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平成27年度施政方針

 

平成27年度施政方針 

 平成27年3月浜田市議会定例会の開会に当たり、平成27年度の当初予算をはじめとする諸議案の説明に先立ちまして、今後の市政運営に関する私の所信を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

      

施政方針を表明する久保田章市 浜田市長

 

はじめに

 日本経済は、安倍内閣が推進する経済政策「アベノミクス」の下、企業収益の拡大と賃金上昇、雇用拡大が結びつく経済の好循環が生まれ始めています。
 しかしながら、国全体が「人口減少・超高齢化社会」を迎え、地方においては、依然として厳しい経済情勢、雇用状況が続いています。昨年5月、有識者でつくられる「日本創成会議人口減少問題検討分科会」によって、「2040年までに全国896自治体が消滅する可能性がある」とするショッキングな報告が公表されました。この「消滅可能性自治体」には、当浜田市も含まれておりました。
 私は、一昨年の市長就任時に、まさに、この「人口減少とそれに伴う産業経済の縮小」を、本市の最大の課題として捉え、こうした状況を打破し、「浜田を元気にする」ことを掲げ、その取組みの具体的な行程を「ロードマップ」で示し、様々な事業に着手してまいりました。
 その後、国においても、人口急減、超高齢化に、政府一体となって対応するために「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、地方創生の推進に向けた取組みを始められました。
 浜田市においても、待ったなしの状況の中、国の施策も活用し、浜田に賑わいを取り戻し、元気な浜田をつくるために、今、最大限の力を注いでいかなければならないと考えております。
 平成27年度は、元気な浜田づくりの「本格実行の年」として、引き続き、三つの重点政策、第一に「産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保」、第二に「子育て支援、教育の充実」、第三に「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」を中心に、着手した各種事業を本格的に実行してまいります。

1. 産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保

 まず第一の、「産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保」であります。

◆水産業の振興                              

  産業振興では、浜田市の基幹産業である水産業の活性化に、最優先で取り組んでまいります。
 水産業は、漁業のほか、水産加工や流通業者、さらには小売業者など関連産業も多く、とても裾野の広い産業であり、浜田地域の経済に与える影響は大きいものがあります。
 平成26年は、水揚量1万9千トン、水揚高は56億8千万円となり、前年の1万6千トン、52億2千万円を上回りました。市長就任時の所信表明で掲げました「10年後に水揚高100億円」の目標に向けて、昨年に引き続いて、「地元漁船の存続」、「県外船の誘致」、「市場などの施設整備」、「販路拡大や流通の改善」、「魚を増やすための魚礁の整備」、「浜田漁港エリアの活性化」の6つの観点で取組みを進めてまいります。

 1点目の「地元漁船の存続」についてであります。

 まず、沖合底曳網漁船については、平成26年度に2ヶ統がリシップ事業に加わり、計3ヶ統がリシップ事業を開始され、修繕費の削減や稼働率の向上などが図られました。さらに、海水冷却装置の導入により高鮮度な魚の出荷が可能となり、高鮮度ミズガレイの出荷も始まりました。
 平成27年度は、引き続き、生産者や関係機関と連携し、リシップ事業未実施の2ヶ統について、事業推進への支援を行うとともに、他の魚介類についても高鮮度化による出荷を進めてまいります。
 
まき網漁船については、老朽化対策を含めた漁業構造改革計画の策定を目指し、関係者と協議を行っていくこととしており、地元沖合底曳網漁業5ヶ統と、まき網漁業2ヶ統を全船存続させていくための取組みを推進してまいります。

 2点目の「県外船の誘致」については、昨年、境港のまき網事業者へトップセールスを行い、大中型まき網の水揚量を、対前年度比17.9%増の8,593トンに増加することができました。
 平成27年度も、大中型まき網船の入港継続のため、トップセールスを継続実施するほか、沖合底曳網船やいか釣り船などの誘致にも取り組んでまいります。

 3点目に「市場などの施設整備」であります。
 県外船の誘致を推進し、魚価をあげていくためには、高度衛生管理型の市場や冷凍冷蔵庫などの施設整備が必要不可欠であります。平成26年度は、老朽化した市場の整備に向けて、JFしまねや島根県と協議を行い、方向性についての合意を得ることができました。
 平成27年度は、引き続き関係機関の指導を仰ぎながら、浜田市が市場の整備主体となって、水産庁に高度衛生管理基本計画を策定してもらい、市場整備に1日も早く着手できるよう取り組んでまいります。

 4点目の「販路拡大や流通の改善」であります。
 平成27年度は、浜田港の漁獲量を増やすとともに、販路拡大に市をあげて全力で取り組んでまいります。
 昨年は、産業振興課、広島市場開拓室を中心として、関東、関西、山陽方面の大規模商圏をターゲットに営業活動を行ってまいりました。浜田港の多種多様な美味しいお魚をPRするために、「山陰浜田港」のロゴを作成し、季節毎の旬の魚を「浜田港四季のお魚」として選定し、観光客が訪れた際に常時提供できる体制を、飲食店などと提携しながら整えてまいりました。
 平成27年度には、引き続き、関東、関西、山陽方面等への販路拡大活動に取り組むとともに、市政10周年の冠を掲げたSea-1グルメフェスティバルやお魚料理教室の開催などを通じて魚食普及を図るなど、市内でのPRも積極的に行ってまいります。

 5点目に「魚を増やすための魚礁の整備」であります。
 昨年の施政方針で申し上げました湧昇流施設の整備については、関係機関と協議した結果、浜田沖の海底地形や施設整備の経費の面から早期の整備は困難であると判断いたしました。
 平成27年度は、比較的大規模な漁場造成を行う人工礁の整備に特化し、島根県の漁場整備計画に基づき、浜田沖に早期に整備できるよう働きかけてまいります。

 6点目の「浜田漁港エリアの活性化」についてであります。
 浜田漁港エリアは、水産都市浜田の顔であり、象徴であります。浜田漁港エリアを多くの人々が訪れる活気のあるエリアにするために、まずは「しまねお魚センター」の活性化と「瀬戸ヶ島地区埋立地」の有効利用について検討を進めてまいりました。「しまねお魚センター」については、平成26年12月20日に、新たなテナントも出店しリニューアルオープンとなりましたが、引き続いて、かつての賑わいを取り戻せるよう支援してまいります。
 瀬戸ケ島埋立地については、栽培漁業基地として計画され、平成21年3月に埋立て事業が完成しました。その6割は県有地ですが、その後の経済情勢の変化等によって当初計画での利用が難しく、現在まで有効に活用されておりません。
 こうした中、平成25年の規制緩和により、漁業以外の用途にも活用できる道が開かれました。せっかくの土地であり、観光や産業振興に活用できないか検討を開始したものであります。
 昨年設置した瀬戸ケ島埋立地活用研究会では、広島の人が行きたくなるような魅力ある観光施設を、とか、子供たちが海を好きになる体験プログラムを、といった意見がありました。
 埋立地の活用に当たっては、本市の厳しい財政状況を踏まえ、民間活力を活用するなど、公費負担は最小限に止めたいと考えております。今後、市民の皆さんの声も伺いながら、活用方法を検討してまいります。

 以上の6つの観点から施策を進めてまいりますが、これらの施策の実施に当たりましては、地元漁業者や仲買の皆さんなどのご意見も伺い、JFしまね、島根県など関係機関とも十分に協議を行い、取り組んでまいります。

◆農林業の振興

 本市の産業の大きな柱の一つであります農林業については、10年先を見越して儲かる農・林業の確立を目指してまいります。

 まず、農業では、「将来、浜田の顔となる農産物の振興」、「農家所得500万円を目標とした所得の向上」、「農地の荒廃防止と担い手対策」、「大規模農業の推進」、「有害鳥獣の被害防止」の5つの項目を重点に、取り組んでまいります。

 1点目の「将来、浜田の顔となる農産物の振興」については、平成26年度、JAいわみ中央など関係機関と検討を行い、ピオーネをはじめとした「大粒ぶどう」、「赤梨」、「西条柿」の3つを浜田の顔となる振興作物に選定しました。
 平成27年度は、この3つの農産物について、栽培面積の拡大、栽培施設等の整備、加工品開発などの具体的支援を行い、浜田の顔となる農産物への振興を図ってまいります。

 2点目の「農家所得500万円を目標とした所得の向上」についてであります。
 中山間地で条件不利地域の多い本市においては、平成26年度の米価の下落は農業経営への影響が大きく、有機野菜や特別栽培米など地域の特色ある農産物や米に代わる大豆などの土地利用型の作物を組み合わせることの必要性を強く感じたところであります。
 平成27年度には、農業経営体の約7割を占める兼業農家も含め、農家所得500万円を目指すことを目標に、JAや島根県の協力を得ながら、最適な作物の組み合わせについて研究を行ってまいります。

 3点目の「農地の荒廃防止と担い手対策」についてであります。
 平成26年度は、地域農業の担い手となる認定農業者や新規就農者など、地域ぐるみで取り組む農業者に対し、県及び市の単独補助事業により施設や機械整備の支援を行ってまいりました。平成27年度は、このようなハードの支援を継続しながら、UIターンを対象としたふるさと農業研修制度や企業参入による担い手を確保し、農地の荒廃防止と定住人口の増加を推進してまいります。

 4点目の「大規模農業の推進」についてであります。
 優良農地の確保が難しい中山間地域では、営農活動が比較的容易にできる農地の確保が求められています。平成26年度に取得した金城町内の元谷団地について、平成27年度は、新開団地と同様の拠点農業団地として開発を目指し、県と連携して整備を行い、この地での大規模農業の推進に努めてまいります。また、農地中間管理事業については、県のご支援もいただきながら、事業実施の課題解決に向けた整理を行ってまいります。

 5点目に「有害鳥獣の被害防止」であります。
 近年、有害鳥獣、特にイノシシによる農地、農作物への被害は増加していることから、平成26年度はモデル地区を設定し、防護柵の設置等を実施してまいりました。これらの負の財産を地域資源として活かすため、平成27年度は、獣肉加工施設の整備を支援して、イノシシ肉の利活用による捕獲頭数の増加を図り、有害鳥獣の被害防止に努めてまいります。

 次に林業についてであります。
 林業については、「儲かる林業の実現」、「未利用材の利用拡大」の2点に引き続き取り組んでまいります。

 1点目の「儲かる林業の実現」については、平成26年度も石央森林組合を中心に、林業ビジネスモデルの推進のために、山林の集約化、路網の整備、高性能林業機械の活用を図ることによる木材の生産コストの削減、木材の安定供給ができる仕組みづくりの推進を支援してまいりました。
 平成27年度は、木材生産の収益性が高められるよう、これまで積み上げたデータから機械の有効な稼動を検討し、島根県や島根県西部山村振興財団など関係機関と連携して取組みを進めてまいります。

 2点目の「未利用材の利用拡大」については、平成26年度は、林地内に放置した木材の有効活用のために、補助事業を実施し、利用拡大に努めてまいりました。平成27年度は、4月から江津市内で稼動する木質バイオマス発電や旭温泉のチップボイラーなどにより、これまで以上に木質チップの需要が見込まれることから、間伐材などの未利用材の利用拡大と安定供給に向けた体制づくりに努めてまいります。

 ◆観光の振興

 次に、観光の振興についてであります。
 島根県の観光入込客は、古事記編纂1300年キャンペーンや出雲大社の大遷宮などにより、県東部を中心に、ここ2、3年は増加いたしましたが、県西部への波及は少なく、本市への観光入込客数は減少している状況であります。こういった状況を打開するために、引き続き、「観光メニューの開発」、「交流人口の拡大」、「おもてなしの向上」、「観光施設の整備」の4点に取り組んでまいります。

 1点目の「観光メニューの開発」については、平成26年度はお宝探しを実施し、473件の応募をいただきました。それをもとに、観光モデルコースを10コース作成し、市ホームページ等にアップして魅力を発信する取組みを進めております。
 平成27年度は、モニターによる検証作業を実施し、コースのブラッシュアップ及び、更なる観光コースの作成を行い、地域の魅力発信に取り組んでまいります。

 2点目の「交流人口の拡大」については、平成26年度は、交流人口拡大に向けたイベントを開催するための調査、研究、準備を行ってまいりました。
 平成27年度は、8月に広浜鉄道今福線、9月にヨシタケコーヒーをテーマとしたシンポジウムの開催をはじめ、時期未定ではありますが、ユネスコ無形文化遺産登録記念として、石州半紙、本美濃紙、細川紙の三つの産地で企画したイベントを開催することとしております。さらに、合宿やコンベンションに加え、島根県立大学を活用した学術研究の会議・学会や、浜田市の先進的な取組みへの視察の誘致を積極的に進めてまいります。

 3点目の「おもてなしの向上」については、浜田市を訪れたお客様に「また来たい、食べたい、見てみたい」と言っていただけるように、宿泊施設、飲食店、タクシー会社など観光関係者に向けた研修を行うなど、おもてなしのスキルアップを図ってまいります。

 4点目の「観光施設の整備」については、良質な泉源を有する旭温泉、美又温泉の魅力向上策に取り組む一方、全国的に愛好者が増えているパークゴルフ場を集客施設として整備することを検討し、温泉との相乗効果により、新たな賑わいを創出してまいります。
 なお、観光施設については、案内看板が老朽化して見づらいものや案内看板の設置がなく場所が分かりにくいと言った市民の声も聞いておりますので、今後、案内看板の設置を進めるとともに、市内全域で統一感のある看板とする検討を行ってまいります。

 ◆産業の振興             

 次に産業の振興についてであります。
 産業振興では、「販路拡大支援」、「浜田産品の情報発信と活用」、「商品開発支援」、「新たに事業を起こす起業の支援」、「浜田港の利活用」、「企業誘致」の6点について取り組んでまいります。

 まず、1点目の「販路拡大支援」についてであります。
 平成26年度、「はまだ産業振興機構」のオフィスを浜田合同庁舎から浜田市役所内に移転し、産業振興課と合体させ、産業振興課を浜田株式会社の営業部隊と位置付け、関東・関西方面を中心に、主に大手スーパーや百貨店等のバイヤーの招聘や販売促進活動に取り組みました。また、産業振興課の内室である広島市場開拓室においても山陽方面の飲食店やスーパー等に浜田産品の売込みを行いました。
 平成27年度は、特に水産物の販路開拓を積極的に行うなど、引き続き大手スーパーを中心に販売促進を行います。

 2点目に「浜田産品の情報発信と活用」であります。
 現在、浜田市ふるさと寄附において、特産品を多数取り揃えた情報発信を行っており、全国の皆さんから大変好評をいただいております。
 また、浜田の飲食店を紹介する情報誌「はまごち」に加え、昨年、新たに地元事業者の商品を紹介する、浜田からの贈りもの情報誌「はまおく」、を発行しました。そして、浜田市観光協会においては、浜田の特産品が買えるインターネット通販サイト「はまとく」を開設されました。
 平成27年度は、これらの3つの情報誌やサイトを総合的にPRするウエブサイトを立ち上げ、更なる情報発信に努めてまいります。

 3点目の「商品開発支援」については、平成26年度は、ブランディング実践事業に取り組み、セミナーを通じて市内の中小事業者が商品開発から販路開拓までの一貫した基礎知識の習得と商品プロデュース力を身につけることを支援いたしました。実際にセミナーに参加した事業所の内、6社が新商品の開発を行われました。
 平成27年度も、市内中小事業者の商品開発や販路開拓、設備導入などについて、浜田市中小企業イノベーション支援事業を中心に積極的に支援し、地域経済の活性化と地域振興を図ってまいります。
 また、商店街が実施するイベント事業や商店街の空き店舗に出店される方を支援することで、商店街の活性化に取り組んでまいります。
 さらに、新たな浜田の特産品開発にも取り組みます。今、6次産業化が叫ばれておりますが、農水産品の付加価値を高めることも重要であります。地域における魅力ある付加価値の高い商品づくりを後押しするため、食産業によるまちおこし研究会(略称:食産研)や協定を結んでいる島根大学の生物資源科学部の力もお借りし、主に食に関する商品開発を行い、浜田の新たな特産品の開発に取り組んでまいります。

 4点目の「新たに事業を起こす起業の支援」については、浜田を元気にするためには、既存の事業の発展を図るだけでなく、新たな事業の創出が必要と考えております。
 全国的にも、若者に加え、新たな視点を持った女性、これまでの経験や熟練した技術を生かしたシニア層の起業が注目されています。しかし、起業を目指される方の中には、起業の仕方がわからない、資金の調達方法がわからないという方がたくさんおられます。こうした方のために、平成26年度は財務、経営、営業などに関する起業セミナーを開催いたしました。セミナーに参加された方のうち、既に起業された方や、起業に向けて本格的に準備をしている方もおられます。平成27年度も引き続きセミナーを開催し、起業を積極的に支援してまいります。
 さらに、起業時の負担を軽減するための補助金の新設を検討いたします。起業を考えている方にとって利用しやすい補助内容にすることで、市内で起業しやすい環境づくりを目指します。

 5点目に「浜田港の利活用」についてであります。
 浜田港は、これまで、国、島根県によって、福井埠頭岸壁の整備、コンテナ荷役設備、平成25年完成の福井上屋などの機能強化をしていただきました。加えて、浜田港振興会によるポートセールスの実施などにより、貿易額、貿易量ともに順調に伸びております。平成26年度のコンテナ取扱量は、平成25年度の2,869TEUを上回り、初めて3,000TEUを超え過去最高となる見込みであります。平成27年度も、引き続き、貨物の集荷を中心としたポートセールスに取り組んでまいります。
 さらに、臨港道路福井4号線の整備も進められ、日本海側の拠点港として、港湾機能の強化が進む一方、取扱貨物の増加により長浜・福井両埠頭が手狭な状況となっていることや、船舶の大型化という世界的な流れによる岸壁や航路の水深確保の必要性など、さまざまな課題も見えてきております。平成27年度も、引き続き、港湾施設の整備について、国、島根県に要望をしてまいります。

 6点目の「企業誘致」については、山陽方面の営業拠点として設置した広島市場開拓室を中心に、企業へのアプローチを行いました。加工関係を中心に好感触の企業もあり、誘致実現に向けた活動を行ってまいります。
 また、平成26年度は、廃校舎を利用しての東京のIT企業の誘致も実現いたしました。今後、東京・大阪方面の企業に対しても、島根県と連携を図り、積極的に誘致活動を進めるとともに、廃校等遊休施設の情報をホームぺージ等で公開し、利活用の公募を行い、廃校等遊休施設を企業誘致の場として利活用してまいります。
 なお、昨年設置した広島市場開拓室の活動については、平成26年度は、販路開拓について12件の商談成立につなげることができ、確実に成果が現れていると実感しております。新たにつながりを持ちました約70社の企業のフォローアップとともに、新規の開拓についても積極的に取り組み、浜田産品の販路の拡大を目指し、山陽方面の大規模商圏に向けた更なる営業活動、ポートセールス、企業誘致に取り組んでまいります。
 また、萩・石見空港東京路線の2便化は、2年間の期間限定であり、2便化が存続するためには、今後の搭乗実績が重要となります。
 市といたしましては、平成26年度末までとしておりました萩・石見空港利用促進補助金を平成27年度も継続することとして、引き続き萩・石見空港の利用促進に向けて全力で取り組んでまいります。

 

2.子育て支援、教育の充実

 重点施策の第二、「子育て支援、教育の充実」であります。

◆子育て支援

 子育て支援については、具体的に「保育所の待機児童ゼロを目指す保育施設の充実と保育士確保」、「子育て家庭の経済的負担の軽減」、「放課後児童クラブの充実」、「地域ぐるみで子どもを育む取組み」の4点について取り組んでまいります。

 1点目の「保育所の待機児童ゼロを目指す保育施設の充実と保育士確保」についてであります。
 「保育施設の充実」については、平成26年度の市内保育所の入所定員は、1園10名の定員増が行われ、現在、1,875名となりました。平成27年度は2園の施設整備を行い、20名の定員が増加するよう取組みを進めてまいります。
 また、「保育士の確保」については、平成26年度、市内の保育所等に従事すれば奨学金の返還を免除するという、浜田市独自の奨学金制度を創設し、5名に貸付を行いました。平成27年度も奨学金制度や「保育所入所受入促進事業」を継続し、保育士の確保に努めます。

 2点目の「子育て家庭の経済的負担の軽減」についてであります。
 平成26年度は、保育所保育料の軽減について、第3子以降の軽減対象範囲から「3歳未満児」という年齢制限をはずしました。
 平成27年度は、「子ども・子育て支援新制度」に基づき、私立幼稚園、認定こども園の幼児部の保育料を国基準の約 6 割に設定するとともに、時間外の預かり保育についても必要な補助を実施いたします。
 また、児童医療費の助成については、平成 25 7 月に対象者を小学 3 年生から 6 年生までに拡充いたしましたが、平成27年 4 月から、さらに対象者を「中学生まで」拡充してまいります。

 3点目の「放課後児童クラブの充実」については、放課後児童クラブは、平成26年度、原則3年生までの受入れを、「6年生までの全学年」に拡大いたしました。平成27年度も引き続き放課後において児童が安全に安心して過ごせるよう、場所の確保と指導員の確保に努めてまいります。

 4点目の「地域ぐるみで子どもを育む取組み」については、平成26年度は、子育て支援センター、放課後子ども教室、公民館での各種体験教室などを通じて、地域における子育て支援ネットワークづくりを推進いたしました。平成27年度は新たに産前産後家事支援ヘルパーの派遣事業に取り組みます。
 また、老朽化の著しい、子育て支援センターについては、平成27年度に具体的な建替え方針をお示しできるよう検討してまいります。
 なお、浜田市の子育て支援については、主要施策としてこれまで充実に努めてきましたが、その仕組みがわかりにくいとの指摘がありました。そこで、平成26年度に浜田で子どもを産んで育てるにはどういう支援があるのかが具体的に一目で分かる市民目線の子育て支援ガイドを作成したところ、大変分かりやすいとご好評をいただいております。平成27年度も改訂版を作成し配布いたします。

 ◆教育の充実  

 次に、教育の充実についてであります。
 教育の充実については、平成26年度は、特に「国語教育」、「ふるさと郷育」、「あいさつ運動」の3点に取り組んでまいりました。平成27年度は、これらに加えて、「学力向上」、「文化・歴史教育の環境整備」についても、力を入れて取り組んでまいります。

 1点目の「国語教育」は、全ての学習の基礎となるものであり、特に「読書」と「書くこと」に力を入れ、読書ノートの全児童生徒への配付とともに、調べ学習や家庭学習ノート等のコンクール、学校図書館活用に係る研究指定校の指定などに取り組みました。
 本年度は、引き続いてこれらに取り組むとともに、学校図書館司書の充実に努めてまいります。

 2点目の「ふるさと郷育」については、平成26年度に、地域の「ひと・もの・こと」を活用し、地域ぐるみで子どもを育むという、ふるさと郷育推進方針を定めました。
 この方針に基づき、地域の特性を活かした体験活動や行事への参加を通して、「浜田が好き」、「将来は浜田で働きたい」、また「市外からも浜田を応援したい」という子どもを育んでまいります。
 また、小学校を対象とした浜田市の偉人を紹介する副読本を作成し、郷土への愛着心を醸成するほか、学ぶ力を磨き、今と昔をつなぎ、子どもたちの新たな出会いを支援してまいります。

 3点目の「あいさつ運動」については、各学校であいさつの励行を推進するとともに、啓発チラシの配布などの取組みを行ったところであります。平成27年度は、さらに具体的に学校の教育目標に掲げることや中学校区ごとに一貫した取組みを進めてまいります。

 4点目は、「学力向上」についてであります。
 国・県の学力調査結果から、全体的にレベルを上げることが重要であると感じております。そのため、教育委員会に「学力向上推進室」を設けて学力向上に向けた推進体制を充実するとともに、昨年スタートしました「土曜学習」の充実を図ってまいります。

 5点目の「文化・歴史教育の環境整備」でありますが、その一環として、浜田城周辺を「文化・歴史ゾーン」として整備するよう検討しております。城山の散策路などの環境整備や、御便殿を活用した「(仮称)石見神楽館」、浜田の歴史や偉人の功績を紹介する「(仮称)浜田歴史館」の整備など、平成31年に迎える「浜田開府400年」に向けて、観光振興の観点からも、担当部署の設置も含め、検討を進めてまいります。

 以上教育について、重点的な取組みを述べましたが、教育方針については、後ほど教育長から申し述べます。

 ※教育方針は、後ろに掲載しています。 

 

3.高齢者が安心して暮らせるまちづくり

 重点政策の三点目、「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」については、「医療の充実」、「救急救命体制の充実」、「交通手段の確保」、「介護サービスの充実」、「高齢者の生きがいづくり」の5点に取り組んでまいります。

◆医療の充実 

 1点目の「医療の充実」についてであります。 
 安心して医療を受けられる体制を構築するためには、まず、医師の確保が最も重要であります。そのため、医学生との交流、研修の受入等に加え、島根大学、鳥取大学の医学部への働きかけも積極的に行ってまいりましたが、この春から、関係機関のご協力により、浜田医療センターに、10名を超える初期研修医が勤務することとなりました。
 平成27年度から、国保診療所の医師1名を浜田医療センターへ移籍し、総合医療の充実と初期研修医の育成を図ります。このことが、将来的な浜田市への医師定着につながるよう支援してまいります。
 なお、国保診療所は、当面は残った医師での体制となりますが、新たな医師を確保するべく、最大限の努力をしてまいります。
 看護職員の確保については、看護資格を有する若者の定着を図るため、浜田准看護学校の学生へ修学資金や実習費などを支援するとともに浜田医療センター附属看護学校など関係機関との情報の共有に努めました。
 平成27年度も、引き続き、養成学校との連携を密にし、看護を目指す若者の支援を行ってまいります。
 また、医師会、医療センターなど市内関係機関同士の連携を密にするとともに、近隣の医療機関と補完し合って、安心して医療を受けられる体制を目指してまいります。

◆救急救命体制の充実               

 2点目の「救急救命体制の充実」については、救急・災害医療の充実をめざし、昨年4月に浜田医療センターにヘリポートが整備されました。現在、救急現場からの患者の受入れや転院など、多くの患者搬送に活用されています。
 また、少子高齢化が進む中で、高止まり傾向にある救急需要に対して、県内トップレベルの救急車の現場到着時間8.3分を引き続き堅持してまいります。浜田医療センターをはじめ地域の医療機関と連携して円滑な救急搬送に努めるとともに、救急救命士及びドクターヘリ医師による現場での高度救命処置などによって救命率の更なる向上を目指してまいります。
 次に、市民と連携した救急救命体制であります。
 「まちかど救急ステーション」制度については、昨年末までに42事業所を認定いたしましたが、引き続き、認定事業所の普及増加を図ってまいります。
 また、平成27年度から、消防本部に救急講習専門員を配置します。地域住民や事業所単位への講習を通じて応急手当が出来る市民を増やすことにより、安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。

◆交通手段の確保

 3点目の「交通手段の確保」についてであります。 
 
昨年から、試行的に「敬老乗車券交付事業」を実施しております。これは、島根県が作成した「しまねの郷づくりカルテ」において、緊急に支援を要すると診断された市内9地区の70歳以上、およそ1,600人の方を対象としたものです。また、乗降調査について、島根県立大学の学生の協力をいただき株式会社石見交通が運行する市内路線バスを対象に実施いたしました。
 これらの結果等を踏まえ、引き続き、島根県立大学の支援をいただきながら、交通事業者や地域住民と連携し、平成28年度からの「地域公共交通再編計画」の策定に取り組んでまいります。

◆介護サービスの充実

 4点目の「介護サービスの充実」についてであります。
 私が、市長に就任した際に、市民の方から「特別養護老人ホームになかなか入ることができない」という声があり、その時点での特別養護老人ホームへの入所申込者は浜田圏域(浜田市、江津市)で相当数の方がおられると聞いておりました。そこで、昨年、現状を精査するため、「入所の緊急度の高い方」、「直ぐに入所したい方」の実態調査を行ったところ、浜田圏域(浜田市、江津市)で早急に入所する必要がある方は、約180人と推計いたしました。一方、特別養護老人ホームの退所者数は、年間約150人と見込まれていることから、あと30床程度不足していると判断いたしました。
 平成26年度は特別養護老人ホーム30床を整備いたしますが、このままでは、待機者数の縮減は図れないと認識しましたので、平成27年度から3年間の第6期介護保険事業計画において、さらに先ほど述べた30床を増床し、待機者数の縮減を図ってまいりたいと思います。
 整備要望の多い認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホームについては18床、さらに複合型サービス又は小規模多機能型居宅介護については1事業所を整備することを決定いたしました。
 在宅サービスについては、平成26年度は24時間定期巡回随時対応型のサービスが始まりました。さらに、高齢者向けのサービスや施設をまとめた「高齢者お役立ち情報マップ」を作成しました。
 今後は、介護が必要な状態になってもできるだけ住み慣れた地域で暮らし続けることができるように、地域包括ケアシステムの整備を進めなければなりません。そのためには、その要となる地域包括支援センター機能を拡充する必要がありますので、できるだけ早い時期にサブセンターを増設するよう努めてまいります。
 医療と介護の連携をより一層強化し、認知症施策や地域ケア会議を推進するとともに、平成29年度を目途として介護予防・日常生活支援総合事業を実施することができるように準備を進めてまいります。 

 ◆高齢者の生きがいづくり

 5点目の「高齢者の生きがいづくり」については、「軽スポーツの普及推進」、「ボランティア活動の推進」に取り組んでまいります。
 「軽スポーツの普及推進」では、平成26年度は、ウォーキング、グラウンドゴルフ、ゲートボールの3つの種目の軽スポーツの普及を進めることとしました。中でもウォーキングは、身近で誰でも参加でき、各地で年間を通して30回以上開催されています。
 平成27年度は、合併10周年を記念したウォーキング大会を各地で開催し、普及推進に努めてまいります。
 先ほど申し上げました、新たに整備を検討する「パークゴルフ」についても、世代を超えて楽しめるコミュニティスポーツとして、高齢者の生きがいづくりにつながるよう、普及啓発を行ってまいりたいと思います。
 また、「ボランティア活動の推進」については、現在、市内小中学校の登下校の見守りや授業、行事などで年間延べ約8,000人のボランティアの方に活動していただいています。
 平成27年度は、さらに、公民館等がコーディネートして、各種のボランティア活動が広がり、元気な高齢者の皆さんが参加できるよう取り組んでまいります。

 ◆人口減少対策 

 以上、3つの重点政策である「産業振興、企業誘致などによる雇用の場の確保」、「子育て支援、教育の充実」、「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」を申し上げましたが、これに加え、新たな人口減少対策についても取り組んでまいります。

 まずは、「地方版総合戦略」の策定についてであります。
 昨年「まち・ひと・しごと創生法」が施行され、国から「総合戦略」が示されるとともに、地方自治体には、平成27年度中に「地方版総合戦略」の策定が努力義務とされました。
 これについては、今後「まち・ひと・しごと創生総合戦略検討委員会(仮称)」を立ち上げ、平成27年度中に策定してまいります。
 この戦略の中では、社会動態と自然動態の増加対策を織り込むこととしております。現時点で検討している社会動態増加対策としては、雇用の場の確保に加え、浜田暮らしを体験してもらうため、産業・福祉・保育の体験事業に取り組み、都会地からのU・Iターン者の積極的な受入れを行います。また、自然動態増加対策としては、出生数の増加を目指し、未婚化や晩婚化の解消に向けた「縁結び相談員の配置」や「婚活イベント」の開催などに取り組みたいと考えております。
 昨年女性職員による定住プロジェクト「チームCoCoCaLa」が結成され、様々な検討が行われました。提案された、女性目線からの住み良いまちづくり施策については、できることから順次実施してまいりたいと考えております。

◎市政運営に係る重要な事項

 次に、これまで述べました重点政策のほか、市政運営に係る重要な事項について申し述べます。

◆自治区制度

 まずは、自治区制度についてであります。
 
昨年11月にお示ししました「今後の自治区制度についての方針」に基づき、現行の浜田那賀方式自治区制度は平成28年3月まで延長し、その後、平成28年4月から4年間、現行制度を一部見直しした「新自治区制度」を導入したいと考えております。
 
新制度の下では、各自治区で地域の個性を活かしたまちづくりを行いながら、あわせて、「地域リーダーの育成」や「市民の皆さんとの対話集会」を行ってまいります。また、地元企業の事業機会確保を目指すための「地域資源活用推進条例(仮称)」の制定、災害時に備える各支所の「防災自治課(仮称)」設置、自治区事業を支援する「支所担当係」設置などにも取り組んでまいります。

◆各自治区のまちづくり

 次に、4つの自治区の取組みについて、具体的に申し述べます。

 金城自治区では、住民主体の「農業振興」と「観光振興」のまちづくりに取り組みます。
 農業振興については、元谷団地の農地開発を進めて、金城スマート・インター・チェンジのアクセスを活かした企業参入や、意欲ある若い担い手の育成に取り組んでまいります。本年1月、県、市、JAが連携し、農業サポート経営体「株式会社みどりファームかなぎ」を設立いたしました。平成27年度は、これを核に、営農組織や担い手と連携して農地保全の取組みを支援してまいります。
 観光振興では、平成26年度に、広島からの誘客を目的として、金城パーキングエリアを活用した「金城で遊ぼう」イベントに取り組みました。また、再開2年目となる「かなぎウエスタンライディングパーク」では、全国障がい者馬術大会を開催し、観光のみならず福祉的な利活用による誘客をPRいたしました。今後、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックにおける馬術競技のキャンプ地の招致にも取り組んでまいります。
 近年入込客が大きく減少している美又温泉については、美肌温泉という優位性を活かし、平成27年度は、おもてなし向上の取組み、風情のある街路整備などを行い、宿泊者の増加に努めてまいります。老朽化の著しい美又温泉国民保養センターは、平成27年度中に、中核施設としての新たな方向性を検討してまいります。
 また、新たにパークゴルフ場の整備を検討し、美又温泉・きんたの里のみならず、旭温泉も含めて観光利用客の増大を目指してまいります。

 旭自治区は、旭インターチェンジを玄関口として、「温泉・レジャーなどの観光」と「未利用施設の有効利用による地域活性化」に取り組んでまいります。
 平成26年度は、あさひ荘をリニューアルオープンし、更なる交流人口の拡大に向けた取組みに努めました。また、余剰の温泉水を活用する実現可能なプランコンテストを実施し、新たな雇用拡大に結びつけたいと考えております。
 平成27年度は、観光面では石垣棚田や温泉、スキー場などの観光資源を山陽方面に積極的にアピールし、誘客促進に努めてまいります。
 また、木造校舎を活用し、食をキーワードとした都市農村交流を図ることで、農林産物をはじめとした地元産品の更なる生産性の向上と、販路拡大に努めるとともに、他の廃校舎の有効利用も進めてまいります。
 高齢化により維持活動の低下が懸念される集落に対しましては、集落再編を促す支援事業を展開し、持続可能な組織づくりを図ってまいります。

 弥栄自治区では、「農業生産と加工」、そして「体験交流」を通じた定住人口の増加に力を入れてまいります。
 農業生産においては、平成26年度にビニールハウスの増設を行い、付加価値の高い農産物の増産体制の充実を図ってまいりました。平成27年度は、新たに儲かる農業を確立するため、農家所得500万円を目標とした施設有機野菜農家の育成や、米のブランド化に向け、取り組んでまいります。
 農産物等の加工については、どぶろく・味噌・漬物類に加え、平成27年度は、イノシシ肉処理加工施設を整備し、精肉の地産地消に取り組み、商品の増産を進めてまいります。
 体験交流については、ふるさと体験村を活用し、山菜狩り・きのこ狩り等の四季を通したイベントを開催し、集客・交流を進めております。平成27年度は、集客数、特に宿泊者数をさらに増やすために、地域の自然・歴史・文化等を生かした多様な体験交流の情報発信を行い、ふるさと体験村をツーリズムの拠点とし地域と連携した宿泊型の体験交流を推進してまいります。

 三隅自治区では、「地域に根ざしたまちづくり」と「三隅発電所を核としたまちづくり」に取り組みます。
 ユネスコ無形文化遺産に登録されています石州半紙は、昨年11月に岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙と合わせて「和紙・日本の手漉和紙技術」として再度ユネスコ無形文化遺産に登録され、文化的な遺産としての価値があらためて社会に認識されました。平成27年度は、3紙でイベントを開催するなど、さらに連携を深めてまいります。そして、この文化遺産の継承と振興を進めるため、石正美術館や和紙会館を活用して新たな商品開発や販路拡大を図ってまいります。昨年は、石州半紙の原料となります「楮」の地元産確保のため30aの圃場を整備しました。引き続き地元産「楮」の確保に努めてまいります。
 将来の浜田の顔となる農産物に選定しました「西条柿」は、三隅自治区内で50戸以上の農家が取り組んでいる主要な特産品であります。現在、県事業により潅水施設整備を行い、基盤整備の充実を図っております。今後、品質の向上や増産を目指すとともに新商品の開発にも積極的に取り組んでまいります。
 また、公民館を拠点として住民自治組織の育成をより一層進めながら、自主防災体制の確立や地域の課題を解決できる体制づくりなどの充実を図り、住民自治組織と協働できるまちづくりを進めてまいります。
 次に、「三隅発電所を核としたまちづくり」については、三隅発電所内に石炭灰を活用した造粒物等を製造する設備を設置することが具体化しました。
 三隅発電所2号機建設については、施設建設中においては、工事関係企業の常駐や作業員の長期滞在、資材の納入などが見込まれ、運転稼動後は、1号機と2号機の定期検査が隔年で実施されることになり、同様に関係企業や作業員の滞在が見込まれます。このように、地域経済への波及効果は計り知れないものがありますので、これまで以上に、三隅発電所2号機の早期着工に向けて働きかけを行ってまいります。

◆島根県立大学支援及び連携

 次に、島根県立大学支援及び連携についてであります。
 島根県立大学は、本市にとって重要な知的財産であり、地域資源でもあります。今後も「元気な浜田づくり」のため、専任教員の皆様の力を借りながら、大学生の意見も参考にし、地域課題の解決に取り組んでまいります。
 島根県立大学への支援としましては、新入生を対象に「浜田探索ツアー」の実施や地域公共交通利用促進のためバスカード(乗車券)の支給を行うとともに、商店街活動への参加も期待し、市内中心部にシェアハウスをモデル的に導入するなど、大学生の生活支援に取り組んでまいります。
 さらに、学生を増やすための対策として、昨年、島根県知事、島根県立大学理事長に対し、島根県立大学支援協議会から「地域政策学部」増設の要望書を提出いたしました。これを契機に、大学では将来を見据えた大学の在り方の検討を平成27年度から本格化させると伺っており、この推移を見守るとともに、早期実現が図られるよう市としましても協力してまいります。

◆安全で安心なまちづくりの推進

 次に、安全で安心なまちづくりの推進についてであります。
 「防災・減災対策の強化」、「防犯・交通安全対策」の2点に重点的に取り組んでまいります。

 1点目の「防災・減災対策の強化」についてであります。
 昨年は、広島市での局地的豪雨災害をはじめ、全国各地で様々な災害が発生しました。広島市の土砂災害発生後には、あらためて、土砂災害の啓発チラシとハザードマップを全戸配布し、この災害を浜田市に置き換えた対応検証などを行いました。
 また、各地での災害発生に伴う法改正を踏まえ、地域防災計画の改正を行うとともに、平成25年8月末豪雨災害を教訓とし、各支所に対する防災応援体制の見直しを行いました。
 平成27年度は、各支所に防災自治課(仮称)を設置して、本庁、支所、消防本部及び消防団相互の連携体制を整えるとともに、消防署を3署として体制強化を行い、あわせて、新たな通信機器の導入により、連絡体制の確保を図ります。
 また、浜田自治区内の災害の危険が高い山間部などへ、防災行政無線の屋外拡声子局の増設に取り組みます。
 防災・減災対策の強化を図るためには、市民の皆さんのご理解とご協力が不可欠であります。防災出前講座を通じて、市民の皆さんの防災意識の醸成を図るとともに、防災対策をまちづくりのひとつとして捉え、自主防災組織の設立に向けた積極的な働きかけを行い、災害に強いまちづくりを進めてまいります。

 2点目の「防犯・交通安全対策」については、ボランティアや関係団体、浜田警察署との連携を密にして、各種運動や啓発活動を強化し、犯罪や事故のない安全で安心なまちづくりに取り組むため、引き続き、官民が連携した重点的な取組みとして「声かけ・明るいあいさつ運動」、「見守り活動」、「門灯点灯運動」を推進してまいります。
 米軍機による飛行訓練の中止等の要請については、昨年10月に県や米軍機騒音等対策協議会の構成市町と一緒に、国に対して要望活動を行いました。引き続き、関係機関とともに要望を行ってまいります。

◆人権尊重のまちづくり・男女共同参画社会の形成

 次に、人権尊重のまちづくり及び男女共同参画社会の形成についてであります。
 平成27年度は、現在の「浜田市人権教育・啓発推進基本計画」、「浜田市男女共同参画推進計画」を見直し、それぞれ第3次の基本計画を策定する予定としております。いずれの計画も、市民の皆さんの意識調査の結果を踏まえ、時代のニーズにあった計画としてまいります。
 また、浜田女性ネットワークから、平成10年以来となります「(仮称)浜田女性ネットワーク市議会」の要望を伺いましたので、平成27年度の開催について検討してまいります。女性の意見を市政に反映し、より良いまちづくりに努めてまいります。

◆社会基盤の整備

 次に、社会基盤の整備についてであります。
 治水事業については、2つのダム事業の推進に努めてまいります。
 一つは、工事の最終段階を迎えた第二浜田ダムで、本年秋から開始される試験湛水(たんすい)を経て、平成28年の出水期に効果が発揮できるように完成を目指します。
 もう一つは、平成26年度に事業採択された三隅川水系の矢原川ダムで、島根県と協力して事業の推進を図ってまいります。
 山陰自動車道については、浜田三隅道路の原井・西村間が本年3月14日に開通いたします。市民の皆様とともに完成をお祝いするとともに、引き続き、西村・三隅間及び三隅益田道路の事業促進と、重要港湾浜田港と山陰自動車道浜田港インターチェンジを直結する臨港道路福井4号線の事業促進に努めてまいります。
 浜田駅周辺環境整備事業については、君市踏切の拡幅改良を含めた道路改良事業の計画策定を行うため、関係機関との協議を進めてまいります。
 さらに、国の施設の合庁化に併せて市役所周辺地区を整備するシビックコア事業については、国の動向から一時中断としておりましたが、昨年8月、国と地方公共団体の公有財産の最適利用についての方針が国により示されたことから、平成27年度にはその実現に向けて関係機関との協議を開始したいと考えております。

◆生活環境の整備

 生活環境の整備については、「簡易水道の上水道事業への統合」、「下水道事業の推進」、「三隅霊園の開設」、「浜田市ごみ収集計画の見直し」、「し尿処理施設の大規模改修」の5つの事項について取り組んでまいります。

 1点目の、「簡易水道の上水道事業への統合」については、平成28年度末の完成に向け、簡易水道統合整備事業を本年度も引き続き進めてまいります。
 また、統合に伴う大幅な水道料金の改定については、市民生活にできるだけ影響しないよう激変緩和措置を取り入れてまいります。

 2点目の、「下水道事業の推進」については、引き続き国府地区の整備を進めてまいります。
 市街地の整備については、都市計画決定や事業認可の法的手続きの準備を進め、下水道への意識向上のための説明会を行うなど、住民周知に取り組んでまいります。
 また、国をはじめとする関係機関との協議を進めながら、低コスト型の下水道事業として、平成28年度に事業着手ができるよう努めてまいります。

 3点目は、「三隅霊園の開設」についてであります。
 三隅火葬場に隣接する市有地に、かねてから要望のありました公営墓地を152区画新設し、本年10月を目処に使用者の募集を行ってまいります。

 4点目は、浜田市の「ごみ収集計画の見直し」についてであります。
 合併後10年を経過し、高齢化の進展や人口減少、ごみの排出状況の変化を踏まえ、「ごみ収集計画の見直し」を検討してまいります。
 昨年、施政方針で申し上げた指定ごみ袋の簡素化については、浜田市環境清掃対策審議会からの答申を受け、このたび見送ることとしましたが、引き続き、ごみ排出における市民の負担軽減を図るため、ごみ分別の簡素化などの負担軽減策を検討してまいります。

 5点目は、「し尿処理施設の大規模改修」についてであります。
 平成9年度に開設し、老朽化の進んだ「浜田浄苑」については、平成27年度から2か年をかけて大規模改修を行い、適正なし尿処理に努めてまいります。              

◆行財政改革                           

 次に、行財政改革であります。
 現在の行財政改革の方向性を示しております「行財政改革大綱」については、平成27年度を最終年度としております。
 次期「行財政改革大綱」については、公共施設等総合管理計画がその中心となる予定であります。
 その中でも特に具体化が急がれる公共施設の見直しについては、「公共施設白書」及び「公共施設再配置計画」の素案を基に、市民の皆さんのご意見をしっかり伺い、「公共施設再配置計画」を策定していくとともに、廃校となった学校等遊休施設の利活用などを積極的に推進してまいります。
 支所三部門化をはじめとした業務一元化による組織機構の見直しや、将来的に大きな財政負担が必要となることが予測されます公共施設の適正化など、様々な分野について、行財政改革に取り組んでまいります。

◆当初予算案と財政運営  

 最後に、平成27年度当初予算(案)についてであります。
 自主財源の乏しい本市にあっては、浜田市を「浜田株式会社」に例え、売上げを伸ばす、つまり市の収入が増える取組みを推進する必要性を訴えてまいりました。そうした中、取組みを強化した「ふるさと寄附」が全国でも有数となる6億円を超えることとなり、地域産業の振興とともに自主財源の確保に大きく貢献したところであります。
 こうした状況を踏まえつつ、平成27年度予算の編成に当たっては、市町村合併以降初めて従来の編成方式を見直し、「元気な浜田」を実現するための事業予算を確保するなど、政策的経費への重点配分を行っております。
 加えて、第6期介護保険事業計画に基づく負担や子ども子育て支援新制度に伴う事業など義務的経費の増、また、弥栄小学校体育館や旭小学校の建設、浜田浄苑の長寿命化改修といった大規模投資も重なったこともあり、一般会計の予算規模は395億1,620万円、平成26年度と比較して、金額で2億1,620万円の増、率にして 0.6%の増となりました。これは、市町村合併以降において最大規模であります。
 私は、財政規模はむやみに拡大すべきではないと思っております。しかし、一方で、必要な時期に必要な投資をすべきとも思っており、地方創生のまさに今のタイミングがその時期と考え、この様な大型予算を組ませていただきました。
 ここ数年は「元気な浜田」を創るために予算を集中投資する時期に当たると考えており、平成28年度以降の合併による財政支援措置の縮減を念頭に置きつつ、新たに策定する行財政改革実施計画の推進にもしっかりと努め、持続可能な財政体質への転換を図ってまいります。

最後に

 浜田市は、今年の10月に、誕生して10周年の節目を迎えます。これを機会に、10周年記念式典など記念事業を開催し、市民の皆さんの一体感を醸成するとともに、未来へ向けた新たな出発としたいと思います。
 そして、合併後10年の間の施策や事業の実績を踏まえ、第2次浜田市総合振興計画に取り組んでまいります。
 平成26年度は、元気な浜田「実行元年」として、元気な浜田へ向けて走り始めた助走の年でありました。
 平成27年度は、人口減少や厳しい経済情勢に危機感を抱く多くの地方自治体が、その脱却を目指して様々な施策を講じようとする中、自治体間の競争は今後、益々激しくなってくるものと思われます。
 国においても、「やる気のある自治体」へ積極的に支援する意向を表す中で、私たちは、知恵を出し、良い政策を立案し、スピードを持って行政課題に取り組んでいかなければなりません。
 このような状況に対し、平成27年度は、元気な浜田づくりの「本格実行の年」として、強い決意を持って、各種事業を推進し、浜田市が島根県西部の中核都市として更なる飛躍を遂げられるよう全力を尽くしてまいります。
 議員各位におかれましても、一層のご理解、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 

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