販路開拓に積極的に取り組むため、後ほど述べます広島プロジェクトチームを設置し推進してまいります。さらには、海外についても現在のロシア、台湾に加えて、他のアジア諸国への販売促進に取り組んでまいります。

 林業につきましては、「儲かる林業の実現」と「未利用材の利用拡大」に取り組んでまいります。 
 最初の「儲かる林業の実現」につきましては、石央森林組合や島根県などと連携して、山林の集約化、路網の整備、高性能林業機械の活用を図ることにより木材の生産コストの削減に取り組みます。また、建築用製材や合板用材として利用される杉や桧などを需要に合わせて安定供給できる体制作りを推進し、木材生産の収益性が高められるよう努めてまいります。

 2点目の「未利用材の利用拡大」の取組みにつきましては、木質チップに力を入れてまいります。三隅火力発電所と、平成27年4月から江津市内で稼動予定の木質バイオマス発電において、これまで以上に木質チップの需要が見込まれます。間伐材などの利用されていなかった木材を、木質チップにして燃料資源として供給するなど、その活用に努めてまいります。

◆観光の振興                 

 次に、観光・交流の推進についてであります。
 観光客が増える仕組みづくりとして、観光資源の見直しによる「観光メニューの開発」と「交流人口の拡大」に取り組みます。

 最初の「観光メニューの開発」でありますが、浜田には多くの観光資源があります。伝統芸能の石見神楽、伝統工芸品の石州和紙、美味しいお魚、上質な泉質の温泉、天然記念物の畳ヶ浦、「日本の棚田百選」に認定された「都川の石垣棚田」や「室谷の棚田」。その他にも、広くは知られていませんが、土木学会「選奨土木遺産」に認定された「広浜鉄道のコンクリートアーチ橋群」など、たくさんの「お宝」があります。さらに、まだ知られていない地域の眠れる「お宝」を掘り起こすため、市民公募の「宝さがし」を実施します。今ある観光資源と新たな観光資源をもとに、観光客に来てもらい、お金を使っていただく仕組みづくりに取り組みます。例えば、「神楽の里めぐり」であります。昼間は神楽衣裳や面づくりの工房を見学し、夜は美味しい地元料理を食べ、石見神楽を観賞する。翌朝は、魚市場を見学しお魚を買ってもらう。こうした1泊2日の観光コースを作り、浜田市にお金を落としていただけるような仕組みづくりに取り組んでまいります。

 2点目の交流人口の拡大につきましては、「ようこそ!浜田」運動を推進してまいります。スポーツ大会であれ、イベントであれ、浜田に来てもらい、宿泊していただければ、浜田にお金が落ちます。こうした交流人口を増やす取組みを「ようこそ!浜田」運動として取り組んでまいります。
 そのためには「おもてなし」の心が大切です。宿泊施設、飲食店、タクシー会社など、観光関係者の皆さんに参加していただく「おもてなし研修会」を開催し、さらなる「おもてなし」のスキルアップを図ってまいります。
 そして、情報発信体制も整備いたします。浜田市のホームページをリニューアルし、市外の方に「浜田に行ってみたい」「浜田で見てみたい」「浜田で食べてみたい」など、具体的な魅力やイメージが湧いてくるような情報発信に取り組んでまいります。

◆起業支援

 次に、新たに事業を起こす「起業」の支援についてであります。
 浜田を元気にするためには、既存の事業の発展を図るだけでなく新たな事業の創出が必要と考えております。
 全国的にも、若者に加え、新たな視点を持った女性、これまでの経験や熟練した技術を生かしたシニア層の起業が注目されています。しかし、起業を目指される方の中には、起業の仕方がわからない、資金の調達方法がわからないという方がたくさんおられます。こうした方のために、財務、経営、営業などに関する起業セミナーを開催し、起業を積極的に支援してまいります。
 さらに、起業を目指す方に、立ち上げ時の事務所費用の負担軽減のため、インキュベーション施設の確保に努めてまいります。現在、「いわみぷらっと」の中に事務スペースを備えたインキュベーションルームがありますが、さらに、廃校となった小学校や市内の公共施設、空店舗などの活用を図るなど、インキュベーション施設の充実を検討してまいります。

◆浜田港の利活用               

 次に、島根県唯一の国際貿易港である浜田港についてであります。
 浜田港は、現在、韓国釜山港との国際コンテナ航路が週1便、ロシアウラジオストク港との国際RORO船航路が月2便、定期就航し、その他、木材、石炭を積んだバラ積船が随時就航しています。
 今後とも島根県をはじめとした関係機関と連携し、利便性を高める方策を検討しながら、北東アジアに近いという浜田港のPRに努めてまいります。特に、山陽地区の企業に対しては、アジア・ロシア貿易のセミナーなどを開催し、これまで以上にポートセールス強化を図り、販路開拓、集荷拡大に向け、取り組んでまいります。

◆企業誘致                  

 企業誘致につきましても積極的に取り組んでまいります。
 企業誘致では、まずは広島方面を中心とした企業に対して活動を推進してまいります。高速道路のアクセスと国際貿易港浜田港を有しているという地理的優位性を積極的にPRし、誘致を働きかけてまいります。特に、浜田の農水産物を活用される食料品製造業、浜田港を利用して原材料を輸入している企業や製品を輸出されている企業などに対して、浜田市への工場進出を働きかけてまいります。
 なお、企業誘致を推進するためには、工業用地が必要となります。広島と浜田を結ぶ浜田自動車道に加え、平成28年度には、浜田三隅道路が全線開通となることから、道路状況を踏まえ、工業用地の適地について調査を進めるとともに、必要とあれば、新たな工業用地の造成も検討いたします。

◆県立大学の学部増設              

 企業の誘致だけでなく、教育・研究機関の誘致にも取り組んでまいります。
 島根県立大学に、新たな学部の設置を働きかけたいと考えております。
 具体的には、少子高齢化や過疎問題に関する分野、あるいは、水産業に関する分野の教育・研究を行う学部の設置を提案できないかを、庁内にプロジェクトチームを設置し、県や関係機関の意見も伺いながら検討いたします。

◆広島プロジェクトチームの設置        

 これまで申し上げてきました様々な産業振興事業を推進するに当たり、最大のターゲットは、浜田から車で1時間30分に位置する広島であります。人口120万人、企業が集積し、多くの営業拠点が置かれている広島市場を取り込むことが浜田の発展に不可欠と考えております。
 広島開拓を強力に推し進めるため、平成26年度に広島プロジェクトチームを編成します。産業経済部に新たに「広島開拓室」を設け、広島市内にサテライトオフィスを開設いたします。広島開拓室では、農林水産品の販路開拓、浜田港の利活用、企業誘致などについて、現地で精力的な営業、情報収集活動を展開してまいります。

2.子育て支援、教育の充実

 第二に「子育て支援、教育の充実」であります。

◆子育て支援           

 子育て支援につきましては、次の4点について取り組んでまいります。

 まず第1に、保育所の待機児童ゼロを目指し、「保育施設の充実」と「保育士確保」に取り組みます。
 「保育施設の充実」につきましては、平成27年度の定員増に向けて平成26年度に関係機関と協議し準備を進めてまいります。
 また、施設が増えても保育士が足りないという問題があります。そのため県内外の学校等に通う生徒に対して、浜田市内の保育所等に従事されれば奨学金の返還を免除するという、新たな浜田市独自の奨学金制度を設けて「保育士の確保」に努めます。
 あわせて、年度中途における0歳児受入を拡充する「保育所入所受入促進事業」や、保育従事者の賃金アップを図る「保育士等処遇改善臨時特例事業」を引き続き積極的に推進します。

 第2点目として、「子育て家庭の経済的負担の軽減」に取り組みます。
 現在3歳未満の第3子以降の保育料の軽減を実施しておりますが、負担感の大きい子どもの多い世帯のために、第3子以降の保育料の軽減範囲を「3歳児以上」にも拡充いたします。
 また、児童医療費の助成につきましても、昨年7月に対象者を小学生まで拡充したところでありますが、平成27年度には、さらに対象者を「中学生まで」拡充するよう準備を進めてまいります。

 第3点目として、「放課後児童クラブの充実」に努めます。
 放課後児童クラブは、高学年の入所希望も多いことから、受入れ児童を現在の原則3年生までを、「6年生までの全学年」に拡大します。そのため子どもが安全に安心して過ごせる場所の確保と指導員の確保に努めてまいります。

 第4点目として、「地域ぐるみで子どもを育む取組み」を進めてまいります。子育て支援センター、放課後子ども教室、公民館での各種体験教室などを通じて、地域における子育て支援ネットワークづくりを一層推進してまいります。
 老朽化の著しい、子育て支援センターにつきましては、平成26年度に具体的な建替え計画を検討してまいります。
 浜田市の子育て支援につきましては、主要施策としてこれまで充実に努めてきたところではありますが、その仕組みがわかりにくいとの指摘があります。浜田で子どもを産んで育てるにはどういう支援があるのかを市民の皆さんに理解していただけるよう分かりやすいパンフレット等を作成してまいります。

◆教育の充実                  

 次に、教育の充実についてであります。
 教育の充実につきましては、特に、「国語教育」、「ふるさと郷育」、「あいさつ運動」の3点に力をいれて取り組んでまいります。

 1点目の「国語教育」は、すべての学習の基礎となるものであります。特に「読書」と「作文」に力を入れてまいります。「読書」は多くの知識と豊かな想像力を養い、「作文」は考える力、論理的思考、表現力を育みます。この「読書」と「作文」について力を入れて取り組んでまいります。

 2点目の「ふるさと郷育」につきましては、ふるさと教育の「教」の字を「郷里」の「郷」の字に置き換えた「郷育」という言葉を用いて、「ふるさと郷育」を推進いたします。子どもたちに、ふるさとに愛着や誇りを持たせ、将来地元で働きたい、地元に住みたい、という気持ちを育ててまいります。

 3点目は「あいさつ運動」であります。現代は、「人と上手な人間関係を作る力」が弱まっていると言われています。小中学校で、あいさつ運動を進め、礼儀・マナーを身に付けさせ、相手を思いやる気持ちを育む教育土壌づくりに取り組んでまいります。

以上教育について3点、重点的な取組みを述べましたが、教育方針につきましては、後ほど教育長から申し述べます。

 ※教育方針を後ろに掲載しています。

 

3.高齢者が安心して暮らせるまちづくり」

 重点施策の3つ目は、「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」であります。
 これにつきましては、「医療の充実」、「救急体制の充実」、「高齢者の交通手段の確保」、「介護サービスの充実」、「高齢者の生きがいづくり」の5点について取り組んでまいります。

◆医療の充実

 その1点目は、「医療の充実」であります。
 医師会、医療センターなど市内関係機関同士の連携を密にするとともに、近隣の医療機関と補完し合って、安心して医療を受けられる体制を目指してまいります。
 さらに、今後の増加が予想される在宅医療の対策として、医療・福祉・介護の垣根を越えた連携や、それぞれの地域で活用できる福祉サービスや介護予防教室などを地図上に見える化した「高齢者支え合いマップ」の作成など、高齢者を地域で支える仕組み作りを行ってまいります。
 看護職員の確保につきましては、将来にわたる恒常的な看護職員の確保を目指し、市内の養成学校の定員数の増加やそれに係る教員の確保など教育体制の充実に向け、関係機関等への働きかけを行ってまいります。
 また、潜在看護職員の発掘と離職防止を目的とした「看護師スキルアップラボ事業」では、浜田医療センターにおいて、最近の看護に必要な知識の習得と採血などの実技演習を組み込んだ復職支援研修を行っております。平成26年度からは、研修の申し込み窓口を浜田市に置き、復職希望者のきめ細かいニーズ把握を行うことにより研修内容の充実を図り、今まで以上に自信を持って医療現場に復帰していただけるよう取組みを進めてまいります。
 現在、浜田市には、看護を目指す若者が利用できる奨学金として「浜田市奨学金制度」及び「浜田准看護学校学生修学資金制度」がありますが、さらに有効な支援制度について検討してまいります。

◆救急救命体制の充実 

 2点目は、「救急体制の充実」であります。
 現在、浜田市における救急車の平均到着時間は、県内でもトップクラスの8分17秒であります。
 しかし、救急需要の増加に伴って、近時、遅延傾向にあります。現在、年間約3,000件近くある需要がこのまま増え続けますと、さらに遅延が予想されます。
 また、市域の広い浜田市では、地域的な差も生じております。
 このたび、偏在していた金城出張所を移転し、本署及び出張所間の出動範囲を見直すなど、消防力の均衡を図ることにより、引き続き、「救急車到着8分体制」を堅持いたします。
 さらに、現場における必要な救命処置の実施と、ドクターヘリの有効活用を図るとともに、「まちかど救急ステーション」認定施設の拡大やAEDを用いた心肺蘇生法の普及などにより、市民と連携して、地域で安心して暮らせる救急救命体制を整えてまいります。

◆交通手段の確保               

 3点目として、「高齢者の交通手段の確保」に努めてまいります。
 本市は、広大な中山間地域を有しており、自家用車を運転できない高齢者の通院や買い物に対する体力的・経済的な負担は大変大きいものと考えております。
 そのため、まずは、小規模・高齢化集落等、緊急的に支援が必要な地域における高齢者利用補助制度を試行的に実施し、高齢者が安心して通院や買い物ができる環境づくりに努めてまいります。
 また、既存の交通手段の利便性向上に加え、高齢社会に対応した持続可能な地域公共交通への転換を図るため、交通体系の再編に向けた研究を島根県立大学の力も借りながら進めてまいります。

◆介護の充実                 

 4つ目として、「介護サービスの充実」に取り組んでまいります。
 市民の皆さんから特別養護老人ホーム等の整備拡充を望む声が多いと認識しております。
 特別養護老人ホームについては、平成26年度に新たに30床を増やします。これに加え、平成27年度以降のさらなる増設に向けて、介護保険料などの課題を整理しながら検討してまいります。
 あわせて、在宅サービスの充実にも努めてまいります。
 介護が必要となっても在宅での生活を希望される方も多くおられる中、在宅生活を支える新しいサービスとして24時間対応の訪問介護・看護サービスが始まります。さらに必要な在宅介護サービスの充実に努めてまいります。
 また、退院時の支援や日常の療養支援などを含め介護と医療の連携を強化し、在宅生活を支援するシステムの構築を推進するとともに、引き続き、認知症に関する理解の普及や重度化予防に取り組んでまいります。

◆高齢者の生きがいづくり             

 5点目は「高齢者の生きがいづくり」であります。これにつきましては、特に、軽スポーツの普及とボランティア活動への参加を推進してまいります。
 軽スポーツでは、グラウンドゴルフなど、高齢者が好まれる軽スポーツの一層の普及を図ってまいります。
 ボランティア活動につきましては、公民館等がコーディネート役をつとめ、学校の授業や登下校の見守りなどのボランティア活動をはじめ、各種のボランティア活動に、元気な高齢者の皆さんが参加できるよう努めてまいります。
 こうした活動を通して、高齢者の皆さんが、生きがいを持って暮らせるまちづくりを進めてまいります。

 

◎市政運営に係る重要な事項

 次に、これまで述べました重点政策のほか、市政運営に係る重要な事項について申し述べます。

◆各自治区のまちづくり

 最初に、各自治区のまちづくりについてであります。
 浜田市には、5つの自治区があります。各自治区において、それぞれの特色を活かしたまちづくりを進めてまいります。

 金城自治区では、「大規模農業の拠点づくり」と、「温泉・レジャーを核としたまちづくり」を進めてまいります。
 大規模農業の拠点づくりにつきましては、新開団地に続き元谷団地を新たに整備し、企業参入や意欲ある若い担い手の育成に取り組んでまいります。
 金城自治区には、美人湯として名高い美又温泉があります。広島をはじめ、全国から温泉客が来ていただけるよう、誘客につながる魅力あるプランづくりを支援してまいります。ホースセラピーに取り組むかなぎウェスタンライディングパークやゴルフ場、体験農園などとも連携し、交流人口を拡大するまちづくりを進めてまいります。

 旭自治区は、広島に最も近いという立地を活かして「温泉・レジャーなどの観光」と「島根あさひ社会復帰促進センターを核としたまちづくり」に取り組んでまいります。
 石垣棚田など日本の原風景の広がる自然環境と温泉、スキー場などの観光資源を山陽方面に積極的にアピールし、旭インターチェンジを玄関口として、受入れ態勢を整えます。
 本年、リニューアルオープンする旭温泉「あさひ荘」や旧木田小学校の木造校舎を活用し、交流人口の拡大にも努めてまいります。
 同時に、産直施設への出品拡大や農林産物の生産販売を強化し、農家の所得向上を図ります。
 一方、「島根あさひ社会復帰促進センター」との連携では、旧今市分校の木造校舎を、新しい住民との交流拠点として整備するほか、受刑者の社会復帰を目指し、地域との共生プログラムや、出所者の就労支援にも、地域とともに取り組んでまいります。

 弥栄自治区では、「農業生産と加工」、そして「体験交流」を通じた定住人口の増加に力を入れてまいります。
 自然環境を活かした、弥栄米や大豆、有機野菜、和牛、原木椎茸などの増産と、現在取り組んでいるどぶろくや味噌、漬物類などの農産物加工に加え、今後、新たにいのしし肉などの加工に取り組んでまいります。
 弥栄自治区では、従来よりIターン者の受け入れを積極的に行ってきており、引き続き若い農業者の受入れも進めてまいります。
 また、ふるさと体験村を活用したソバ打ち体験、自然とのふれあい体験、地域と連携した宿泊型の体験交流に、積極的に取り組み、定住人口の増加に努めてまいります。

 三隅自治区では、「文化・教育に根ざしたまちづくり」と「三隅発電所を核としたまちづくり」に取り組みます。
 石正美術館、和紙会館、リハビリテーションカレッジ島根など芸術・文化・教育施設を活用した文化・教育に根ざしたまちづくりを推進します。
 三隅発電所2号機の早期着工と関連事業の展開など、三隅発電所を核にしたまちづくりを進めます。
 また、バイオマス発電についても、森林資源を活かした雇用の場の確保策の一つとして、当地域においても実施できないか、検討してまいります。

 浜田自治区は、「水産業と水産加工」、「商業」、「文化・歴史」、「観光・交流の拠点」という4つの観点からまちづくりに取り組んでまいります。
 「水産業と水産加工」では、基幹産業である水産業の活性化を、「商業」では、中心市街地の商業施設の充実による賑わいの創出を、「文化・歴史」では、知の財産である島根県立大学、郷土芸能である石見神楽、島根県指定史跡でもある浜田城跡など多くの文化的、歴史的な資産の活用を考えてまいります。また、「観光・交流」では、浜田自治区においては多くのホテル、旅館があることから、浜田市全域の観光交流における宿泊の受け皿となるよう、施設の充実を図ってまいります。
 なお、浜田自治区においては、将来を見据え、旧浜田市街地を3つのゾーンに分けて市街地整備に取り組んでまいります。
 その1つは、浜田漁港及び瀬戸ヶ島周辺を、海、お魚を活かした魅力ゾーンにする。2つ目は、浜田城周辺を文化・歴史ゾーンにする。文化・歴史ゾーンは、5年後の平成31年に、浜田藩開府400年を迎えることから、これに向けて整備を行ってまいります。そして、3つ目が、浜田駅周辺を市民が集う商業賑わいゾーンにすることであります。こうした3つのゾーンに分け、元気な浜田のまちづくりを検討し、平成26年度中に開発の方向性をお示ししたいと考えております。

◆自治区制度                 

 次に、自治区制度についてであります。
 浜田那賀方式自治区制度は、平成27年度に見直しの時期がまいります。
 制度の見直しに当たりましては、個性あるまちづくりを進めるという制度の精神を尊重し、各自治区の個性や現行制度の課題を踏まえた上で、地域が活性化する制度としてどのような形で存続できるかを検討してまいります。検討に当たりましては、制度の根幹を成している「自治区長」、「地域協議会」、「本庁・支所」、「自治区予算」及び「自治区事業」の5項目をはじめとした課題を整理した上で、平成26年6月下旬頃から8月にかけて「(仮称)自治区制度公聴会」を各自治区で開催し、多くの市民の皆さんの意見を伺いながら、平成27年3月頃には次期制度の方針決定ができるよう取り組んでまいります。

◆安全で安心なまちづくりの推進      

 次に、安全で安心なまちづくりの推進についてであります。
 まず、最優先課題といたしまして、昨年の豪雨災害で被災した道路、河川、農地・農業用施設の本格的な復旧工事に取り組んでまいります。
 災害復旧の体制といたしましては、復旧工事が着実に実行できるよう、本庁と支所の建設部門から土木技術職員を集め、金城支所内に災害復興室を設置しております。
 復旧工事を少しでも早く進めることができるよう、現在、島根県をはじめ、松江市、出雲市、県土地改良事業団体連合会に協力を求め、技術職員の派遣を受けるなど、万全の体制を整えております。こうした各方面のお力もお借りしながら、早期復旧に努めてまいります。
 今後の防災・減災対策の強化につきましては、新たな「地域防災計画」を基に、各種対策に取り組むとともに、消防団の活性化や自主防災組織の設立・育成など、地域防災力の向上に努めてまいります。
 特に、避難所の安全性や運営体制、要支援者の避難方法などの課題につきましては、地域の皆さんのご意見を伺いながら、一緒になって検討してまいります。
 頻発するゲリラ豪雨等の災害に対し、地域における初動の対応力強化を図るために、災害図上訓練や危険予知訓練等の実施により、消防団員の更なる資質向上を目指すとともに、安全装備品や活動資機材の充実等、環境整備に取り組んでまいります。
 防犯対策につきましては、島根県立大学生の悲惨な事件を風化させることなく、だれもが安全で安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指し、「声かけ・明るいあいさつ運動」、「見守り活動」、「門灯点灯運動」を重点運動として取り組んでまいります。
 こうした取組みにつきましては、日頃から積極的に活動いただいております青色防犯パトロール隊や子ども見守り隊などの防犯活動団体、事業者などと連携し、推進してまいります。
 米軍機訓練による騒音等の問題につきましては、引き続き、米軍機騒音等対策協議会を中心に、島根県と一緒になって、訓練中止を訴えてまいります。

◆障がい福祉施策          

 障がい福祉施策につきましては、「福祉サービスの向上」と「福祉医療費助成の拡充」に取り組んでまいります。
 「福祉サービスの向上」につきましては、相談支援専門員を増員するなど相談支援体制の充実を図るとともに、就労支援の推進により障がい者の社会参加促進に取り組んでまいります。
 さらに、浜田市内で初めてとなる障がい児の放課後デイサービスが平成26年度から始まりますので、円滑な事業開始ができるよう支援してまいります。
 次に、「福祉医療費助成の拡充」につきましては、本年10月から島根県の助成制度拡充に伴い、精神障がい者への対象者拡充と自己負担の軽減を図ってまいります。

◆社会基盤の整備                 

 次に、社会基盤の整備についてであります。
 治水対策につきましては、二つのダム事業の推進に努めてまいります。
 一つは、現在工事が進められている第二浜田ダムで、平成27年度の完成を目指し、これにより浅井川を含めた浜田川流域の治水安全度の向上を図ります。
 もう一つは、三隅川流域の治水事業として計画されている矢原川ダムであります。事業の採択と早期の事業着手に向け、関係機関と協力して働きかけてまいります。
 山陰自動車道につきましては、浜田三隅道路の原井・西村間が平成26年度末に開通いたします。引き続き、西村・三隅間及び三隅益田道路の事業促進と、重要港湾浜田港と高速道路を直結する臨港道路福井4号線の事業促進に努めてまいります。
 また、自治区間を結ぶ県道ネットワークや市道等生活道路整備につきましても、計画的な整備を進めてまいります。

◆生活環境の整備         

 生活環境の整備につきましては、「簡易水道の上水道事業への統合」、「下水道事業の推進」、「指定ごみ袋の簡素化」の3つの事項について取り組んでまいります。
 まず、水道事業につきましては、平成28年度末に計画しています「簡易水道の上水道事業への統合」に向け、三保・三隅統合簡易水道事業や金城統合簡易水道整備事業などを引き続き進めてまいります。
 また、統合に伴い発生する水道料金の改定につきましては、市民生活にできるだけ影響しないよう激変緩和措置を取り入れてまいります。平成26年度は、水道料金審議会に料金改定を諮問し、その答申に基づき激変緩和対策期間及び財源について方針決定してまいります。

 次に、2点目の「下水道事業の推進」につきましては、旭・白角地区の整備完成を目指すとともに、国府地区の整備を引き続き進めてまいります。
 市街地の整備につきましては、現在行っています公共下水道基本計画の見直しに基づき、都市計画法等の法的手続きの準備を進め、平成28年度の事業着手に向けて取り組んでまいります。

 3点目は、浜田市の「指定ごみ袋の簡素化」についてであります。
 市民の皆さん、特に高齢者の方から、ごみ袋の種類が多く煩雑で分別も難しいとのご意見をいただいております。平成26年度は、まず、ごみ袋の簡素化の検討を進め、平成27年度を目途に、現在5種類13サイズのごみ袋の種類の簡素化を行ってまいります。

◆人権尊重のまちづくり             

 次に、人権尊重のまちづくりであります。
 人権尊重のまちづくりの推進につきましては、「浜田市人権教育・啓発推進基本計画」に基づき、社会全体の人権意識の高揚を図り、一人ひとりが人権尊重の意識を持って行動できる社会の実現に向け、取り組んでまいります。
 特に、平成26年度は、「浜田市人権尊重のまちづくり推進大会」の開催を予定しており、より一層の啓発に努めてまいります。

◆行財政改革                

 次に、行財政改革についてであります。
 厳しさを増す財政状況の中で、限られた行政資源を有効に活用できるよう、行財政改革を進めてまいります。
 組織機構につきましては、政策企画及び産業経済部門の機構改革とともに、職員の重点配置を行い、「元気な浜田をつくる」ための組織体制を強化してまいります。
 一方、限られた職員数の中で機能的・効率的な行政運営を行うことができるよう、支所三部門化を進めるとともに、業務の一元化やアウトソーシングなどを積極的に推進してまいります。
 公共施設の配置の見直しにつきましては、「公共施設白書」を基に、平成26年度中に「公共施設再配置計画」の素案を作成いたします。平成27年度以降、市民の皆さんのご意見を伺いながら、公共施設の統廃合による効率化や有効活用について検討を行ってまいります。

◆当初予算案と財政運営             

 最後に、平成26年度当初予算(案)についてであります。
 市長就任後初の予算編成ということで、予算要求に当たっては、新規施策等の実現を図るため、投資的経費の一部見直しや先送りをする一方で「元気な浜田枠」を設け、今後の重要政策の推進に必要な事業費を重点的に計上しております。
 さらには、継続事業である、国府小学校や長浜西住宅の建設といった大規模事業が重なったこともあり、一般会計の予算規模は 393 億円、平成25年度と比較して、金額で 10 億円の増、率にして 2.6% の増と市町村合併以降において最大規模となりました。
 「元気な浜田」を創るためには、必要な投資は必要な時期に集中して行わなければなりません。したがって、ここ2、3年は、予算規模が拡大するものと考えておりますが、一方で、削るものは削るという姿勢で、行財政改革の推進にもしっかりと努めてまいりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

最後に

 冒頭で申し上げましたとおり、平成26年度は、元気な浜田づくりの「実行元年」であります。
 本市を取り巻く情勢が厳しさを増す今だからこそ、集中的に施策を投下し、元気な浜田づくりをスタートさせなければなりません。掲げる目標の達成は、簡単なことではありませんが、市長以下、職員が一丸となって、全力で取り組んでまいります。
 議員各位におかれましても、一層のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

平成26年度教育方針

 私は、市長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、平成26年度の教育方針を申し述べ、皆さまのご理解をいただきたいと思います。


教育方針を表明する石本一夫 教育長

はじめに 

 昨年8月に開館した中央図書館の来館者は、12月17日には10万人を超えました。予想を上回る入館者があり、市民の皆さんが新しい図書館を熱望されていたことを改めて感じるとともに、今後、図書館が市民の皆さんのニーズに応えるような施策を重視してまいりたいと考えております。
 さて、教育を取り巻く環境は日々変化しております。平成25年6月28日には、今、大きな社会問題となっているいじめ問題に対処するため、いじめ防止対策推進法が成立いたしました。
 いじめは、子どもたちの教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、生命や身体にも重大な危険を生じさせる恐れがあります。
 浜田市においては、いじめ防止等の対策を総合的かつ効果的に推進するため、新法に基づいていじめ防止の基本方針を定めてまいります。いじめは絶対に許さないという強い信念のもと、学校と家庭、地域、その他関係機関と一体となって、いじめられている子どもたちを徹底して守り抜くとともに、いじめている子どもたちの心の奥底にある不安感を取り除く関わりで、いじめ問題の根絶に全力をあげて取り組みます。
 その取組を四輪駆動車に例えますと、前輪は、自分の良さを活かして生きていく「個人」の面と、社会の一員として自分の役割を見い出し、みんなと共に生きていく「公共」の面の両輪。そして、後輪は、人は人によって人になる「不易」の面と、ネット社会の中で生きていく「流行」の面の両輪。この四つの車輪がバランスを取りながら目的地に向かう教育推進車に浜田の子どもを全員乗せてやることであります。
 そして、運転手は学校では教職員、家庭では保護者、地域では近隣の方や行政職員であり、運転には危険予知能力や人権感覚の免許証が必須であります。車の燃料には、運転手同士がそれぞれの役割を分担し、共有化したうえでの連携が、非常に重要であります。
 教育委員会では、学校、家庭、地域が一体となって、浜田市教育振興計画~はまだっ子プラン~に掲げた基本理念である「人とつながる喜びや、学ぶことの楽しさを通じ、社会の中で自立して生きることのできる子どもの育成」を柱に、諸施策の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 また、先程市長が申し述べました教育の充実に関する3つの取組、「国語教育」、「ふるさと郷育」、「あいさつ運動」につきまして、市長の思いを受け、教育委員会として、積極的に取り組んでまいります。

◆学校教育

 学校教育につきましては、社会教育とも連動しながら人が生きていく上で非常に重要な「困難な状況」から「立ち直る力」も兼ね備えた子どもたちの「生きぬく力」の育成に向けて、引き続き、知・徳・体のバランスのとれた教育の推進に取り組んでまいります。
 「知育」につきましては、全ての学習の基礎となる国語教育をより充実し、子どもたちに多くの知識、論理的思考、考える力、豊かな感性を身につけさせるため、「読書」・「作文」・「調べ学習」を中心にして、知識を個々の体験に結びつけて表現できる言語活用能力のさらなる育成に努めてまいります。
 そのためには、学校図書館司書の活用が大きな課題であり、司書教諭と学校図書館司書の連携が十分図られるよう、市独自の指導主事を配置して支援してまいります。
 また、子どもたちには、読書ノートを無料配付し、活用することで、意欲を持たせながら読書と書く活動の充実に努めてまいります。さらに、読書・作文や調べ学習を充実させるために、市独自の研究指定校制度を設け、研究発表会を開催してまいります。
 また、学力向上に向けて、「家庭学習時間の確保」・「メディア接触時間の適正化」・「教員の授業力向上」の3つが大きな課題と認識しており、子どもの発達課題に対応できる小中一貫教育の視点を重視しながら、家庭や地域とも連携して課題解決に努めるとともに、研修の充実などにより教職員の資質の向上を目指してまいります。

 「徳育」につきましては、人権意識や道徳心を育むことを基本に据え、様々な体験活動を通じて、あいさつ、礼儀、マナーを身につけさせるとともに、相手を思いやり、将来の夢や目標を持ち、人と好ましい人間関係をつくることができる子どもの育成に努めてまいります。
 特に、あいさつ運動につきましては、自分から進んであいさつをすることのすがすがしさやあいさつを交わすことの心地よさを体感させるような取組を進めてまいります。また、標語を作成したり、のぼり旗を設置したりすることで、家庭や地域に対してもあいさつ運動が広がるよう啓発に努めてまいります。
 ふるさと郷育につきましては、浜田市では、ふるさと教育の「教」の字を「郷里」の「郷」の字に置き換えた「郷育」という言葉を用いてふるさと教育を推進したいと考えております。
 いったんは都会などに出ても、いつかは地元に帰りたい、地元に貢献したいという気持ちを育てることが重要と考えております。そのために子どもの頃から豊かな自然の中での体験活動を行ったり、地域の行事へ参加することで長く受けつがれた伝統・文化に触れる機会を持たせ、ふるさとを愛する心が育つような取組を進めてまいります。

 「体育」につきましては、「1日1時間以上体を動かそう!」を合い言葉に、島根県において学校・家庭・地域が連携した仕組み作りに取り組んでおりますので、その成果を共有し、子どもたちが運動に親しむ環境作りに努めてまいります。
 

◆いじめなどの問題行動や不登校等への対応、特別支援教育の充実

 一方で、教育現場ではいじめなどの問題行動や不登校等への対応、特別支援教育の充実がより大きな課題になっております。
 いじめ問題につきましては、いじめ防止基本方針を定めて、学校・関係機関・地域の連携を図りながら防止に努めてまいります。
 不登校につきましては、さまざまな要因に対応するため、医療や福祉分野との連携を図るスクールソーシャルワーカーや訪問指導員を引き続き配置して学校を支援してまいります。
 特別支援教育につきましては、特別な配慮を必要とする子どもたちに対して本人と保護者の意見を尊重しつつ適切な支援を行うために、早期からの教育相談を強化してまいります。
 このような教育課題に対応するため、昨年4月に教育委員会内に児童生徒支援室を設置し、学校の支援体制及び保護者の相談体制を強化してまいりましたが、引き続き、きめ細やかな対応に努めてまいります。
 また、多忙な学校現場を支援するため、ICTを活用した学校事務共同実施をさらに進め、教職員の事務負担や授業づくりの負担軽減を図ってまいります。
 子どもの安全、安心な教育環境づくりに関してましては、青色防犯パトロールや子ども見守り隊などの地域ボランティアと連携して安全指導、見守り活動を継続してまいります。また、防犯教室や不審者対応訓練などに併せて防災教育や避難訓練も充実させてまいります。
 さらに、経済的な理由で就学が困難な子どもたちには、奨学金の貸与を行い、子どもたちが教育を受ける機会を失うことのないよう、制度の更なる周知を図ってまいります。

◆学校、学校給食施設の統合

 学校統合につきましては、平成26年中に東部統合小学校の新校舎が完成いたします。上府小学校、国府小学校及び有福小学校の3校を統合して新たに設置する国府小学校の平成27年4月の開校に向け、学校や保護者はもちろんのこと、地域の皆さんとも連携し、円滑な学校統合を果たせるよう準備を進めてまいります。
 また、本年3月末に和田小学校及び市木小学校の2校が閉校となります。新たな学校に通学する子どもたちが、不安なく学校生活を送ることができるよう、学校と連携を取りながら見守ってまいります。

 学校給食施設の統合につきましては、平成25年度から実施している「公共施設適正化推進事業」の経過等を踏まえながら、引き続き検討してまいります。

◆幼稚園教育

 幼稚園教育につきましては、原井幼稚園と石見幼稚園の統合を当面の間、延期としております。
 現在、子ども・子育て関連3法に基づく「浜田市子ども・子育て支援会議」が設置され、浜田市の幼児期の教育及び保育のあり方について検討を進めております。その過程の中で公立幼稚園のあり方を、統合幼稚園の建設も含め、検討してまいります。
 

◆生涯学習及び社会教育の推進

 生涯学習及び社会教育の推進につきましては、公民館を地域の拠点施設として、公民館が培ってきた地域の「ひと・もの・こと」を結集し、地域課題の解決に向けた住民の主体的な学習・実践活動をより一層支援してまいります。
 また、小中学校への支援と地域の教育力を高めることを目的に、中学校区ごとに設置した学校支援地域本部の活動の充実や、放課後などの児童の居場所づくり、「親学プログラム」の一層の推進など家庭教育の支援に取組み、地域ぐるみで子どもを育む意識の醸成に努めてまいります。

◆公民館の役割

 一方、まちづくりにおける公民館の役割につきましても、浜田市社会教育委員の会の「浜田市の公民館のあり方、めざす姿について」の提言でありました「まちづくりの支援をする公民館」をめざして、住民自治組織や各種団体との協働・連携のあり方を市長部局のまちづくり担当部署と協議してまいります。

◆スポーツの振興

 スポーツの振興につきましては、浜田市体育協会、スポーツ少年団及びスポーツ推進委員等と連携し、競技水準の向上と生涯スポーツの推進を図ってまいります。特に、高齢者の軽スポーツの推進につきましては、公民館と連携しながら普及を図るとともに、関係団体をはじめスポーツ推進委員等と地域における推進について協議を重ね、高齢者の軽スポーツ推進計画の策定をめざし、高齢者の生きがい活動へつなげてまいります。
 また、地域の宝である子どもたちが夢を持つことの素晴らしさや努力することの重要性を学ぶため、現役あるいは元プロスポーツ選手からの指導及び学校での授業等を推進いたします。
 スポーツ施設につきましては、大規模な施設の改修を要する施設の今後のあり方について、スポーツ推進審議会からの意見を集約し、今後の利活用の方針を検討いたします。

◆図書館

 図書館につきましては、従来の図書館サービスの充実を図りながら、生活に役立つ図書館として、多様化・高度化している市民の皆さんからの幅広い要望に対応するため、情報発信の拠点として、資料や情報を計画的、積極的に収集し、提供いたします。
 また、生涯学習を支援する図書館として、生涯にわたる市民の皆さんの学習、課題解決及びさまざまな知的好奇心に応えるとともに、また、子どもが一番身近な図書館である学校図書館への支援や、子育て支援につながるサービス、障がいのある方へのサービス等を行い、あらゆる市民の学習活動を支援してまいります。
 さらに、誰もが安心して、気軽に利用できる図書館として、中央図書館と各分館との連携を深め、浜田市全域の図書館サービス網の整備と施設の整備に努めてまいります。

◆青少年の健全育成

 青少年の健全育成につきましては、少年団体や育成団体などの主体的な活動を支援するとともに、公民館や自治会など地域全体で子どもを育む機運の醸成に努めます。また、ひきこもりやニート、不登校など社会生活を円滑に営む上での様々な困難を抱えた子ども・若者に対しましては、青少年サポートセンターを総合相談窓口として、「浜田市子ども・若者支援地域協議会」を中心とした関係機関との連携を密にして、健やかに成長し自立した生活が送れるよう、効果的な育成支援に取り組んでまいります。

◆芸術文化の振興

 芸術文化の振興につきましては、石正美術館、世界こども美術館、石央文化ホールなど拠点施設との連携を図りながら、優れた芸術鑑賞の機会や創作活動の場を提供し、文化の創造の基礎となる感性を醸成することに努めてまいります。
 また、市内には、多種多様な文化・芸術活動等を行う皆さんや各種団体があり、それぞれ活発な活動を展開されております。浜田市の芸術文化がさらに発展するよう応援するとともに、連携を図って、振興・発展に取り組んでまいります。
 なお、石央文化ホールは開館から20年が経過いたしますが、今後も長期的に供用できるよう施設の改修に努めてまいります。また、石央文化ホール開館20周年記念事業として開催される、島村抱月を題材とした市民創作ミュージカルを支援し、ふるさとの偉人の伝承、芸術文化の振興と舞台芸術の人材育成に努めてまいります。

◆文化財

 文化財につきましては、貴重な文化遺産の保護・継承と情報発信に努めるとともに、御便殿や歴史民俗資料館等の有効活用や関係団体と連携して郷土意識の醸成に取り組んでまいります。
 また、ユネスコ無形文化遺産の石州半紙に関しましては、全国重要無形文化財保持者団体協議会の第23回浜田大会を開催するとともに、「碧い石見の芸術祭2014」と連携しながら、石州和紙を使用した日本画や造形作品のデザインコンペを開催するなど、その価値について市内外にPRするとともに、技術の保持について支援してまいります。

◆人権・同和教育

 人権・同和教育につきましては、人権尊重の精神を全ての教育の基底に据えた取組を推進してまいります。子どもたち一人ひとりの人格や個性の違いをお互いに尊重し合い、自分の大切さとともに他人も大切にすることができる心の育成と態度や実践力の醸成に努めます。そのため、同和問題をはじめとしたさまざまな人権課題の解決に向けて、学校・家庭・地域・関係機関や団体などとの連携を深め、地域ぐるみで感性豊かな子どもたちを育み、人権・同和教育の推進を図ります。

 
 以上、平成26年度の教育方針について申し述べましたが、これらの方針、施策を実現していくために、教育委員会は、市長との連携を密にして、学校や家庭、地域の理解と協力を得て取り組んでまいります。

 議員並びに市民の皆さまには、一層のご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

 

 

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