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令和2年度施政方針

 

令和2年度施政方針 

 令和2年3月浜田市議会定例会議の開会に当たり、令和2年度の当初予算をはじめとする諸議案の説明に先立ちまして、今後の市政運営に関する所信を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

市長1     市長2

施政方針を表明する久保田章市 浜田市長

 

はじめに 

  本任期におきましては、第1に「産業振興と中小事業者支援」、第2に「少子化対策と子育て支援」、第3に「福祉の充実と市民負担の軽減」、第4に「ふるさと郷育と歴史文化の継承」、第5に「中山間地域の諸課題への対応」、第6に「防災・減災対策」、第7に「行財政改革」の、以上7つを重点政策として推進しております。
 昨年、丸山県知事が誕生し、島根県においては島根創生を掲げて、人口減少対策を最優先課題として取り組んでおられます。私も市長就任時から、人口の減少とそれに伴う経済の縮小が本市の最大の課題であると考え、市政の推進に取り組んでまいりました。今後とも、島根県としっかりと連携し、「元気な浜田づくり」に取り組んでまいります。議員並びに市民の皆さんのご理解、ご協力をお願い申し上げます。
 それでは、令和2年度の施策につきまして、「第2次浜田市総合振興計画」の7つの「まちづくりの大綱」に沿って、主な事項を説明いたします。 

7つのまちづくり大綱

1 活力のある産業を育て雇用をつくるまち

 大綱の1つ目「活力のある産業を育て雇用をつくるまち」につきましては、6点について申し上げます。

 1. 水産業の振興                              

 1点目は、水産業の振興についてであります。
 新たに策定する「浜田漁港周辺エリア活性化計画」に基づき、「安全・安心で、活力ある水産業が展開され、賑わいのある浜田漁港」を目指し、水産業の活性化に取り組んでまいります。
 高度衛生管理型荷さばき所につきましては、現在工事中のまき網漁業用7号荷さばき所は、本年7月の供用開始を目指します。
 また、沖合底曳網漁業用4号荷さばき所は、令和4年度の完成を目指し、本年は、既存施設の解体工事を実施いたします。
 山陰浜田港公設市場につきましては、民間事業者のノウハウを活かし、新たな賑わいづくりの拠点施設となるよう、整備を進めてまいります。
 瀬戸ケ島埋立地につきましては、昨年、地下海水の試掘調査を、島根県の支援のもと実施しました。この調査結果をもとに、水産関連企業とともに陸上養殖事業の可能性について共同研究を進めます。なお、当地に整備される「渚の交番」については、今後、海洋教育の拠点として活用してまいります。
 水産物の魚価向上、販路拡大につきましては、荷さばき所や仲買市場の整備に伴う衛生管理の強化により、山陰浜田港のブランド力の向上を図ります。引き続き、「浜田港四季のお魚」、「どんちっち三魚」、「沖獲れ一番」の推進・PRに努め、消費拡大を目指します。

 2. 農林業の振興

 2点目に、農林業の振興についてであります。
 農業の振興につきましては、高齢化や担い手不足等の課題を解決するために作成した「人・農地プラン」の実質化に向け、関係機関と一緒になって取り組んでまいります。
 また、生産効率の向上、農作業の省力化や効率化を図るため、大規模農業や集落営農の組織化・法人化を引き続き推進するとともに、畦畔の草刈作業を軽減するためのセンチピードグラスの吹付けなどの支援、スマート農業をはじめとした先進的な取組に対する支援を行ってまいります。
 浜田の顔となる3つの振興作物についてでありますが、「大粒ぶどう」につきましては、引き続きリースハウス事業により、栽培面積の拡大を進めてまいります。「赤梨」につきましては、ジョイント栽培導入に向けた大苗栽培に対する支援を行うとともに、園地継承や園地維持のための改植・補植を推進してまいります。「西条柿」につきましては、引き続き品質の向上と生産拡大に向けて支援してまいります。
 畜産の振興につきましては、昨年4月に創業開始された三隅町の大規模畜産法人の経営安定化に向け、引き続き、優良乳用牛導入に対する支援などを行ってまいります。
 林業の振興につきましては、これまで、森林の境界の明確化や集約化を進め、施業しやすい環境づくりに取り組んでまいりました。令和2年度は、森林環境譲与税を活用し、市産木材の利用促進、林業従事者の人材育成、木育の普及などに努めます。
 また、本年5月には、島根県において全国植樹祭が開催され、本市でも全国林業後継者大会が行われます。これを契機に今後一層、地域林業の振興を図ってまいります。

 3. 商工業の振興

 3点目に、商工業の振興についてであります。
 事業承継につきましては、地域おこし協力隊制度を活用した、事業後継者や料理人の募集を行い、それぞれ全国から応募がありました。今後、選考された方には、市内の事業所で経験を積んでいただく予定です。
 浜田産品の販路拡大につきましては、引き続き、企業間の商談機会を創出し、新規販路の確保、既存取引先への商品採用の支援に取り組んでまいります。
 ふるさと寄附につきましては、昨年6月に国の新たな「ふるさと納税に係る指定制度」が実施されました。引き続き、国のルールを守りながら、事業者の皆さんと一緒に、ふるさと寄附の更なる推進に取り組んでまいります。
商店街の活性化につきましては、その一助とすべく、BUY浜田昼市を、「浜田開府400年祭記念式典」や「まちなかキャンパス」、「浜田川で舟あそび」に併せて商店街を会場に開催し、多くの参加者で賑わいました。
 引き続き、商店街の賑わいに資するBUY浜田昼市を開催し、BUY浜田運動の推進にもつなげてまいります。

 4. 浜田港を活かした産業振興 

 4点目に、浜田港を活かした産業振興についてであります。
 山陰自動車道と浜田港を結ぶ臨港道路福井4号線が開通し、荷役機械のガントリークレーンが供用開始になるなど、浜田港の機能強化が進んでいます。今後も港湾計画に基づいて着実に浜田港の整備が促進されるよう、国、県や関係機関に働きかけてまいります。
 また、国際定期コンテナ貨物量につきましては、過去最高であった昨年度の記録を大きく上回る見込みです。国際定期コンテナの週2便化や港湾機能の強化を追い風として、引き続き、ポートセールスに取り組んでまいります。
 クルーズ船誘致につきましては、本年は、大型クルーズ船「コスタ・ネオロマンチカ」が3回と、日本初就航となる「クリスタル・エンデバー」の寄港が決定しました。今後も島根県や周辺市町、関係団体と連携し、受入対策に取り組んでまいります。

 5. 観光・交流の推進 

 5点目に、観光・交流の推進についてであります。
 昨年は、「浜田開府400年」を迎え、全市を挙げて様々な記念事業を実施してまいりました。ご支援、ご協力いただいた、市民の皆さん、関係の皆さんに改めて感謝申し上げます。
 石見神楽につきましては、昨年5月に石見9市町で申請した「神々や鬼たちが躍動する神話の世界~石見地域で伝承される神楽~」が、日本遺産に認定されました。
 本市は、石見神楽の本場であり、50を超える神楽団体があります。神楽衣装などの費用負担が大きいことから、令和2年度から、ふるさと応援基金を活用して、新たに衣装代などの支援制度を創設してまいります。
 本年は「東京2020オリンピック・パラリンピック」が開催されます。この機会に、石見神楽の魅力を国内外に発信するため、8月25日に「石見神楽国立劇場公演」を本市の独自事業として実施します。さらに、島根県と連携して、東京都内での神楽公演にも取り組んでまいります。
 課題のインバウンド(訪日外国人客)対策につきましては、日本遺産の石見神楽を前面に押し出し、浜田市への誘客を図り、あわせて、温泉や豊かな自然などをアピールしてまいります。
 また、本年秋頃には、「第3回全国未成線サミットin浜田」が開催されます。これを契機に、本市の宝である「広浜鉄道今福線」の利活用と地域活性化を考えてまいります。
 さらに、現在、島根県では、「美肌観光の推進」に取り組まれております。本市の美又温泉と旭温泉が「美肌観光モデルプランづくりに取り組むエリア」に選定されましたので、島根県と連携し、誘客に取り組んでまいります。
 萩・石見空港の利用促進につきましては、市内中学校の修学旅行での利用が年々増加し、昨年の3校に続き、本年は5校が利用される予定です。引き続き、島根県や圏域の市町と連携して利用拡大に取り組んでまいります。

 6. 企業立地と雇用の確保             

 6点目に、企業立地と雇用の確保についてであります。
 企業立地につきましては、課題となっている用地不足を解消するため、昨年、新たな候補地の概略設計を行いました。今後、その結果を踏まえ、用地整備を検討し、島根県への働きかけを行ってまいります。
 雇用の確保につきましては、地元企業の魅力や求人情報を掲載するウェブサイト「働こう@浜田」に地元企業42社を掲載し、情報発信しております。引き続き、大学生などに向けた地元企業の魅力やU・Iターンに関する情報を、大手動画サイトやSNSで配信するなどして、雇用確保に取り組んでまいります。
 広島を中心とした山陽方面へのアプローチにつきましては、広島事務所を中心に企業誘致に取り組むとともに、引き続き、販路拡大、ポートセールス、観光交流の推進に取り組んでまいります。

2 健康でいきいきと暮らせるまち

 大綱の2つ目「健康でいきいきと暮らせるまち」につきましては、4点について申し上げます。

  1. 子どもを安心して産み育てる環境づくり

 1点目は、子どもを安心して産み育てる環境づくりについてであります。
 令和2年度からの5年間を計画期間とした「第2期子ども・子育て支援事業計画」を策定し、今後は、この計画に基づき、子ども・子育てに関する施策を推進してまいります。
 母子保健につきましては、幼児の視力検査における弱視の早期発見、早期治療を目的に、的確なスクリーニングを瞬時に行うことができる機器を導入し、3歳児健診を中心に、視力検査に活用してまいります。また、産後うつの予防等の観点から、母親の産後1か月健診を無料といたします。
 子育て世代包括支援センターの建設につきましては、令和2年度に実施設計に着手し、令和3年度中の完成を目指してまいります。

  2. 高齢者福祉の充実  

 2点目の、高齢者福祉の充実につきましては、浜田地区広域行政組合の介護保険事業計画と整合性を図りながら、令和2年度に「浜田市高齢者福祉計画」を策定し、推進してまいります。
 また、認知症対策につきましては、昨年9月の議会定例会議で議員提案がありました「浜田市認知症の人にやさしいまちづくり条例」を9月末に公布、施行いたしました。今後、この条例に沿って、認知症に対する正しい理解と知識の普及に努めるとともに、認知症の方々を支援する体制づくりを進めてまいります。

 3. 障がい者福祉と地域福祉の充実

 3点目に、障がい者福祉と地域福祉の充実についてであります。
 障がい者福祉につきましては、健康福祉フェスティバルをリニューアルし、12月の障害者週間に合わせて開催いたします。障がいについての理解と関心を深め、障がいのある人もない人も、共に安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。
 地域福祉につきましては、社会福祉協議会や民生委員・児童委員の活動を支援し、地域における見守りや声かけなどを通して地域内のつながりを深め、住み慣れた地域で安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。

 4. 医療体制の充実と健康づくり・介護予防の推進

 4点目に、医療体制の充実と健康づくり・介護予防の推進についてであります。
 医療体制につきましては、本年3月末に国保診療所の医師1名が退職しますので、新たな医師の招聘など、国保診療所の体制の充実に取り組んでまいります。また、引き続き、将来の医療を担う人材を増やすことを目的に、中高生と医学生、看護学生、医療従事者との交流会を開催するほか、診療所における研修医の受入れを推進してまいります。
 次に、健康づくり・介護予防の推進についてであります。昨年から始めた「はまだ健康チャレンジ事業」では、1日8千歩を歩くことを目標に、さらに多くの市民の皆さんが主体的に健康づくりに取り組んでいただけるよう、事業の普及に取り組んでまいります。また、地域の集いの場を活用し、「いきいき百歳体操」の普及を図り、生活習慣病予防や介護予防、心の健康づくりを進めてまいります。

3 夢を持ち郷土を愛する人を育むまち

  大綱の3つ目「夢を持ち郷土を愛する人を育むまち」につきましては、4点について申し上げます。

 1. 学校教育環境の充実 

 1点目は、学校教育環境の充実についてであります。
 夏の暑さ対策として取り組みました、幼稚園、小・中学校の普通教室へのエアコン設置が令和元年度中に完了する予定であり、令和2年度からは、快適な学習環境が整うものと思います。
 議会からご意見のありました特別教室への設置につきましては、今後、検討してまいります。

 2.社会教育の推進

 2点目に、社会教育の推進についてであります。
 地域づくりに主体的に参画しようとする人づくりや、住民の当事者意識の醸成を図るため、地域の拠点である公民館機能や活動の充実を図ってまいります。
 また、学校、家庭と地域の連携・協働による「地域学校協働活動」や、高校と地域の協働体制として立ち上げる「高校魅力化コンソーシアム」の活動にも取り組んでまいります。

 3. 生涯スポーツの振興

 3点目に、生涯スポーツの振興についてであります。
 引き続き、浜田市体育協会や各競技団体との連携を図り、競技力の向上や、軽スポーツの普及に努めてまいります。
 なお、施設整備につきましては、スポーツ施設の適正な配置及び整備の方向性を示す、「浜田市スポーツ施設再配置・整備計画」を本年3月に策定いたします。具体的な改修を行うための「社会教育施設長寿命化計画」の策定に向けて、令和2年度から、施設の調査を行ってまいります。
 また、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の開催に合わせ、本市でもオリンピック聖火リレー及びパラリンピック採火式を開催する予定であります。
 市としましても、機運醸成のため、市民ロビー等で本市出身のオリンピック選手紹介イベントなどの取組を行います。


4.歴史・文化の伝承と創造

 4点目に、歴史・文化の伝承と創造についてであります。
 歴史文化保存展示施設につきましては、(仮称)浜田歴史資料館検討会の報告や市議会の意見なども踏まえ、浜田市郷土資料館を中核施設として建替え整備することといたしました。
 整備場所は、複合化によるメリットも含め、整備費、運営費が安価である世界こども美術館に増設する方針としました。
 なお、整備費は、国の資金やふるさと応援基金を活用し、整備いたします。
 令和2年度からは、歴史文化保存展示施設での展示や、学校教育でのふるさと郷育への活用など、具体的な整備内容について、専門家による検討委員会を設置し、検討してまいります。
 なお、本年度から、各支所等の空きスペースを活用して文化財の展示を始めております。令和2年中には、全ての支所等でご覧いただけるようになる予定です。

 以上、教育について、重点的な取組を述べましたが、教育方針につきましては、後ほど教育長から申し述べます。
 

  ※教育方針は、後ろに掲載しています。

 

4 自然環境を守り活かすまち 

  大綱の4つ目「自然環境を守り活かすまち」につきましては、3点について申し上げます。

 1.地球温暖化対策の推進 

 1点目は、地球温暖化対策の推進についてであります。
 昨年策定した「浜田市地球温暖化対策実行計画」に基づき、市民、事業者、各種団体と連携し、温暖化対策の推進に努めてまいります。
 また、新たに蓄電池設備の単独設置に対する補助メニューを創設し、家庭における省エネをさらに推進してまいります。
 なお、国においては、「持続可能な開発目標」、いわゆる「S(エス)D(ディ)G(ジー)s(ズ)」の17の国際目標のひとつに「気候変動への対応」が盛り込まれています。本市もその理念に賛同し、今後の施策に取り入れるとともに、その理念の普及に努めてまいります。

 2. 環境保全と快適な住環境づくりの推進

 2点目に、環境保全と快適な住環境づくりの推進についてであります。
 「浜田市生活環境の保全に関する条例」に基づき、市民と行政が一体となった環境美化活動や住環境及び自然環境の保全に取り組んでまいります。

 3.循環型社会の構築

 3点目に、循環型社会の構築についてであります。
 現在、本市では「4R運動」に取り組んでおります。「4R運動」とは、ごみを削減する「リデュース」、過剰包装やレジ袋を辞退する「リフューズ」、繰り返し使用する「リユース」、再生して利用する「リサイクル」の運動であります。引き続きこの運動に取り組み、ごみの発生抑制と再資源化を進めてまいります。

5 生活基盤が整った快適に暮らせるまち

  大綱の5つ目「生活基盤が整った快適に暮らせるまち」につきましては、4点について申し上げます。

 1. 道路網の整備

 1点目は、道路網の整備についてであります。
 山陰道のうち三隅益田道路につきましては、昨年12月に、令和7年度の完成目途が示されました。今後は、着実な事業実施を国へ要望してまいります。
 また、浜田道につきましては、瑞穂・金城間が、4車線化の優先整備区間に選定されました。今後、順次着工し、概ね10年から15年程度で完成を目指すとのことから、早期着手を国に要望してまいります。
 小中学校の通学路及び未就学児の園外活動時の安全対策につきましては、道路管理者や警察などの関係機関と、危険箇所の合同点検を実施しております。緊急対策として、令和2年度から3年間、ふるさと応援基金を活用して、緊急度の高い箇所からガードレールを設置するなどの整備をしてまいります。

 2. 公共交通の充実

 2点目に、公共交通の充実についてであります。
 昨年3月に策定した「第2次浜田市公共交通再編計画」に基づき、ドア・トゥ・ドアで移動できるタクシーを利用した新たな交通手段の導入など、各地域の特性に対応した交通体系の再構築を進めてまいります。
 また、大変好評をいただいております「敬老福祉乗車券交付事業」につきましては、引き続き実施してまいります。

 3. 浜田駅周辺の整備

 3点目に、浜田駅周辺整備についてであります。
 浜田駅前広場の整備につきましては、JR、バス、タクシー事業者等の協力を得ながら工事を進めており、本年7月中の完成を目指してまいります。
 君市踏切の改良につきましては、踏切の位置を浜田駅側に約40メートル移設して拡幅し、併せて浜田駅南北地区を結ぶ道路を整備します。令和2年度は、JRへの委託工事及び踏切から北側の道路工事に着手し、令和3年度中の供用開始を目指してまいります。

 4. 上下水道の整備

 4点目に、上下水道の整備についてであります。
 水道事業につきましては、平成30年10月から段階的な料金改定を実施しており、本年10月からは、市内全域の水道料金を統一いたします。
 水道管路更新事業につきましては、令和元年度から3年間を集中期間として取り組んでおり、市街地の基幹管路の耐震化を推進してまいります。
 下水道事業の推進につきましては、市役所・駅前周辺地区を優先地区として、令和2年度から事業着手し、処理場の用地取得に向けて手続きを進めてまいります。
 また、公共下水道事業につきましては、令和2年度から地方公営企業法の財務規定を適用し、経営の透明性の向上を図ってまいります。

6 安全で安心して暮らせるまち

 大綱の6つ目「安全で安心して暮らせるまち」につきましては、4点について申し上げます。

 1. 災害に強いまちづくり

 1点目は、災害に強いまちづくりについてであります。
 令和2年度は、河川の氾濫区域の見直しや土砂災害レッドゾーンの指定を反映した、水害及び土砂災害に関する防災ハザードマップを新たに作成し、全世帯に配布いたします。昨年3月に作成した津波ハザードマップと併せて周知・啓発を行い、住民の早期避難などにつなげてまいります。
 住民への情報周知手段の確保・充実につきましては、防災行政無線、防災防犯メール、ケーブルテレビ、河川カメラの映像配信など、多様な情報伝達手段の活用と設備の充実に努めてまいります。
 地域防災力の向上につきましては、引き続き、自主防災組織の立上げ支援と防災出前講座の開催を通じて、「自助」と「共助」の活動支援を行ってまいります。
 また、大規模自然災害等に備えて、本市における国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、「国土強靱化地域計画」を策定してまいります。

 2. 防犯・交通安全対策

 2点目に、防犯・交通安全対策についてであります。
 防犯対策としまして、防犯出前講座による啓発活動や、浜田警察署など関係機関と連携した防犯活動に取り組み、犯罪の未然防止に努めてまいります。
 また、昨年から地域づくり振興事業の補助メニューに防犯カメラ設置補助制度を追加いたしました。引き続き、防犯カメラの設置増加に向けて取り組んでまいります。
 交通安全対策につきましては、昨年発生した4件の交通死亡事故のうち、2件は高齢者が亡くなったものでした。今後とも関係団体と連携して、交通弱者である高齢者や子どもの交通安全対策を重点とした取組を推進してまいります。

  3. 米軍機騒音問題

 3点目の、米軍機騒音問題につきましては、引き続き、島根県や関係市町と一緒になって、外務省、防衛省に対して、飛行訓練の中止などの要望を行ってまいります。

  4. 消防・救急体制の充実 

 4点目に、消防・救急体制の充実についてであります。
 近年、毎年のように全国で大規模な自然災害が発生しており、地域防災力の要となる消防団の力は必要不可欠であります。平成30年4月に設置した「浜田市消防団施設のあり方検討会」での検討結果に基づき、消防団組織等の充実を図り、常備消防との連携強化に努めてまいります。
 救急体制につきましては、AEDの設置を促進するとともに、現場に居合わせた市民がAEDを使用できるように、応急手当講習会を開催し、救命率の高い地域を目指します。

7 協働による持続可能なまち

 大綱の7つ目「協働による持続可能なまち」につきましては、4点について申し上げます。

 1. 地域コミュニティの形成

 1点目は、地域コミュニティの形成についてであります。
 地域コミュニティの形成につきましては、自治区制度の後継となる「協働のまちづくり推進条例」及び「公民館のコミュニティセンター化」の検討の中で議論を深め、新たな住民主体のまちづくりを支える体制づくりに取り組んでまいります。
 また、協働のまちづくりの活動をより一層促進するため、地区まちづくり推進委員会の設立を支援してまいります。なお、まちづくり総合交付金は、令和3年度以降も継続を予定しており、より有効な活用方法について検討してまいります。

 2. 定住環境づくりの推進

 2点目に、定住環境づくりの推進についてであります。
 定住の促進につきましては、特にUターン対策に力を入れてまいります。定住相談員を中心にきめ細やかな相談対応に努めるとともに、市内事業所への就職支援など、ふるさと島根定住財団とも連携して取り組んでまいります。
 また、令和2年度から、地域政策部に関係人口に着目した取組を推進する組織を新設いたします。
 具体的には、一旦、市外に出て行く若者とのネットワークづくり、出身者会等の人材の新たな活用に取り組んでまいります。また、就労等の地域人材の確保を目的に、昨年12月に国で制定された「特定地域づくり事業推進法」の活用について検討してまいります。
 婚活支援につきましては、本年4月から、しまねコンピューターマッチングシステム「しまコ」を導入し、島根県及びしまね縁結びサポートセンターと連携しながら、支援体制の強化を図ってまいります。

 3. 大学等高等教育機関との連携

 3点目に、大学等高等教育機関との連携についてであります。
 島根県立大学では、令和3年4月の浜田キャンパス学部改編に向けて準備を進めておられます。
 これまで、島根県立大学支援協議会が要望してきた、地域系学部の新設が実現されるに当たり、関係団体とともに一層の支援を行ってまいります。

 4. 人権を尊重するまちづくりと男女共同参画社会の推進

 4点目に、人権を尊重するまちづくりと男女共同参画社会の推進についてであります。
 人権を尊重するまちづくりにつきましては、「浜田市人権教育・啓発推進基本計画」に基づき、一人ひとりの生き方や考え方を認め合い、尊重される社会の実現を目指してまいります。本年11月に本市で「しまね人権フェスティバル」が開催されますので、これを契機に、さらに人権啓発に取り組んでまいります。
 また、同和問題をはじめとする様々な人権問題の解決に向けて、地域や企業などにも積極的に研修の開催や参加を働きかけてまいります。
 男女共同参画社会の推進につきましては、「浜田市男女共同参画推進計画」に基づき、男女それぞれの意見が反映される社会を目指してまいります。

以上、7つの「まちづくりの大綱」に沿って、主な事項を説明いたしました。

 

各自治区のまちづくり

 1. 金城自治区 

 金城自治区におきましては、「農業と観光の振興」と「住民の生活環境を大切にしたまちづくり」に取り組んでまいります。
 農業振興につきましては、新開団地に新たに整備される集出荷施設を核として、大粒ぶどうの産地化を進めます。また、産直市に出荷する少量多品目の野菜栽培を奨励し、BUY浜田運動を一層推進してまいります。
 観光振興につきましては、美又温泉と湯屋温泉という、泉質が違う二つの温泉を活かしながら、合宿の誘致や島根県が進める「美肌観光」と連携して交流人口の拡大を図り、地域の活性化や産業振興につなげてまいります。
 生活環境を大切にしたまちづくりにつきましては、長年の懸案であります家畜の臭気対策について、関係機関などと連携して検討してまいります。

 2. 旭自治区

 旭自治区におきましては、引き続き「農地保全と農業振興」、旭温泉を拠点とした「観光交流人口の拡大」に取り組んでまいります。
 農地保全につきましては、集落ぐるみで守るべき農地の明確化に取り組みます。あわせて、中山間地域等直接支払制度第5期対策の中で、集落協定の広域連携を図り、農作業や交付金事務の負担軽減を推進してまいります。
 農業振興につきましては、ブランド米として定着しつつある「坂本米」の中心経営体である農事組合法人の生産及び販売体制の確立を支援するとともに、次世代への事業承継に取り組みます。
 観光交流人口の拡大につきましては、山陽方面からの玄関口となる旭温泉が島根県の「美肌観光モデルプランづくりに取り組むエリア」に選定されたことから、SNSなどを通じた口コミ評価の向上に取り組んでまいります。

 3. 弥栄自治区

 弥栄自治区におきましては、引き続き「農業生産と加工」と「交流人口の拡大」に取り組んでまいります。
 農業生産につきましては、圃場整備事業に取り組むとともに、持続可能な仕組みづくりとして、集落営農組織の連携による新組織を設立し、農作業の効率化及び省力化を進めてまいります。
 野菜生産につきましては、弥栄野菜生産者協議会を中心に、有機野菜の生産拡大や省力化に向けた共同調整の仕組みづくりに取り組んでまいります。
 農産物の加工につきましては、農産品の6次産業化を推進し、イノシシ肉につきましては、獣肉加工処理施設利用組合を中心に販路拡大を図ってまいります。
 交流人口の拡大につきましては、恒例となったウルトラマラニックを令和2年度も実施し、大会運営において地域住民との連携をより強化する中で、参加者との交流拡大や地元産品の販売促進につなげてまいります。
 なお、ふるさと体験村につきましては、令和3年4月の再開を目指しております。本年4月頃には事業者を公募し、指定管理者が決まりましたら、施設改修等の予算を改めて議会に提案したいと考えております。

 4. 三隅自治区

 三隅自治区におきましては、引き続き「石州和紙や西条柿などの地域資源を活かした産業振興」、「住民主体の地域づくり」、「三隅発電所2号機建設に向けた取組」を進めてまいります。
 石州和紙につきましては、技術の継承や後継者の確保、原紙・加工品の販売促進、不足する「楮」の生産維持・拡大に取り組んでまいります。
 西条柿につきましては、整備した灌水施設を活用し、品質の向上を図るとともに、収穫等ボランティアの協力による収穫量の増加を支援してまいります。
 住民主体の地域づくりにつきましては、地区まちづくり推進委員会や自治会の地域課題の解決や地域資源の活用の取組を支援してまいります。また、関心が高まっている災害に対する取組について、住民参加型の防災訓練を引き続き実施し、地域防災力の更なる向上を図ってまいります。
 三隅発電所2号機建設に向けた取組につきましては、引き続き工事や物品・サービスにおいて地元事業者が活用されるよう、商工団体と連携して取り組んでまいります。また、作業従事者の宿舎は、現在、三隅自治区内に4箇所建設されております。今後、作業員の通勤車両や工事車両が増加することが想定されますので、交通安全対策などに取り組んでまいります。

 

中山間地域対策

 次に、本市にとって重要な課題であります、中山間地域対策について申し上げます。
 これまで行ってきた鳥獣対策や草刈り支援等に加え、中山間地域対策プロジェクトチームにおいて、公民館のコミュニティセンター化や全市的な防災情報機器の整備、効率的な地域公共交通の確立など、議会特別委員会からいただいた提言も取り入れながら、引き続き中山間地域対策に取り組んでまいります。

健全な市政運営に向けた取組

 次に、健全な市政運営に向けた取組について申し上げます。

 1. 行財政改革の取組   

 行財政改革につきましては、引き続き「浜田市行財政改革実施計画」及び「浜田市第1期公共施設再配置実施計画」を着実に実行してまいります。令和2年度の取組として、2点について申し上げます。
 1点目として、定員適正化計画の着実な実行と、業務の削減や効率化により、行政のスリム化に取り組んでまいります。
 2点目として、「市有財産有効活用推進基金」を活用し、「浜田市市有財産売却計画」に基づき、引き続き遊休財産の売却を進めてまいります。

 2. 令和2年度予算

 次に、令和2年度当初予算(案)についてであります。
 令和2年度予算の編成に当たっては、国による地方創生の取組が継続して進む中、総合振興計画及び総合戦略に沿って、主要事業の予算の確保に努めております。
 ハード事業では、引き続き、浜田駅周辺の整備や高度衛生管理型荷さばき所の整備に取り組むほか、新たに通学路等を対象とした緊急安全対策を実施します。
 ソフト事業では、日本遺産石見神楽保存・継承支援事業や学校給食費激変緩和対策事業など、新たな事業にも取り組みます。
 一方で、行財政改革実施計画に盛り込んだ効果額を踏まえつつ、事務事業評価結果も反映し、事務事業の見直しにも取り組んでおります。
 こうしたことから、一般会計の予算規模は357億2千万円、平成31年度当初予算と比較して、金額で30億1千万円の減、率にして7.8%の減となりました。
 今後は、「中期財政計画及び見通し」でお示ししましたように、行財政改革の取組を加速することにより、将来に責任ある持続可能な財政運営を実現してまいります。
 また、本年は10月1日を基準日に国勢調査が実施されます。その結果は、地方交付税算出の基礎データとなります。
 今回の国勢調査では、島根県や県立大学の協力をいただき、全国初の試みとして、授業の一環で大学生にも調査員として活動していただきます。
 調査期間中は、国勢調査員が各家庭を訪問しますので、市民の皆さんの調査へのご協力をお願いいたします。

 最後に 

 以上、令和2年度の施策について申し上げました。
 市長として2期目の折り返しを過ぎたところであり、本年は、「元気な浜田づくり」のための各種施策の仕上げに向けた取組を進めてまいります。
 なお、市政運営におきましては、県や近隣市町とも連携を深め、多様化する行政課題の解決に取り組んでまいります。
 議員各位におかれましても、一層のご理解、ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 

 教育方針はこちらからご覧ください。

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