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令和4年度施政方針、教育方針

 

令和4年度施政方針 

 令和4年3月浜田市議会定例会議の開会に当たり、今後の市政運営に関する所信を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。   

市長1 市長2

 施政方針を表明する久保田章市 浜田市長

 

はじめに 

 令和4年3月浜田市議会定例会議の開会に当たり、今後の市政運営に関する所信を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 長引く新型コロナウイルス感染症は、本年初め頃から全国的に第6波が発生し、本市においても市民生活に大きな影響を及ぼしております。引き続き、感染症対策の徹底を図るとともに、ワクチンの3回目接種を推進し、市民の皆さんの暮らしや地域経済を支える各種支援策には、スピード感を持って対応してまいります。
 昨年12月には、「第2次浜田市総合振興計画 後期基本計画」を策定いたしました。本年4月からの4年間は、この後期基本計画を市政運営の最も基本となる指針とし、「SDGs(エスディージーズ)」を踏まえた持続可能なまちを目指し、「住みたい 住んでよかった 魅力いっぱい 元気な浜田」の実現に取り組んでまいります。
 それでは、令和4年度の施策につきまして、主な事項を説明いたします。 

特に力を入れる政策

 令和3年12月市議会定例会議における所信表明でも申し上げましたとおり、本任期においては、特に2つの政策に力を入れてまいります。

1. 主な若者対策

 1つ目は、「若者対策」であります。
 少子化の大きな要因として、若者の減少が挙げられます。その対策として、令和3年度から、若者の「出会い・結婚・出産・子育て」をトータルで応援する事業に取り組んでおります。また、新たに、結婚したカップルや赤ちゃん誕生世帯への応援金、第3子以降の保育料及び保育所等の給食費の無償化を始め、令和4年度からは、子ども医療費の助成を、これまでの中学生から18歳までに拡充いたします。
 さらに、若者を支援する事業の創出、拡充に取り組みます。
 具体的には、UIターン者向けに、空き家バンク物件の改修費助成の上乗せや、農業や漁業研修終了後の定着を促す制度の創設などを行います。また、地域で活躍する若者を応援するため、若者が起業した場合の起業時補助金の上乗せや、昨年設立された「若者会議」への活動支援を行ってまいります。
 浜田市で生活する若者の暮らしを支えるためには、雇用の場の確保も重要であります。ウェブサイト「働こう@浜田」を活用し、地元企業の魅力をアピールするなど、若者の雇用確保や定住促進に努めてまいります。
 また、本年2月にリニューアルしました、移住・定住サイト「はまだぐらし」による情報発信に努め、「浜っ子LINEクラブ」を活用し、市外在住の若者とのつながりを持ち、UIターンにつなげてまいります。

 2. 協働のまちづくりの推進

 2つ目は、「協働のまちづくりの推進」であります。
 「浜田市協働のまちづくり推進条例」の基本理念の実現を目指し、令和3年度に、「浜田市協働のまちづくり推進計画」を策定いたします。
 計画に掲げる具体的な施策を展開し、市民の皆さん、地域で活動する様々な団体や事業者の皆さんと力を合わせながら、協働による持続可能で元気なまちづくりを進めてまいります。
 また、まちづくりセンターや、まちづくりコーディネーターと連携し、引き続き、地区まちづくり推進委員会の設立や活動に対する支援を行ってまいります。
 特に人口が多い地区のまちづくりセンターにおいては、拠点整備の要望もいただいております。まずは、石見まちづくりセンターを補完する「(仮称)長沢サブセンター」の整備を進めてまいります。
 なお、市役所内におきましても、全庁的な組織として市長をトップとする協働推進本部を設置し、本庁支所の各課に協働推進員を配置し、協働を推進してまいります。
 

7つのまちづくり大綱

 続いて、「第2次浜田市総合振興計画」の7つの「まちづくりの大綱」に沿って、主な事項を説明いたします。

1 活力のある産業を育て雇用をつくるまち

 大綱の1つ目「活力のある産業を育て雇用をつくるまち」につきましては、6点について申し上げます。

 1. 水産業の振興                              

 1点目は、水産業の振興についてであります。
 令和3年の水揚げは、漁業資源の減少に加え、昨年3月に発生した地元まき網漁船の事故等により厳しい状況ではありましたが、地元漁業者のご努力に加え、緊急対策として外来船に対する入港奨励支援を行ったこともあり、水揚金額は37億3,800万円と、前年を上回りました。
 将来にわたって水産浜田として生き残るためには、地元漁船を存続させることが重要であります。特に沖合底びき網漁船団については、漁船の老朽化が進んでおり、事業継続には新船建造が不可欠であります。令和4年度は、島根県と連携して新船建造に対する支援制度を創設し、事業継続を後押しいたします。
 高度衛生管理型荷さばき所につきましては、まき網漁業用の7号荷さばき所が令和2年度に完成しました。令和3年度には沖合底びき網漁業用の4号荷さばき所の建設工事に着手し、令和4年度の完成を目指します。
 はまだお魚市場につきましては、令和3年7月にグランドオープンして以降、県内外の多くの方にご来場いただき、賑わっております。引き続き、指定管理者や水産関係者と連携し、更なる賑わいの創出に努めてまいります。
 瀬戸ケ島埋立地を活用した陸上養殖事業につきましては、新型コロナの影響で共同研究が中断しておりますが、できるだけ早い研究再開に向けて、水産関連企業に働きかけを行ってまいります。 

 2. 農林業の振興

 2点目に、農林業の振興についてであります。
 農業の振興につきましては、これまで儲かる農業の実現に向け、有機野菜を加えた4つの振興作物に対する支援等を行ってまいりました。国においては、「みどりの食料システム戦略」を策定し、有機農業を推進されており、本市においても、今後、特に有機農業の取組面積の拡大を図るとともに、露地有機野菜の栽培に取り組んでまいります。
 また、集落営農組織等の広域連携や、中山間地域等直接支払制度における集落協定の広域化、農作業の省力化にも努めます。
 担い手育成では、まちづくり振興基金の中山間地域振興枠を活用し、新たに実施する「担い手等育成支援事業」により、地域農業の担い手の育成に努めてまいります。
 有害鳥獣の被害防止対策につきましては、集落ぐるみで鳥獣被害対策を行うモデル集落の育成を図り、地域全体での効果的な対策に取り組んでまいります。
 林業の振興につきましては、これまで、市内の森林整備、林業従事者の人材育成、市産材の利用促進、木育の普及などに取り組んでまいりました。今後も、森林環境譲与税を有効活用し、引き続き、森林環境の整備や地域林業の活性化を推進いたします。

 3. 商工業の振興

 3点目に、商工業の振興についてであります。
 長期化するコロナ禍において、多くの市内事業所では厳しい経営状況が続いております。引き続き、国や県の支援策を補完するとともに、地域特性を考慮し、事業者に寄り添った支援を行ってまいります。
 事業承継につきましては、研修3年目を迎える地域おこし協力隊員が任期終了後に本市に定着できるよう、関係機関と一緒にサポートいたします。また、新たに募集する協力隊員と後継者不在事業所等とのマッチングの支援を行ってまいります。
 起業・創業につきましては、セミナーの開催や補助金支援により、令和3年度は1月までで5件の起業につながりました。引き続き、セミナー開催などの支援を行うとともに、起業間もない方へのフォローアップを充実いたします。
 BUY浜田運動につきましては、新たにPR動画を作成し、更なる認知度向上に努め、地元産品の消費拡大や商店街の賑わい創出に努めてまいります。
 浜田産品の販路拡大につきましては、令和3年度は新型コロナの影響により、多くの事業者は十分な活動ができませんでした。事業者からは販路開拓や新商品開発支援の要望が多くあり、令和4年度は、Web等を活用した商談機会の創出に取り組みます。また、引き続き、新規販路の開拓、商品採用の支援、商品開発や生産体制向上など競争力強化のための支援も行ってまいります。
 ふるさと寄附におきましては、昨年4月から12月までに11億600万円のご寄附をいただき、中国5県で第1位となった前年同時期の金額を上回りました。
 令和4年度は、個人版に加え企業版ふるさと納税の推進にも取り組んでまいります。 

 4. 浜田港を活かした産業振興 

 4点目に、浜田港を活かした産業振興についてであります。
 令和4年度は、浜田港福井第2上屋が竣工予定です。今後も、浜田港の重要課題である大型船舶に対応した港湾整備が促進されるよう、国や県に働きかけてまいります。
 また、コロナ禍における世界的なコンテナ不足を背景とした物流網の混乱により、海上運賃の高騰が続いております。島根県及び浜田港振興会と連携し、荷主企業に対する支援に取り組んでまいります。
 クルーズ客船につきましては、新型コロナの感染拡大により、令和2年度以降、入港がありません。引き続き、新型コロナの感染状況を見ながら誘致活動に取り組んでまいります。

 5. 観光・交流の推進 

 5点目に、観光・交流の推進についてであります。
 新型コロナの感染拡大による観光客の減少のほか、イベントの開催中止などにより、観光関連事業者や飲食店は大きな影響を受けております。
 これまで、観光関連事業者への応援給付金や、飲食店への支援などに取り組み、さらに、プレミアム付「はまだ飲食・宿泊応援チケット」を発行し、消費喚起に努めてまいりました。
 観光・交流は地域活性化の柱の1つであります。新型コロナの感染状況を注視しつつ、今後も観光・誘客に力を入れてまいります。
 令和4年度は、新たに「美肌観光推進事業」に取り組みます。島根県が進める美肌観光と連携し、温泉を活用した交流人口の拡大と地域活性化を目指してまいります。
 昨年11月には、「第3回全国未成線サミットin浜田」を開催し、全国から多くの方にお越しいただきました。今後、地域の皆さんや関係団体と一緒に、広浜鉄道今福線を活用した観光誘客に取り組んでまいります。
 石見神楽につきましては、本年7月に、東京で石見神楽国立劇場公演を開催いたします。首都圏での認知度向上に努め、石見神楽の本場・浜田市への誘客につなげてまいります。また、2025年には、大阪・関西万博が開催されます。万博での公演を視野に入れながら、島根県や石見観光振興協議会とも連携し、石見地域で一体となったPR活動に取り組んでまいります。 

 6. 企業立地と雇用の確保             

 6点目に、企業立地と雇用の確保についてであります。
 企業立地につきましては、平成29年度からの4年間で2社の企業誘致を実現し、この間、パートなどを含め、約60名の雇用の増加となりました。引き続き、本市の地理的特性をアピールしながら、誘致活動に取り組んでまいります。
 長引くコロナ禍の影響により、就職活動も多様化しています。浜田・江津地区雇用推進協議会と連携し、高卒者の地元就職の拡大に努めてまいります。
 また、地方での就職を希望する若者も増えているため、「働こう@浜田」での情報発信に努めるとともに、定住相談員によるきめ細やかな対応によりUIターン者の定住につなげてまいります。
 なお、先日、本年3月から、浜田沖で天然ガス等の試掘調査が行われるとの発表がありました。試掘調査の結果、商業化が実現すれば、天然ガスの国内自給率向上に資するだけでなく、地元経済の発展につながるものであり、島根県と連携し支援してまいります。 

2 健康でいきいきと暮らせるまち

 大綱の2つ目「健康でいきいきと暮らせるまち」につきましては、4点について申し上げます。

  1. 子どもを安心して産み育てる環境づくり

 1点目は、子どもを安心して産み育てる環境づくりについてであります。
 現在整備中の子育て世代包括支援センターは、本年4月に開所いたします。同センターは、市の子育て支援の新たな拠点となる施設であり、今後、事業内容の充実に努めてまいります。
 保護者が働きやすい環境づくりにつきましては、本年1月に、病後児保育事業と休日応急診療所の浜田駅北側への移転に合わせて、これまで休止していた病児保育事業を再開いたしました。
 また、従業員の「出会い・結婚・出産・子育て」を企業にも支援してもらうため「応援企業認定制度」を設け、推進いたします。
 不妊治療の支援につきましては、出生数の増加に直接つながる施策として、少子化対策の効果も大きいことから、今後も国の動向も見ながら、より一層の充実を図ってまいります。
 子ども虐待の発生防止対策につきましては、本年4月に県の業務の一部が市に移管されます。本市におきましては、子育て支援課内に子ども家庭総合支援拠点を設置し、要支援児童、要保護児童及びその家庭などへの支援を行い、ヤングケアラー対策にも取り組んでまいります。 

  2. 高齢者福祉の充実  

 2点目の、高齢者福祉の充実につきましては、「浜田市高齢者福祉計画」に基づき、地域包括ケアの充実に取り組んでまいります。
 地域包括ケア推進の中心的役割を担う浜田市地域包括支援センターにつきましては、令和4年度から浜田市社会福祉協議会に運営業務を委託します。スムーズな移行ができるよう、委託先としっかり連携を図ってまいります。
 認知症対策につきましては、認知症高齢者等の安全確保のための「浜田市どんちっちSOS見守りシール」の交付を推進いたします。また、認知症の方の支援を行う「チームオレンジ」を拡充するなど、認知症の人とその家族を支える地域づくりを進めてまいります。 

 3. 障がい者福祉と地域福祉の充実

 3点目に、障がい者福祉と地域福祉の充実についてであります。
 障がい者福祉につきましては、今年度開設しました、浜田市基幹相談支援センターを中心に、相談支援体制のより一層の充実を図り、障がいのある人もない人も、共に安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。
 地域福祉につきましては、令和4年度に、市の各福祉分野の上位計画となる「地域福祉計画」を改定し、地域で支える福祉のまちづくりを推進いたします。また、新たに令和3年度に策定します「浜田市再犯防止推進計画」に基づき、犯罪をした者等の円滑な社会復帰を支援し、市民が安全で安心して暮らせる社会を目指します。 

 4. 医療体制の充実と健康づくり・介護予防の推進

 4点目の、医療体制の充実につきましては、浜田医療センターの更なる機能充実のため、引き続き関係機関と連携して医師確保に取り組んでまいります。本年3月末には長年リーダーとしてやってこられた国保診療所の医師1名が退職されますので、新たな医師の招聘に努めます。また、看護師確保のため、浜田医療センター附属看護学校への支援を行ってまいります。
 次に、健康づくりの推進であります。令和4年度は、「第4次浜田市健康増進計画」及び「第4次浜田市食育推進計画」を策定してまいります。健康寿命の延伸を目指して、事業の評価・見直しを実施するとともに、「はまだ健康チャレンジ事業」や「いきいき百歳体操」の普及活動に取り組んでまいります。
 新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、3回目追加接種を昨年12月に開始し、2月には高齢者等への接種が本格化してまいりました。引き続き、希望される方が円滑に接種を受けられるよう、個別接種に加え集団接種も実施し、早期接種の推進に取り組んでまいります。
 

3 夢を持ち郷土を愛する人を育むまち

  大綱の3つ目「夢を持ち郷土を愛する人を育むまち」につきましては、3点について申し上げます。

 1. 学校教育の充実 

 1点目は、学校教育の充実についてであります。
 将来、子どもが社会の中で生きていくためには、基礎学力だけでなく、読解力、思考力、判断力、表現力など幅広い学力が必要であります。また、子どもが主体的に学び、自ら課題を解決していこうとする気持ちを育むことも重要であり、こうした力を育む取組を進めてまいります。併せて、ふるさとへの愛着を育む「ふるさと郷育」についても、引き続き推進いたします。
 また、要望の多い小中学校のトイレの洋式化につきましては、順次取り組んでまいります。校舎につきましては2年間で、体育館につきましては4年間での改修を計画いたします。
 公立幼稚園につきましては、令和5年度の長浜幼稚園の園舎を活用した統合に向け、準備を進めてまいります。併せて、統合幼稚園内に、浜田市幼児教育センターと、特別な配慮を必要とする子どもの支援の充実のための幼児通級教室を設置する予定であり、その準備にも取り組んでまいります。 

 2. 社会教育の推進

 2点目は、社会教育の推進についてであります。
 今年度、公民館がまちづくりセンターに移行しました。
 引き続き、まちづくりセンターを拠点に協働のまちづくり並びに社会教育及び生涯学習に取り組んでまいります。
 また、地域で活躍する人づくりやまちづくりを推進するために、まちづくりセンター職員の社会教育士の取得を進めてまいります。
 高校魅力化を主な目的として設置しているHAMADA教育魅力化コンソーシアムの取組として、市内の高校との協働を通じて、高校生の探究的な学習や主体的な地域活動への参画を支援し、地域や未来のことを考える人づくりに取り組んでまいります。

3. 歴史・文化の伝承と創造

 3点目に、歴史・文化の伝承と創造についてであります。
 歴史文化保存展示施設につきましては、浜田郷土資料館が建築後60年以上を経過し、老朽化が著しく、展示スペースも狭いという問題を抱えております。
 令和3年12月市議会定例会議の所信表明で申し上げました市民の皆さんとの意見交換ですが、来年度早々に、まずは、浜田市郷土資料館の現状や建替え整備に至った経緯等について丁寧に説明し、ご意見をお聞きした上で、今後の進め方を考えてまいります。
 なお、12月定例会議におきまして、事業名を「浜田郷土資料館建替え整備事業」としてはどうかとのご提案をいただきました。確かに現在の事業名では、「建替え整備」という趣旨が伝わりにくいという気もいたします。そこで、今後、事業名を「浜田郷土資料館建替え整備事業」に変更することといたします。
 文化財保存活用につきましては、未指定文化財も含めた地域における文化財の保存活用を促進するための計画作成に着手し、まずは、各地域の文化財の把握を行います。また、日本遺産に認定された各文化財の保存活用、石見神楽関係などの文化財指定に向けての調査に取り組んでまいります。 

 以上、教育について、重点的な取組を述べましたが、教育方針につきましては、後ほど教育長から申し述べます。 

  ※教育方針は、後ろに掲載しています。 
 

4 自然環境を守り活かすまち 

  大綱の4つ目「自然環境を守り活かすまち」につきましては、3点について申し上げます。

 1. カーボンニュートラル、脱炭素社会の推進 

 1点目は、カーボンニュートラルの推進についてであります。
 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出をできる限り削減するとともに、植林や森林管理などで温室効果ガスを吸収することにより、実質的に温室効果ガスの排出をゼロにすることであります。
 政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」を踏まえ、脱炭素社会の実現を目指し、本年4月から新たにカーボンニュートラル推進室を設けて、取り組んでまいります。
 具体的には、「脱炭素を市民と共に学ぶ環境づくりの推進」、「地域の再生可能エネルギー導入の支援」、「公共施設への再生可能エネルギー導入の推進」などに取り組んでまいります。 

 2. 循環型社会の構築

 2点目に、循環型社会の構築についてであります。
 循環型社会の構築に向け、ごみの減量化や資源化に関する意識啓発に努めます。ごみを減らす4R運動の推進に引き続き取り組み、各種啓発活動や情報提供に努めてまいります。
 エコクリーンセンターにつきましては、「長寿命化総合計画」に基づき、令和5年度から基幹的設備改良工事を予定しており、その準備を進めてまいります。
 なお、多くのご意見をいただいておりましたごみカレンダーにつきましては、令和4年度分から文字を大きくするなどの変更をいたします。

 3. 環境保全と快適な住環境づくりの推進

 3点目に、環境保全と快適な住環境づくりの推進についてであります。
 昨年3月に策定しました「第3次浜田市環境基本計画」に基づき、「豊かな自然と美しい景観を守り活かすまち」を将来像として、市民と行政が一体となって、環境美化活動や住環境・自然環境の保全に取り組んでまいります。 

5 生活基盤が整った快適に暮らせるまち

  大綱の5つ目「生活基盤が整った快適に暮らせるまち」につきましては、5点について申し上げます。

 1. 道路網の整備

 1点目は、道路網の整備についてであります。
 山陰道のうち、三隅益田道路につきましては、令和7年度中の開通に向けて工事が進められております。1日も早い完成に向けて、引き続き国に要望してまいります。
 また、浜田道につきましても、4車線化の優先整備区間に位置づけられた瑞穂・金城間の早期事業化を目指し、引き続き国に強く要望してまいります。
 市道等の機能維持と安全面の対策につきましては、令和3年度に創設した浜田市公共施設長寿命化等推進基金を財源に、道路の修繕や橋梁の改修などを計画的に実施いたします。 

 2. 公共交通の充実

 2点目に、公共交通の充実についてであります。
 「浜田市公共交通再編計画」に基づき、令和3年度から新たに導入した、ドア・トゥ・ドア型の交通手段である「あいのりタクシー」の支援に取り組んでまいります。また、国や県に対しタクシー事業の継続に向けた支援制度の創設を要望するとともに、市独自の支援策を検討いたします。
 また、好評をいただいております「敬老福祉乗車券交付事業」につきましては、障がい者無料交付の対象者も購入できるよう制度を拡充し、引き続き実施いたします。 

 3. 地域情報化の推進

 3点目に、地域情報化の推進についてであります。
 高速情報通信基盤整備であるケーブルテレビ回線の光化工事につきましては、令和3年度中に幹線の光化工事が完了しますので、令和4年度は、三隅地域から宅内工事に取り組んでまいります。
 あわせて、令和3年度に策定いたします「情報化推進計画」に基づき、ケーブルテレビを含めた各種情報通信ネットワークの活用を積極的に進めてまいります。

 4. 浜田駅周辺の整備

 4点目に、浜田駅周辺整備についてであります。
 君市踏切北側の道路工事については、現在までのところで、ほぼ完了しております。
 君市踏切の移設工事につきましては、JR西日本から提示された金額について精査した上で、改めて、議会にお諮りしたいと考えております。 

 5. 生活基盤の整備

 5点目に、生活基盤の整備についてであります。
 水道事業につきましては、令和4年度も引き続き基幹管路の耐震化を推進いたします。
 また、冬季の凍結・漏水による断水が生じないよう、対策を進めるとともに、各種啓発や情報発信に努めてまいります。
 下水道事業につきましては、令和8年度から浜田処理区の供用を順次開始するよう、整備を進めてまいります。
 また、農業集落排水事業、漁業集落排水事業及び生活排水処理事業については、令和6年4月の公営企業会計移行に向け、引き続き準備を進めてまいります。
 地籍調査につきましては、出来るだけ早期に進めるため、業務の効率化と組織体制の充実を図り、更なる地籍調査事業の推進に取り組んでまいります。
 

6 安全で安心して暮らせるまち

 大綱の6つ目「安全で安心して暮らせるまち」につきましては、4点について申し上げます。

 1. 災害に強いまちづくり

 1点目は、災害に強いまちづくりについてであります。
 まず、通行止めとなっている周布橋につきましては、現在、仮橋の工事中であり、本年3月末までに完成する予定であります。
 歩道を確保した新たな周布橋につきましては、令和4年度には詳細設計を行い、令和6年度末の完成を目指します。
 新しい防災ハザードマップは、昨年4月に全世帯に配布いたしました。近年、全国的に災害が多発していることから、市民の皆さんが災害時に適切な避難行動が取れるよう、防災出前講座等を実施して周知・啓発を図ってまいります。
 また、市民の皆さんに、重要な情報を速やかに、分かりやすく伝えるための次期防災情報システムの導入を検討し、令和4年度中に方針を決定いたします。
 災害発生時には、地域や近隣の人々が互いに助け合う「共助」が必要であります。引き続き、地域住民で組織される自主防災組織の設立や育成支援を行ってまいります。 

 2. 防犯・交通安全対策

 2点目に、防犯・交通安全対策についてであります。
 令和3年の市内刑法犯認知件数は前年に比べて増加しており、特に還付金詐欺などの特殊詐欺の発生件数が増加傾向にあります。引き続き、浜田警察署や関係団体と連携した防犯活動に取り組んでまいります。
 また、令和3年の市内の交通死亡事故は、前年と同様に1件でありますが、依然として、高齢者が関与する交通事故が後を絶ちません。高齢者や子どもの交通安全対策に重点を置き、浜田警察署や関係団体と連携した交通安全対策に取り組んでまいります。
 なお、小中学校の通学路及び未就学児の園外活動時の安全対策につきましては、令和2年度から、ふるさと応援基金を活用して、防護柵を設置するなどの整備を行っております。令和4年度も引き続き、危険箇所の解消に努めてまいります。 

  3. 米軍機騒音問題

 3点目は、米軍機騒音問題についてであります。
 令和3年の島根県西部地域の騒音認知件数は、ピークであった平成26年に匹敵する件数でした。市内の騒音認知件数についても、近年、増加傾向にあります。引き続き、島根県や関係市町と一緒になって、外務省、防衛省に対して飛行訓練の中止などの要望活動を行ってまいります。 

  4. 消防・救急体制の充実 

 4点目に、消防・救急体制の充実であります。
 消防団は、消防署と連携協力して、あらゆる災害事故で活動しております。その活動は消火作業にとどまらず、火災予防等の巡回広報や行方不明者の捜索救助など、多方面にわたります。消防団員の労苦に報い、消防団員の確保にも資するよう、年報酬等の処遇改善予算を本定例会議に提案しております。引き続き、消防団の充実強化に努めてまいります。
 昨年は、コロナ禍で市民参加の消火訓練等が十分にできませんでした。本年は、適切な感染防止対策をとりながら積極的に実施し、火災に強いまちづくりを進めてまいります。
 救急体制におきましても、感染防止対策を講じて、AEDの使い方等の応急手当講習を実施し、「まちかど救急ステーション」認定事業所とも協力して、救急車が病院に到着するまでの救護体制の充実を図ってまいります。
 

7 協働による持続可能なまち

 大綱の7つ目「協働による持続可能なまち」につきましては、3点について申し上げます。

 1. 定住環境づくりの推進

 1点目は、定住環境づくりの推進であります。
 冒頭の若者対策でも述べましたが、40歳未満のUIターン者に対する空き家バンク物件の改修費助成を拡充し、若者の移住促進と空き家の有効活用に取り組んでまいります。
 また、定住相談員を中心に、きめ細やかな相談対応に努めるとともに、市内事業所への就職支援など、関係機関と連携した取組を推進いたします。
 さらに、国の「特定地域づくり事業」を活用し、若手音楽家の移住促進を引き続き進めてまいります。
 浜田応援団につきましては、新型コロナの感染状況を見つつ、イベントのサポートや地域活動などに団員の知識や経験を活かしていただく取組を進めてまいります。
 また、IT人材の誘致や育成を推進するとともに、地域の若者と交流する仕組みを検討いたします。

 2. 大学等高等教育機関との連携

 2点目に、大学等高等教育機関との連携についてであります。
 島根県立大学浜田キャンパスでは、昨年4月に国際関係学部及び地域政策学部が設置されました。これまで以上に地域との連携・交流が深まるよう、研究奨励金等給付事業を活用した学生の研究支援を行うとともに、共同研究事業や浜田探索ツアー、まちなかキャンパスなどに取り組んでまいります。

 3. 人権を尊重するまちづくりと男女共同参画社会の推進

 3点目に、人権を尊重するまちづくりと男女共同参画社会の推進についてであります。
 人権を尊重するまちづくりにつきましては、令和3年度に改定します「浜田市人権教育・啓発推進基本計画」に基づき、一人ひとりの個性や違いなど多様性を認め合い、人権が尊重される社会の実現を目指します。
 また、同和問題をはじめとする様々な人権問題の解決に向けて、地域や企業などにも積極的に研修の開催や参加を働きかけるとともに、人権尊重を目指す条例の制定について検討いたします。
 男女共同参画社会の推進につきましては、令和3年度に改定します「浜田市男女共同参画推進計画」に基づき、性別にとらわれず、誰もが自分らしく生活できる社会の実現を目指します。

 以上、7つの「まちづくりの大綱」に沿って、主な事項を説明いたしました。

 

各地域のまちづくり

 次に、地域ごとの計画につきまして、説明いたします。 

 1. 金城地域 

 金城地域におきましては、「農業と観光の振興」及び「住民の生活環境を大切にしたまちづくり」に引き続き取り組んでまいります。
 農業振興につきましては、新開団地と元谷団地の大規模経営農家を核として、大粒ぶどうや有機野菜などの産地化を目指すとともに、島根県と連携して指導支援を行ってまいります。
 観光振興につきましては、温泉総選挙2021「うる肌部門」第1位を獲得した美又温泉を中心に、島根県が推進する「美肌県しまね」と連携し、科学的・医学的見地からの調査で実証された泉質の良さをPRして、交流人口の拡大に取り組んでまいります。
 生活環境を大切にしたまちづくりにつきましては、引き続き、家畜の臭気対策に取り組んでまいります。現在、臭気の軽減につながるよう、家畜の排泄物を利用したバイオマス発電事業の検討を事業関係者等と進めております。

 2. 旭地域

 旭地域におきましては、「農地保全と農業振興」、旭温泉を拠点とした「交流人口の拡大」、住民主体の「まちづくり活動」を進めてまいります。
 農地保全につきましては、中山間地域等直接支払制度等を活用した広域集落組織の未設立地区において、立ち上げ支援を行ってまいります。
 農業振興につきましては、担い手となる農事組合法人やサポート経営体等の体制整備、強化への支援を行ってまいります。
 交流人口の拡大につきましては、山陽方面からの玄関口となる旭温泉を拠点とした誘客促進が重要であり、良好なアクセスと気軽にゆったりくつろげる旭温泉の魅力をPRしてまいります。
 まちづくり活動につきましては、地域の課題解決に向け、住民と行政の協働による継続した活動につながるよう、支援を行ってまいります。

 3. 弥栄地域

 弥栄地域におきましては、「農業生産と加工」と「新しい協働によるまちづくり」に取り組んでまいります。
 農業生産につきましては、町内3つの農事組合法人が合併し、地域における担い手の新体制を構築するとともに、収益性の向上と農作業の効率化により、持続可能な農業を推進いたします。
 また、ほ場整備事業につきましては、令和4年度に杵束地区の採択申請を行う予定としております。
 有機米の産地化につきましては、令和4年度に実証ほ場を設置し、民間企業や島根県の技術協力も得ながら、安定生産と高付加価値化に取り組んでまいります。農産物の加工につきましては、米を原料とした農産品の開発及び販売促進のほか、イノシシ肉の受け入れ促進と販路拡大に取り組み、捕獲された有害鳥獣の有効活用を図ってまいります。
 協働によるまちづくりにつきましては、令和3年4月に2つのまちづくり推進委員会が、1つになり、「弥栄のみらい創造会議」として活動を始めました。今後は、本委員会と一緒に、「や市」や「ウルトラマラニック」等のイベントや高齢者対策などに取り組んでまいります。
 なお、ふるさと体験村につきましては、令和5年4月の再開に向け、本定例会議に関連議案を提案させていただきます。

 4. 三隅地域

 三隅地域におきましては、引き続き「石州和紙や西条柿などの地域資源を活かした産業振興」、「住民主体の地域づくり」を進めてまいります。
 石州和紙につきましては、技術の継承や後継者の育成、原紙・加工品の販売促進、原材料の「楮」の生産維持・拡大に取り組んでまいります。
 西条柿につきましては、品質の向上を図るとともに、ボランティアの協力による作業負担の軽減と収穫量の増加に向けた取組を支援いたします。
 住民主体の地域づくりにつきましては、住民と行政が一体となった協働の関係を築き、地域が主体的に取り組む活動や課題解決を支援いたします。
 特に、住民自治組織や福祉・介護施設等が参加する合同防災訓練による地域防災力の向上や、リハビリテーションカレッジ島根と連携した認知症予防運動や口腔ケアなどの介護予防に取り組んでまいります。
 なお、三隅発電所2号機につきましては、本年11月の営業開始を予定されており、現在、施設がほぼ完成し、一部試運転を始められていると伺っております。引き続き地域住民や事業者と連携し、必要な支援を行ってまいります。

 以上、各地域の計画について説明いたしました。
 

中山間地域対策

 次に、本市にとって重要な課題であります、中山間地域対策について申し上げます。
 中山間地域対策につきましては、令和3年度から5年間で10億円の中山間地域振興枠を設け、農地の保全や鳥獣対策、地域公共交通の環境整備など、中山間地域課題の解決に向けた取組を行っております。
 特に、令和4年度は、(1)情報・通信環境の整備については、ケーブルテレビの統合や新たな防災情報システムの導入検討、(2)交通確保対策では、あいのりタクシー等の運行支援、(3)地域産業の振興では、地域農業の維持に向けた担い手育成支援や温泉を核とした活性化に取り組んでまいります。

健全な市政運営に向けた取組

 次に、健全な市政運営に向けた取組について申し上げます。

 1. 行財政改革の取組   

 行財政改革につきましては、令和3年度に策定いたします「浜田市行財政改革実施計画」及び「浜田市公共施設再配置実施計画」を着実に実行いたします。
 新たな行政需要に対応し、必要な事業を着実に実施していくため、「浜田市行財政改革大綱」に掲げる「スクラップ・フォー・ビルド」を基本理念に、既存事業の見直しを進め、遊休財産の売却をはじめとした自主財源の確保に取り組んでまいります。
 自治体DXにつきましては、本年4月に「(仮称)デジタル推進室」を設置し、令和4年度を「DX元年」と位置付け、行政手続のオンライン化に対応したシステム整備に着手いたします。また、策定中の浜田市情報化推進計画に基づき、行政情報化と地域情報化の整合性を図り、行政の更なる効率化と市民福祉の向上につながるデジタル化の方策を検討いたします。

 2. 令和4年度予算

 令和4年度当初予算(案)についてであります。
 令和4年度予算の編成に当たっては、新たに策定いたしました総合振興計画後期基本計画に沿って、主要事業の予算の確保に努めております。
 ハード事業では、引き続き、高度衛生管理型荷さばき所の整備に取り組むほか、周布橋の架け替え工事に本格的に着手いたします。
 ソフト事業では、カーボンニュートラルを目指した再生可能エネルギーの導入支援に加え、消防団員の処遇改善や、子ども医療費助成事業の対象年齢の拡充などにも取り組んでまいります。
 こうしたことから、一般会計の予算規模は389億1,000万円、令和3年度当初予算と比較して、金額で16億8,000万円の増、率にして4.5%の増となりました。
 まだまだコロナ禍は続くと思われますので、必要な対策については臨機応変に対応してまいります。
 一方で、「中期財政計画及び見通し」でお示ししました将来に責任のある持続可能な財政運営の実現に向け、行財政改革の取組も並行して行ってまいります。

 最後に 

 以上、令和4年度の施策について申し上げました。
 令和4年度は、私にとりまして、市政運営3期目の本格稼働の年であります。行政を取り巻く課題は、近年ますます多様化しており、国の支援や県の協力も得ながら近隣市町と連携して、諸課題の解決に取り組んでまいります。
 議員各位におかれましても、一層のご理解、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

 

令和4年度教育方針

 私は、市長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、令和4年度の教育方針を申し述べ、皆さまのご理解をいただきたいと思います。 

 教育長

教育方針を表明する岡田泰宏 教育長

はじめに  

 さて、令和4年度は、これからの4年間を計画期間とする新たな教育振興計画の実行元年となります。教育大綱の「夢を持ち、郷土を愛する人を育む」という理念は、前計画から引き継いでまいります。
 浜田市の教育は、幼児教育をスタートとして学校教育から生涯学習に至る年齢に応じた縦軸の教育の充実と、学校・家庭・地域のお互いが当事者となる横軸の協働体制づくりに機軸を置いております。

 近年、社会を取り巻く環境は大きく変化してきました。一例をあげますと、Society5.0と言われる技術革新、価値観の多様性を認め合う共生社会、新型コロナウイルスへの対応、頻発する災害など地球規模での危機を乗り越えて、持続可能な開発を目指すSDGsの考え方の浸透などであります。
 こうした複雑多様化する社会環境の変化の中で、教育も新たな対応が求められています。一方で、教育の根底にある大切なものは守っていかなければなりません。

 松尾芭蕉が説いたと言われる俳諧の理念に「不易と流行」という言葉があります。「変えてはいけないものは維持しつつ、新しいものを取り入れることで事はうまくいく」という考え方であります。
 ここで、教育における不易とは何か。私は人権尊重の精神をすべての教育の基底に据えて取り組むことであり、自立に向かう一人一人を大切にする進路保障の考え方ではないかと思います。
 では、流行とは何か。例えば、ICTの活用、多様性を認めるジェンダー教育、ウィズコロナを見据えた新しい生活様式への対応、持続可能な社会をつくるために行動する人を育むESDと称される教育など、先ほど申し上げました社会の変化に対応するための手法ではないかと考えます。

 これらの手法は、子どもを主語において実施していくことが重要であり、学校は「教える場」から「学ぶ場」に変わっていかなければなりません。
 複雑多様化する社会を生き抜く力を子どもたちが主体的に身に着けていけるように、教育委員会も実効性のある施策を実施してまいります。
 すべての子どもたちの実態に目を向け、一人一人の人格や個性の違いを互いに認め合い、自尊感情を高め合う教育を進めてまいります。

 以上のことを踏まえて、次期浜田市教育振興計画の施策体系に沿って、「学校教育の充実」、「家庭教育支援の推進」、「社会教育の推進」、「生涯スポーツの振興」、「歴史文化の伝承と創造」の5つの項目について申し述べます。

 1. 学校教育の充実

 まず、「学校教育の充実」についてであります。
 児童生徒には、持続可能な社会の担い手として、様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していく力を育成していくことが求められています。引き続き、各学校が社会と連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を育んでいく「社会に開かれた教育課程」の実現や、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が推進されるよう支援をしてまいります。
 学力育成対策は、児童生徒自らが学びに向かう力の育成を図りながら、国語教育を要としつつ、理数教育の充実にも努めてまいります。
 具体的には、「協調学習」や「図書館活用教育」を柱とし、児童生徒が自ら課題を解決するために必要な情報を選択し、その情報を基に考え、協働して答えを導き出していく力を育成する取組を進めます。
 このために、指定校の取組を核としつつ、その基盤となる読解力の育成を図るとともに、新年度から小学校の算数についての取組も強化してまいります。
 併せて、これらの「主体的・対話的で深い学び」への取組の一つとして、ICT機器を活用した授業についても、研修の機会の確保や指定校の取組を広げるなど、授業の質を高めていくために取り組んでまいります。
 さらに、指導主事等の学校訪問により、学校としての組織的な授業改善及び校内研究を支援するとともに、授業構想段階から学校現場の教員と一緒になって「子どもの声でつくる授業」を目指し、取り組んでまいります。
 これらの取組を推進していくためには、教職員が子どもや教材と向き合う時間が必要となるため、引き続きスクールサポートスタッフや学校支援員を配置するなどして教職員の負担の軽減を図ってまいります。
 また、教職員の働き方改革の一環として、令和5年度からの「休日の部活動の段階的な地域移行」を目指し、持続可能な仕組みづくりを検討してまいります。

 次に、「ふるさと郷育」についてであります。
 小中学校では、子どもたちにふるさと浜田への愛着と誇りを醸成するため、引き続き家庭や地域と連携した「ふるさと郷育」を推進してまいります。地域の文化や歴史に着目したふるさと学習や本市の豊かな海・山・川をテーマとした海洋教育・自然体験活動など、各学年で年間35時間以上実施します。
 また、子どもたちが保護者とともに、まちづくりセンター等で行う地域活動に参加するように働きかけるなど、「ふるさと郷育」を学校から家庭、地域へと広げてまいります。
 高等学校については、昨年3月に設立したHAMADA教育魅力化コンソーシアムの活動を通じて、学校と地域が連携した教育活動や高校生が主体的に行う地域活動を支援してまいります。地域活動に高校生の姿が見えることで地域には元気が出ます。また、このような高校生に小中学生が憧れ、自分も何かできそうだという気持ちが膨らんでいくことは、ふるさとに貢献しようとする本市の未来を創る人材の育成にもつながるものと考えております。

 不登校傾向及び不登校児童生徒への対応につきましては、教育支援センター「山びこ学級」における学習支援や福祉・医療などの関係機関との連携、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等を活用した相談支援など、児童生徒や保護者、学校に寄り添った支援を行ってまいります。
 引きこもりの子どもや若者の社会参加や自立支援につきましては、青少年サポートセンターにおいて気軽に過ごせる居場所の提供と自立に向けた支援を継続してまいります。さらに、訪問による相談や支援も推進してまいります。
 また、「浜田市いじめ防止基本方針」の下、学級集団の状態を調べるためのアンケートQU等を活用し、いじめの未然防止や早期発見のための学級集団作りに取り組みます。併せて、「いじめを見逃さない」という教職員の意識を高め、いじめを認知した場合には組織で対応するなど、各校が適切かつ迅速に対応できるよう指導・支援を行ってまいります。

 児童生徒の食育の推進につきましては、学校給食の食べ残し削減を目指し、食の循環や環境を意識した食育授業の実施、食育だよりの発行等により児童生徒及び家庭への啓発を行ってまいります。

 小中学校の適正配置につきましては、令和2年度末に策定した「浜田市立小中学校統合再編計画(案)」を保護者や地域の皆さんに説明するなかでご意見をいただき、検討してまいりました。今後、市民の方の意見も募集し、計画を決定してまいります。統廃合予定の学校の保護者や地域の皆さんの心配な点、不安な点をなるべく解消できるよう努めるとともに、協力を得ながらより良い教育環境の実現のため、学校統合再編計画を進めてまいります。
 学校施設の老朽化に対する緊急対策につきましては、昨年度から始めた3年の集中期間の2年目になります。引き続き、児童生徒の安全安心な学校環境の整備に取り組んでまいります。
 また、小中学校のトイレの洋式化につきましては、現在の設置率は33%ですが、将来的に75%程度まで引き上げることを目標としており、できるだけ前倒しできるよう検討してまいります。また、災害時に避難所にもなる体育館のトイレは、バリアフリー化も含めて令和4年度から4年間、集中的に洋式トイレへの改修を実施してまいります。

 幼児教育の充実につきましては、乳幼児期は、生きる力の基礎を育む重要な時期であるため、引き続き幼児教育施設に従事する人を対象とした研修を行うなど、保育・教育の質の向上に向けた取組を実施してまいります。
 公立幼稚園は、令和5年度に統合を予定しており、来年度早々に統合幼稚園の基本方針を策定いたします。統合幼稚園には、新たに市内の幼児教育力向上の拠点となる「浜田市幼児教育センター」と、特別な配慮を必要とする子どもの支援の充実のための「幼児通級教室」を設置する予定で、その準備に取り組んでまいります。

 2. 家庭教育支援の推進

 次に「家庭教育支援の推進」についてであります。
 家庭教育支援につきましては、「HOOP!浜田親子共育応援プログラム」により、乳幼児の子を持つ親への学びの場の提供や親同士の交流等、地域ぐるみで家庭教育を支援する環境づくりに努めてまいりました。
 このプログラムの効果を高めるために、ファシリテーター等の人材確保やスキルアップ研修に取り組んでまいります。
 また、まちづくりセンターを中心に様々な学びの提供や、放課後の子どもの居場所づくりにも努めてまいります。

 「家読」の推進につきましては、家庭で読書を通じて、家族の絆を深め、豊かな心を育むことを目的としており、家庭ごとに自由な方法で取り組むことが重要と考えています。
 令和4年度に策定する「第3次浜田市子ども読書活動推進計画」の中で「家読」の推進を謳い、読書活動の環境整備と、学校・家庭・地域への働きかけを行ってまいります。

 全国的に問題となっているヤングケアラーへの対応につきましては、まずは児童生徒や教職員への周知を図り、学校ではそうした児童生徒の早期発見のため日常の細かな変化を見逃さないよう努めてまいります。ヤングケアラーと思われる児童生徒に対しては、スクールソーシャルワーカーなどと連携しながら、適切な関係機関につないでいくよう取り組んでまいります。

 3. 社会教育の推進 

 次に「社会教育の推進」についてであります。
 昨年4月に公民館をまちづくりセンターに移行し、これまで公民館が担ってきた社会教育を基盤としたまちづくりを推進するために、学びから実践につながる取組を進めてまいりました。
 まちづくりセンターと地域のまちづくり活動団体が連携した社会教育の取組が一層進むよう、支援するまちづくりセンター職員のスキルアップを目指して、社会教育士の取得も進めてまいります。
 また、まちづくりセンターを拠点として推進する「はまだっ子共育推進事業」につきましては、「地域ぐるみで子どもを育み、子どもも大人も、そして地域も高まり合おう!」の理念の基、「地域学校協働活動」、「地域子ども活動」、「家庭教育支援活動」の3つの柱を軸に、引き続き取り組んでまいります。
 「図書館」につきましては、「第3次浜田市子ども読書活動推進計画」を策定し、家庭、地域、学校等それぞれの場における、子どもの読書活動推進のための取組を一体的に進めてまいります。
 各図書館から遠隔地にある施設等を巡回している移動図書館車「ラブック号」は、車両の更新を行い、多様な世代の住民ニーズに応えられるよう蔵書数の増加に努めてまいります。

 4. 生涯スポーツの振興

 次に、「生涯スポーツの振興」についてであります。
 令和12年、島根県にて開催が予定されている第84回国民スポーツ大会において、本市はサッカー、ビーチバレーボール、体操、トランポリン、そしてゴルフの5つの競技の会場地となる予定です。
 開催に向けて、浜田市体育協会及び各競技団体と連携し、選手や指導者の育成及び競技の普及を進めてまいります。
 また、「人生100年時代」を見据え、一人一人のライフスタイルに応じて自由にスポーツに親しむことができる「生涯スポーツ社会」を実現するため、スポーツ関係団体やスポーツ推進委員との連携によるスポーツ・レクリエーション活動推進体制の充実を図るとともに、スポーツリーダーの育成に取り組んでまいります。 
 特に青少年においては、スポーツ少年団活動やトップアスリート等を招いた事業の開催を通じて、礼節を重んじる心や友情を育む心を養うなど、スポーツ精神の高揚を図ってまいります。

 スポーツ施設の整備につきましては、策定を進めている社会教育施設長寿命化計画に基づき、具体的な施設改修計画を検討してまいります。

 5. 歴史文化の伝承と創造

 次に、「歴史文化の伝承と創造」についてであります。
 芸術文化の振興につきましては、市民の芸術文化活動の活性化を図るため、浜田市美術展や全国の美術大学生を対象とした石本正日本画大賞展を開催し、芸術文化に触れる機会を提供してまいります。
 小中学生に優れた芸術鑑賞に触れる機会を提供するスクールコンサートにつきましては、地元において設立され、音楽を志す若者が所属する団体とも連携して取り組んでまいります。
 また、伝統文化の保存継承を図るため、浜田市文化協会による市民芸術文化祭など市民が主体となった文化活動を引続き支援してまいります。

 芸術文化施設につきましては、いずれも開設から20年以上が経過し、施設や設備の老朽化が進んでいます。施設利用者の方の安全や快適な利用環境を引き続き確保するため、世界こども美術館の漏水修繕や石正美術館旧館の空調機器更新、水銀灯のLED化に取り組んでまいります。

 文化財につきましては、地域における様々な文化財の保存活用を計画的に促進するため、文化財保存活用地域計画の作成に着手してまいります。まず各地域にどのような文化財があるのかという、文化財情報の把握から始めたいと考えております。
 また、市内に残る指定文化財をはじめ、日本遺産に認定された各文化財の保存活用にも取り組んでまいります。貴重な文化財を守るため、石見神楽関係などの文化財指定に向けて調査を実施し、将来に向けて文化財を伝え残せるよう努めてまいります。

 歴史文化保存展示施設につきましては、浜田郷土資料館の老朽化や展示スペースの狭隘化などの問題から、建て替え整備について検討してまいりましたが、改めて浜田郷土資料館の現状を市民の皆さんに知っていただくとともに、建て替え整備の経緯や背景などについて説明し、ご意見を伺いながら検討していきたいと考えております。
 
 以上、令和4年度の教育方針について申し述べましたが、これらの方針、施策を実現していくために、教育委員会は、市長部局との連携を密にして、学校や家庭、地域の理解と協力を得て取り組んでまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、今後も所管する施設において、万全な感染症対策を期してまいります。
 議員並びに市民の皆さんの、一層のご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
 

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