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令和5年度施政方針、教育方針

 

令和5年度施政方針 

 令和5年3月浜田市議会定例会議の開会に当たり、今後の市政運営に関する所信を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます 

市長 市長2

 施政方針を表明する久保田章市 浜田市長

 

はじめに 

 令和5年度は、私にとって、市長3期目の3年目に入る折り返しの年であります。
 これまでの取組を振り返り、市の現状を踏まえつつ、令和5年度の施政方針を申し上げます。

 

取組の振り返りと本市の現状

 令和5年度の施政方針を述べる前に、まずはこれまでの取組の振り返りと本市の現状について3点申し上げます。

1. 新型コロナウイルス感染症対応

 1点目は、新型コロナウイルス感染症対応についてであります。
 この3年間、新型コロナウイルスへの対応に全力で取り組みました。市民の生活や事業者を守るため、市独自に、12弾にわたる支援策を実施いたしました。かかった事業費は3年間で約55億円となり、その大半を、国からの交付金等で賄いました。
 ワクチン接種にも積極的に取り組みました。医師会等の協力を得て、集団接種も併用し、スピード最優先で対応しました。最も新しいオミクロン株対応の2価ワクチンの接種は、1月末時点で12歳以上で2回目接種者の内、61.9%の接種が完了しております。人口比で見ても、50.4%が接種され、県内8市の中で上位となっております。

 2. 若者対策

 2点目は、「若者対策」についてであります。
 令和4年度、特に力を入れた施策の一つが「若者対策」でした。
 「若者の出会い・結婚・出産・子育て」をトータルで応援するため、結婚新生活応援金、赤ちゃん誕生応援金、子ども医療費の18歳になった年の年度末までの助成などに取り組み、若い皆さん、子育て世代の皆さんに大変喜ばれています。
 しかしながら、出生数は、全国的な傾向ではありますが、コロナ禍の影響もあり更に減少し、令和4年度は過去最低の280人程度まで減る見込みです。
 昨年7月には、市内5か所で「地域の日」を開催し、「若者が暮らしたいまちづくり」をテーマに若者や子育て世代のご意見を伺いました。主な意見では、「若者向けにもっと手厚い支援をしてほしい」、「交流の場が欲しい」、「子どもが遊べるところが欲しい」などのご意見がありました。
 「地域の日」で頂戴したご意見も踏まえ、更なる「若者対策」に取り組んでまいります。

 

3. 協働のまちづくり

 3点目は、協働のまちづくりについてであります。
 令和3年4月から、それまでの自治区制度に代わり、「協働のまちづくり」がスタートいたしました。この間、地区まちづくり推進委員会の設立や設立に向けた話し合いが進み、1月末時点で37団体、組織率は80.5%となりました。
 令和4年度の初めには、各まちづくりセンターを拠点とした様々なイベントや行事等を計画されましたが、新型コロナの影響で中止せざるを得ない状況となり、思うような活動ができなかったと伺っております。そうした中にあって、秋以降は各地域で感染対策を行いながら工夫をして、3年ぶりに産業祭を開催されました。今後も地域の活動を支援してまいります。

 

市の財政状況

 次に、市の財政状況について申し上げます。
 私は、財政運営に当たっては、できるだけ国等の支援を受けて財源を確保し、必要な事業をしっかり行う、というスタンスで財政運営を行ってまいりました。
 本市ではここ数年、新型コロナ対策、高度衛生管理型荷さばき所の整備など大型事業に取り組みましたが、財源の大半を国からの交付金などで賄いました。また、公共施設の再配置をはじめとした様々な行財政改革にも取り組み、ふるさと寄附では、毎年、全国から中国5県でトップクラスの寄附を集め、一般財源では賄えない事業に取り組んでいます。
 こうした財政運営の結果、本市の現在の財政状況は、健全化指標でみると県内8市の中では、トップクラスにあります。
 続いて、令和5年度の財政運営を考える上で留意すべき3点について申し上げます。
 1点目は、令和3年4月施行の新過疎法において、本市が「みなし過疎地域」に指定されたことであります。島根県と一緒に国等への陳情を行った結果、実質負担3割という有利な過疎債が、新過疎法施行10年間、活用できることになりました。
 2点目は、ふるさと応援基金の残高が積み上がっていることです。私は市長就任以来、ふるさと寄附の推進に力を入れ、寄附額はこの9年強で累計約122億円になりました。返礼品代や事務費を除く約5割が市で使えるお金で、寄附者のご意向に沿った使途に使ってまいりました。しかし、全部を使った訳ではなく、令和4年度末のふるさと応援基金の残高は約25億円となる見込みです。
 3点目は、中国電力三隅発電所2号機に伴う固定資産税の増加です。2号機は昨年11月に営業運転を開始されました。これに伴い令和5年度の固定資産税は、約17億円の増収と見込んでおり、交付税調整が行われたとしても、実質4億円強の増収となる見込みです。
 令和5年度以降に取り組む事業については、こうした市の財政状況も考慮し、必要性と優先順位を考えて、検討してまいります。

 

令和5年度の施政方針

 それでは、令和5年度の施政方針について申し上げます。
 令和5年度は先ほど述べました、取組の振り返りと現状、そして昨年度策定した第2次浜田市総合振興計画後期基本計画を踏まえ、施策を推進してまいります。
 最初に、令和4年度から力を入れている3点について申し上げます。
 1点目の、新型コロナ対応につきましては、年明け後も引き続き、2桁の感染者が確認されています。国は、感染症法上5類への引き下げを予定されており、引き続き、国の方針に従って対応してまいります。また、必要な支援策について、引き続き、国や県の動向を踏まえ検討してまいります。
 2点目の、若者対策につきましては、令和5年度は、「地域の日」で頂戴したご意見を踏まえ、新たに「若者支援ファンド」を創設し、若者向け支援を充実いたします。この「若者支援ファンド」は、UIターンで新たに浜田市に住む若者だけはではなく、従来から浜田に住んでいる若者も対象とし、若者の起業や、住宅取得などに対して支援を行うものです。ふるさと寄附を財源として今後、3年間で1億5,000万円の事業として取り組んでまいります。
 また、子育て世代からニーズのあった「子どもが遊べるところが欲しい」とのご意見に対して、既存の公園の配置や施設状況などを整理し、必要な遊び場の整備を検討いたします。
 その他、国の「地域おこし協力隊」制度を活用し、産業、文化、スポーツ分野などで活躍する若者の移住・定住につなげてまいります。
 3点目の、協働のまちづくりにつきましては、引き続き、まちづくりセンターやまちづくりコーディネーターと連携し、地区まちづくり推進委員会の設立支援に取り組んでまいります。
 新型コロナの収束は未だ見通せませんが、地域の皆さんの活動につきましては、感染防止対策を講じつつ、可能な限りまちづくり活動に取り組んでいただけるよう、市はその人的・財政的支援を行ってまいります。
 また、令和5年度は協働のまちづくりがスタートして3年目に当たりますので、浜田市協働のまちづくり推進計画やまちづくりセンターの評価・検証を行い、その後の推進に活かしてまいります。

 その他の取組については、7つの「まちづくりの大綱」に沿って、「特に力を入れるべき施策」を中心に申し上げます。

 

1 活力のある産業を育て雇用をつくるまち

 大綱の1つ目「活力のある産業を育て雇用をつくるまち」につきましては、「水産業」、「農林業」、「観光」の3点の振興について申し上げます。

 1. 水産業の振興                              

 1点目の、水産業の振興では、地元船団の確保・維持と、養殖事業の可能性について、改めて調査・研究に取り組んでまいります。
 ①  地元船団の確保・維持
 浜田漁港周辺では、令和3年7月に「はまだお魚市場」がリニューアルオープンし、本年3月には、高度衛生管理型荷さばき所の2期工事である4号荷さばき所が完成いたします。
 しかしながら、浜田漁港の水揚げは、全国的な水産資源の減少に加え、この間、底びき網船2ヶ統の廃業、まき網船1ヶ統の水難事故による休業などもあり、令和4年には約35億円まで減少しました。
 昨年11月に行った「地域の日」でも、水産卸事業者から、「これ以上、生産者を減らさないように」との強い要望がありました。
 水産業は本市の基幹産業であります。水揚げが減少すれば、水産卸事業者や加工業者の経営にも影響があり、水産品が返礼品の6割以上を占める「ふるさと寄附」にも影響します。
 令和5年度は、地元船団の確保・維持に最優先で取り組んでまいります。
 まずは、現在1ヶ統しかない、まき網船の2ヶ統目の確保です。市内外の事業者に、まき網船事業開始を働きかけてまいります。事業開始には多額の投資や船員の確保が必要となりますが、国や県、JFの支援も得ながら、しっかり支援してまいります。
 底びき網船につきましては、新船の建造を支援いたします。リシップ事業支援を行ってから約10年が経ちました。底びき網船の多くが船齢35年以上となり、老朽化が進んでいます。新船建造には多額の投資が必要となりますが、国や県の支援も得ながら、市としてもしっかり支援してまいります。
 ② 養殖事業の可能性の調査・研究
 また、令和5年度は、改めて大手水産会社と養殖事業の可能性の調査・研究に取り組んでまいります。
 大手水産会社とは、令和2年4月から陸上養殖の共同研究を開始し、その後、コロナ禍で中断しておりました。先般、同社より、地下海水温の高さに加え、養殖事業が再建中であることや、人的リソースの不足等の理由から、共同研究の解除の連絡がありました。
 その後、協議した結果、本年4月に新たな協定書を締結し、浜田漁港周辺で、陸上養殖にこだわらず、海面を含めた養殖事業の可能性の調査研究を行うこととなりました。
 養殖事業は、水産資源が減少する中、将来の水産業の柱となりうる事業であります。大手水産会社の協力を得ながら、養殖事業の可能性について調査研究してまいります。

 2. 農林業の振興

 2点目に、農林業の振興についてであります。
 農業では、有機農業の推進に力を入れてまいります。
 本市では、環境への配慮と収益性の向上等の観点から有機農業の推進に力を入れており、令和2年度に浜田市の振興作物に有機野菜を加え、積極的に取り組んでおります。市内でも、有機野菜、有機米の生産者グループが有機農業に取り組まれる中、昨年12月には、有機野菜の産地づくりに取り組むため、島根県とJA、楽天農業、石見9市町との間で協定を締結いたしました。
 さらに、本年4月には、国が推進する「オーガニックビレッジ宣言」を県内の自治体としては初めて行う予定です。地元有機農産物の消費拡大や食育、循環型農業への取組を進めるため、オーガニックビレッジ宣言に合わせて、学校給食で有機野菜・有機米を提供いたします。
 林業については、森林環境譲与税を活用し、公共施設への市産材活用や木育の推進など、森林整備と森林資源の有効活用により、循環型林業を推進し、地域林業の活性化に取り組んでまいります。

 3. 観光の振興

 3点目に、観光の振興についてであります。
 観光では、令和5年度、石見神楽の振興に力を入れ、都内神社での公演による認知度向上と「(仮称)石見神楽伝承館」の設置検討に着手いたします。
 ① 石見神楽の都内神社での公演による認知度向上
 昨年7月に行った石見神楽国立劇場公演は、2,000人を超える方にご覧いただき、大盛況となりました。しかしながら、石見神楽の認知度は全国的にはまだまだ低く、島根県が首都圏の住民を対象に行った調査では、石見神楽の認知度は9%程度でした。
 このため、令和5年度は、毎年8月に開催される江戸3大祭りの一つといわれる「深川祭り」に合わせ、石見神楽の公演を計画しています。多くの方がご覧になると思いますので、石見神楽のPRとともに、神楽の本場浜田市へのお越しを呼びかけてまいります。
 ② (仮称)石見神楽伝承館の設置検討
 また、令和5年度には、「(仮称)石見神楽伝承館」の設置検討にも着手いたします。
 本市には、50を超える神楽団体があり、神楽衣裳や石州和紙を用いた神楽面、提灯型の蛇胴などの神楽産業の工房も多くあります。
 石見神楽に力を入れているのは本市だけではありません。日本遺産に認定されて以降、石見の他市町もこれまで以上に石見神楽の振興に力を入れています。
 本市が石見神楽の本場であることを国内外に発信し、神楽ファンに本市を訪れていただくためには、シンボルとなる施設が必要と考えています。神楽の歴史の紹介や浜田で生まれた伝統の神楽衣裳、神楽面、蛇胴などを展示し、神楽上演もできる「(仮称)石見神楽伝承館」の設置検討に着手いたします。

 4. その他 

 その他、引き続き、コロナ禍で疲弊した事業者の支援、BUY浜田運動やふるさと寄附の推進による商工業の振興、国際貿易港浜田港の利用促進、企業立地による雇用の推進などに取り組んでまいります。

 

2 健康でいきいきと暮らせるまち

 大綱の2つ目「健康でいきいきと暮らせるまち」につきましては、「高齢者・障がい者福祉の充実」、「子どもを安心して産み育てる環境づくり」の2点について申し上げます。

  1. 高齢者・障がい者福祉の充実

 1点目は、高齢者・障がい者福祉の充実についてであります。
 高齢者が地域で自立した生活ができ、住みなれた地域で暮らし続けられるように、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体となった地域包括ケアの充実を図ってまいります。
 障がい者福祉につきましては、浜田市基幹相談支援センターを中心に、障がいのある方が地域で安心して暮らせるよう、引き続き、支援に努めてまいります。
 また、該当する障害者手帳をお持ちの方へ無料交付しております敬老福祉乗車券につきましては、令和4年度から購入も可能な制度に拡充しており、引き続き、実施してまいります。
 

  2. 子どもを安心して産み育てる環境づくり  

 2点目に、子どもを安心して産み育てる環境づくりについてであります。
 昨年、1月に病児保育事業を再開し、4月には子育て世代包括支援センター「すくすく」を整備いたしました。また、従業員の「出会い・結婚・出産・子育て」を企業にも支援していただくため、「応援事業所認定制度」を創設いたしました。これまで、6社を認定しており、令和5年度は、更に増加するよう、推進してまいります。
 不妊治療は、昨年4月から、健康保険の対象となりました。しかしながら、自己負担もあり、保険でカバーされない治療もあります。治療を受けている方の経済的負担を軽減するため、市独自の上乗せ支援を行っており、大変好評を頂戴しております。引き続き支援を継続し、不妊に悩まれるご家庭を支援してまいります。

 3. その他

 その他、引き続き、国保診療所の医師確保、ヤングケアラー対策などに取り組んでまいります。

 

3 夢を持ち郷土を愛する人を育むまち

  大綱の3つ目「夢を持ち郷土を愛する人を育むまち」につきましては、「浜田郷土資料館の建替え整備」と、新事業であります「エキスパート指導者の招聘事業」の2点について申し上げます。

 1. 浜田郷土資料館の建替え整備方針の策定 

 1点目は、浜田郷土資料館の建替え整備方針の策定についてであります。
 昨年7月から8月にかけ、浜田郷土資料館の施設見学会を行いました。多くの方が見学に来られ、そのうち約9割の方から「施設整備は必要」とのご意見をいただきました。
 ご意見をいただいた方の多くは高齢の方で、若い方のご意見が少なかったように思います。そこで、小中学生の親子を対象とした施設見学会を2月に開催いたしました。今後も引き続き、ふるさとの歴史を探究するプロジェクトに参画する高校生や、若い方のご意見もお聞きする予定です。
 まずは郷土資料館の現状を知っていただくための取組を行い、その後、市民の皆さんのご意見を伺いながら、郷土資料館の建替え整備につきまして、検討したいと考えております。

 2. エキスパート指導者招聘事業

 2点目に、「エキスパート指導者招聘事業」についてであります。
 令和5年度、新規事業として「エキスパート指導者招聘事業」に取り組んでまいります。
 スポーツや音楽などでは、子どもたちが大きく成長し羽ばたくかどうかは、指導者によるところが大きいと言われています。
 そこで、スポーツや音楽などの分野で著名な指導者を招へいし、小中学校の「指導者の指導」を行ってもらい、合わせて、小中学生の実技指導も行っていただきます。
 まずは本年4月、浜田市出身で野球の全日本代表、侍ジャパンのコーチを招へいしたいと考えております。

3. その他

 令和5年度には、公立幼稚園を統合し浜田幼稚園とするとともに、美川小学校の建替えにも着手します。
 その他、引き続き、学力の向上、ふるさと郷育の推進、市内高校の魅力化に取り組んでまいります。

 以上、教育について、重点的な取組を述べましたが、教育方針につきましては、後ほど教育長から申し述べます。

  ※教育方針は、後ろに掲載しています。 
 

4 自然環境を守り活かすまち 

  大綱の4つ目「自然環境を守り活かすまち」につきましては、カーボンニュートラルの推進について申し上げます。

 1. カーボンニュートラルの推進

 政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」を踏まえ、昨年4月にカーボンニュートラル推進室を設置し、8月には全庁横断的な推進組織としてカーボンニュートラル推進本部を立ち上げました。また、9月には、市民、事業者及び行政が連携・協力して取り組むため、「浜田市2050年ゼロカーボンシティ表明」を行いました。
 引き続き、3つの事業、1つ目は市民と共に学ぶ環境づくり、2つ目は地域の再生可能エネルギー導入支援、3つ目は公共施設への再生可能エネルギー導入を柱に取り組んでまいります。
 さらに、令和5年度は、浜田市全体のカーボンニュートラルを推進するための計画策定を予定しております。公共施設への太陽光発電設備等の導入調査を行うほか、地域の再生可能エネルギーの導入可能性調査や市民・事業者へのアンケート調査などを行いながら、今後の方向性や具体的施策を検討してまいります。
 

 2. その他

 その他、引き続き、4R運動の推進及び環境保全活動に取り組んでまいります。また、エコクリーンセンターの長寿命化総合計画に基づき、令和5年度から基幹的設備改良工事に着手いたします

 

5 生活基盤が整った快適に暮らせるまち

  大綱の5つ目「生活基盤が整った快適に暮らせるまち」につきましては、「道路整備」、「地域情報化とマイナンバーカードの推進」、「駅周辺の賑わい創出」、「下水道整備事業」、「公共交通の充実」の5点について申し上げます。

 1. 道路整備

 1点目の、道路整備につきましては、国や県への要望が実を結び、着々と整備が進んでおります。山陰道のうち三隅益田道路は令和7年度中に開通予定であります。懸案の浜田道4車線化は、昨年3月、大朝・旭インター間の事業化が決定されましたので、今後は、国やNEXCO西日本に対して早期事業完成を働きかけてまいります。
 また、通学路の安全対策は、「ふるさと応援基金」を財源に令和2年度から3年間、集中期間として取り組んでまいりました。この事業を更に 2年間延長して「ふるさと応援基金」だけでなく、令和4年度に新設された国の補助も活用し、引き続き、令和6年度までに集中整備を行ってまいります。
 なお、君市踏切の移設・南北道路整備につきましては、JR西日本と協議が整い、令和4 年度からJR施設工事を開始し、令和6年度末の供用開始を予定しております。
 市道等の機能維持と安全面の対策につきましては、令和3年度に創設した浜田市公共施設長寿命化等推進基金を財源に、道路の修繕や橋梁の改修などを計画的に実施いたします。

 2. 地域情報化とマイナンバーカードの推進

 2点目に、地域情報化の推進についてであります。
 国は、「デジタル田園都市国家構想」を掲げデジタル化を推進しています。
 本市では、現在、高速情報通信基盤整備であるケーブルテレビ回線の光化に、民間事業者と連携し、取り組んでいます。昨年3月に幹線工事が完了し、4月には三隅・浜田地域の宅内工事をスタートしました。令和5年度からは他地域の工事にも取り組み、令和7年度中には市内全地域の宅内工事が完了する予定です。
 行政手続のオンライン化につきましては、国が推進する電子申請を利用したワンストップ転入転出や子育て、介護関係のオンライン化に加え、更なる手続きの拡充により、将来目標である「いつでもどこでも行政手続き」の実現に向けて取り組んでまいります。
 なお、「デジタル田園都市国家構想」を支えるデジタル基盤の一つであるマイナンバーカードの本市の交付率は、1月末現在、70.6%となっており、県内8市のトップであります。令和5年度も引き続き、マイナンバーカードの普及促進に力を入れてまいります。

 3. 駅周辺の賑わい創出

 3点目に、駅周辺の賑わい創出についてであります。
 三桜酒造跡地につきましては、昨年8月に地権者から市に売却の意向が示されました。この度、地権者から市が提示した不動産鑑定価格での売却を承諾する旨の連絡がありましたので、浜田市土地開発公社に取得の依頼をすることといたしました。令和5年度には、検討委員会を設置し、市民の皆さんからのご意見もお聞きし、公共施設としての活用について検討してまいります。

 4. 下水道整備事業

 4点目に、下水道整備事業についてであります。
 浜田駅周辺を含む浜田処理区につきましては、令和8年度の処理場稼働を目指し、設計施工の公民連携により事業を進めてまいります。
 管路工事については、令和5年度には設計業務を行い順次工事に着手し、令和9年度完成を目指します。
 また、処理場は浜田川河口の松原町に建設を計画しており、周辺土地の有効活用についても検討してまいります。

 5. 公共交通の充実

 5点目の公共交通の充実につきましては、令和3年度から始めた「あいのりタクシー等運行支援事業」の推進、ご好評いただいております「敬老福祉乗車券交付事業」の継続実施などに取り組んでまいります。
 買物や通院などでご不便を感じておられる高齢者等にとって利便性の高い、より有効的な移動手段の確保に向け、地域公共交通施策の総合的な見直しを行います。
 また、地方鉄道の維持・活性化のため、JR西日本、島根県、沿線自治体と連携し、利用促進策に取り組んでまいります。市民の皆さんにおかれましても、積極的にJRをご利用いただきますようお願いいたします。

6. その他

 その他、引き続き、上水道の基幹管路の耐震化や冬季の凍結による断水対策などに取り組んでまいります。

 

6 安全で安心して暮らせるまち

 大綱の6つ目「安全で安心して暮らせるまち」につきましては、「周布橋の架け替え工事の実施」、「周布川西側への新避難所の設置」、「防災情報の伝達」の3点について申し上げます。

 1. 周布橋の架け替え工事

 1点目は、周布橋の架け替え工事についてであります。
 令和3年8月豪雨で被災した周布橋は、架け替え工事を進めており、昨年3月には仮設歩道橋を設置しました。新たな周布橋は、地元の皆さんの要望に応え、歩道を確保いたします。令和5年度から本体工事に着手し、令和6年度末の供用開始を目指します。
 

 2. 周布川西側への新避難所の設置

 2点目に、周布川西側への新避難所の設置についてであります。
 周布川は、この6年間に3回も避難指示等を発令し、その度に住民の皆さんに避難所への避難を呼びかけました。しかしながら、避難場所が周布川東側の第三中学校であることから、特に周布川西側の住民の皆さんからは遠く、避難しづらいとの声をお聞きしておりました。
 そこで、周布川西側に新たな避難所を設置することといたします。現在、用地交渉等を進めており、令和6年の出水期までには整備したいと考えております。 

  3. 防災情報の伝達

 3点目に、防災情報の伝達についてであります。
 現在使用している防災行政無線につきましては、市民の皆さんに、災害時に必要な防災情報を速やかに、確実に伝えることができるよう、次期防災情報システムの導入に取り組んでおります。市内全地域の整備について、令和7年度の完了を目指して進めてまいります。
 また、防災防犯メールやライン等のSNS、ケーブルテレビなど、様々な媒体を活用して、重要な防災情報を市民一人ひとりに速やかに、分かりやすく伝達してまいります。

  4. その他 

 その他、コロナ禍でなかなか実施ができなかった防災出前講座や、消防による消火訓練の再開に取り組みます。また、再び増加している米軍機騒音問題に対して、島根県や関係市町と一緒に外務省・防衛省に飛行訓練中止の申し入れを行うとともに、必要な防音設備の整備を国、県とともに進めてまいります。

 

7 協働による持続可能なまち

 大綱の7つ目、「協働による持続可能なまち」については、「 (仮称)まちなか交流プラザの整備」、「(仮称)長沢サブセンターの整備」、「島根県立大学との連携」、「人権尊重のまちづくり」の4点について申し上げます。

 1. (仮称)まちなか交流プラザの整備

 1点目は、「(仮称)まちなか交流プラザ」の整備についてであります。
 「地域の日」で頂戴した「交流の場が欲しい」とのご意見に対しましては、浜田商工会議所が取得した旧福屋ビルの1階を整備いたします。産・学・官・民が連携し、市内で活動する団体等のイベント情報や会員募集情報の紹介など、若者から高齢者まで世代を超えた多様な市民の交流の場として活用してまいります。
 また、新たに設立された中間支援組織と共にまちなかの賑わい創出に取り組むほか、島根県立大学のサテライトキャンパスとしてゼミ活動や市民講座への活用を予定しております。

 2. (仮称)長沢サブセンターの整備

 2点目の「(仮称)長沢サブセンター」の整備につきましては、地元からの要望もあり、キヌヤ長沢店の土地の一部を購入し整備する方向で検討を進めております。
 令和5年度中には用地の取得と設計を行い、その後、令和6年度に建設工事に着手し、令和7年度の供用開始を目指します。

 3. 島根県立大学との連携

 3点目に、島根県立大学との連携であります。
 島根県立大学浜田キャンパスは、令和3年4月に学部再編が行われ、新たに国際関係学部と地域政策学部が設置されました。島根県立大学は本市にとって、常時約1,000人の学生が暮らしていることに加え、「大学のあるまち」として市のステータスを高めております。
 市では、これまで、市が抱える課題の共同研究、学生の研究奨励金等の給付、浜田を元気にするアイデアコンテスト、新入生の浜田探索ツアーなどの支援を行っており、引き続き教員や学生の活動を支援してまいります。

4. 人権尊重のまちづくり

 4点目の人権尊重のまちづくりに関しては、令和3年度に改定しました「浜田市人権教育・啓発推進基本計画」に基づき、あらゆる機会を通じて人権教育・啓発を行い、一人ひとりの個性や違いなど多様性を認め合い、人権を尊重するまちづくりの推進に取り組んでまいりました。
 本市全体における人権尊重の理念の普及と人権尊重のまちづくりを一層推進するため、「(仮称)浜田市人権を尊重するまちづくり条例」を令和5年度の早い時期に制定できるよう取り組んでまいります。

5. その他

 その他、定住の促進に関しては、引き続き、きめ細やかな相談対応や、空き家の有効活用のほか、地域と多様に関わる関係人口との連携を図ってまいります。
 また、男女共同参画の推進に関しては、令和3年度に改定しました「浜田市男女共同参画推進計画」に基づき、性別にとらわれることなく、誰もが自分らしく生活できる社会の実現に向けて、取り組んでまいります。

 以上、7つの「まちづくりの大綱」に沿って、令和5年度に取り組む施策を中心に説明いたしました。

 

各地域で力を入れること

 次に、地域ごとに、令和5年度に最も力を入れる施策について申し上げます。 

 1. 金城地域 

 金城地域では、美又温泉に「外湯を兼ねた日帰り温泉施設」の整備を検討いたします。
 美又温泉は、昔から「美肌の湯」として知られていましたが、令和3年度、温泉総選挙2021「うる肌」部門で全国第一位を獲得いたしました。美又温泉は今後も、泉質の良さを一番の売りにした誘客を図るべきと考えておりますが、各温泉旅館で浴室を整備するとなると、スペース的にも資金的にも限界があります。
 また、美又温泉国民保養センターも老朽化が進んでおり、遠くない将来、浴室を含めた建替えが必要になってまいります。
 そこで、温泉総選挙で上位になったこの機会に、美又温泉国民保養センターの敷地内に温泉旅館の「外湯」を兼ねた「日帰り入浴施設」を整備することを検討いたします。

 2. 旭地域

 旭地域では、山ノ内梨園の今後の活用の方向性を再検討いたします。
 山ノ内梨園は、赤梨の栽培を目的に、昭和60年から平成8年にかけ、30ヘクタールの団地を造成いたしました。赤梨の出荷額は、ピークの平成20年には約1億3,200万円に達しましたが、その後、後継者がいないなどの理由で撤退される農家が出て、現在、7ヘクタールが空き農地となっております。今後、担い手の高齢化等により、空き農地は更に増えることが予想されます。
 同梨園は、農地として整備されたまとまりのある団地です。令和5年度には、島根県、JA、生産者などの関係機関とともに検討会を立ち上げ、空き農地での今後の栽培作物等の方向性を検討いたします。

 3. 弥栄地域

 弥栄地域では、ふるさと体験村の再開に取り組んでまいります。
 ふるさと体験村は、平成30年10月から休業状態にあります。この度、地元のまちづくり団体である「弥栄のみらい創造会議」が指定管理者として運営することになり、本年4月の再開に向けた準備が進んでおります。
 再開後のふるさと体験村の想定する利用者の一つは、広島方面に居住する方々です。今後、広島事務所を通じて合宿や企業研修等のPR及び誘客に取り組んでまいります。
 また、市内小中学校と連携し、子どもたちや親子を対象とした体験学習の利用についてもPRしてまいります。
 さらに、島根県立大学に対しても、農山村フィールドワーク等の受入により、大学及び学生と地域の連携を深め、新たな活用策を提案してまいります。

 4. 三隅地域

 三隅地域では、リハビリテーションカレッジ島根、通称「リハカレ」の再建に取り組んでまいります。
 ここ10年間、全国的にリハビリ系の大学・専門学校が増加し、その一方、少子高齢化が進んでいることから学生の獲得競争が激しくなっています。
 リハカレの存在は、三隅地域経済にとって大きいものがあり、学校は存続させなければなりません。市としても、令和3年度末、ふるさと応援基金を財源に1億円の経営支援を行いました。
 リハカレは、昨年4月、全国的に専門学校を展開している大手学校法人から経営指導を受ける覚書を締結されました。当面は、令和6年度入学者の確保に努めていただくとともに、並行して、将来にわたって存続する学校となるよう、支援してまいります。

 

令和5年度予算

 令和5年度予算(案)についてであります。
 ハード面では、周布橋の架け替えやケーブルテレビの光回線化に係る宅内引込工事などのインフラ整備を引き続き行ってまいります。また、新たに周布川西側における防災拠点の整備を行うとともに、美川小学校新築事業や金城支所周辺施設整備事業に着手いたします。
 ソフト面では、若者対策として、若者が暮らしたいまちづくりにつなげるための若者支援ファンドを立ち上げるとともに、国の「地域おこし協力隊」制度を活用した若者移住事業などに取り組んでまいります。
 こうしたことから、一般会計の予算規模は373億9,000万円、令和4年度当初予算と比較した場合、高度衛生管理型4号荷さばき所整備の完了による投資的経費の大幅減に伴い、金額で15億2,000万円の減、率にして3.9%の減となります。
 また、引き続き財政健全化にも取り組んでまいります。令和5年度も、減債基金を取り崩し、約9億円の繰り上げ償還を予定しており、実質公債費比率、将来負担比率の県内トップクラスを堅持する計画であります。

 

 最後に 

 以上、令和5年度の施策について申し上げました。
 令和5年度は、私にとりまして、3期目の折り返しを迎える年であります。本市にとって必要な事業については、国や県の支援や過疎債、ふるさと寄附などを活用し、財政の健全化に留意しながら、積極的に取り組んでまいります。
 議員各位におかれましても、一層のご理解、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

 

令和5年度教育方針

 私は、市長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、令和5年度の教育方針を申し述べ、皆さまのご理解をいただきたいと思います。 

 教育長

教育方針を表明する岡田泰宏 教育長

はじめに  

 近年、人口減少、気候変動、AIやIoTなどの技術革新に加え、世界の協調と平和を脅かす戦争や新型コロナウイルス感染症の流行により、また、ダイバーシティと言われる多様性の到来により、社会を取り巻く環境は大きく変化しています。子どもたちはこうした複雑な社会を逞しく生きていかなければなりません。

 このような状況の中、学校教育にも大きな変革が求められています。多くの教育課題と向き合っていくには、学校の対応だけでは限界があり、浜田の大切な宝である子どもたちの育ちを見守るために、学校・家庭・地域が持っているそれぞれの教育力をバランスよく機能させていくことが重要と考えています。これは、子どもの成長だけに限らず、周りの大人も成長する共育の考え方にも通じていきます。

 教育委員会としては、一人ひとりの進路保障の考え方に基づいた「学力向上」と「地域とともに子どもたちを育む教育活動」に力を入れてまいります。ここで言う「学力」とは、机上の知識だけでなく、生きる力全般のことを指します。
 イギリスの哲学者(政治家)のフランシス・ベーコンは、「知は力なり」という名言を残しています。単に覚えた知識が力になるという意味ではなく、「物事を実際に試すこと、実際に経験することで得た知識こそが力になる」という考え方です。「経験論」に基づくこの考え方を、学校現場だけでなく家庭や地域ともしっかり共有していきたいと考えています。

 子どもたちが地域に出て、地域貢献の意識を持ってできることを実践し、達成感や認められる経験の中で自己有用感を磨かせたいと思います。
 また、子どもの教育のお手本は身近にいる家庭の人で、子どもたちは、周りの大人のことをよく見ています。そして自らを認めてほしいという思いを持っています。家庭でも地域でも子どもの人権を尊重しながら寄り添っていくことが大切と考えています。

 これからの教育は、子どもが主体的に自己決定し自走する未来を描くことが重要で、学校も引き続き「教える場」から「学ぶ場」に変わっていく努力をしてまいります。

 学校の教育力の向上のためには、授業改善が欠かせません。そのためには教職員が教材や児童生徒に向き合う時間の確保が必要なため、教職員の働き方改革に本気で取り組んでまいります。働き方改革は労働環境改善のためだけでなく、ひいては不足している教職員確保にも通じ、これらにより生まれた教職員の余力が児童生徒に還元され教育力の充実に結び付いていくということを、保護者や地域の方にもご理解いただきたいと思います。

 一方、社会教育においては、市民の皆さんが心身ともに健康で心豊かな生活を送れるように、健康寿命の延伸につながるように、生涯スポーツや文化・芸術活動の振興と支援に取り組んでまいります。また、ふるさとの歴史や文化を愛する心の醸成につなげてまいります。

 以上のことを踏まえて、「学校教育の充実」、「家庭教育支援の推進」、「社会教育の推進」、「生涯スポーツの振興」、「歴史文化の伝承と創造」の5つの項目について、新たな取組を中心に申し述べます。
 

 1. 学校教育の充実

 まず、「学校教育の充実」についてであります。
 学力育成対策は、児童生徒自らが学びに向かう力の育成を図りながら、国語教育を要としつつ、理数教育の充実にも努めてまいります。
 具体的には、引き続き「協調学習」や「図書館活用教育」を柱としつつ、理数教育については、小学校の算数の取組を強化してまいります。また、新たな事業として、児童生徒が理科の観察や実験に楽しく取り組みながら問題解決の力を付けていくことができるように、理科教育設備整備費補助金による備品等の整備を行うとともに、外部講師による小学校科学教室の開催にも取り組む考えです。
 併せて、ICT機器を活用した授業についても、研修の機会の確保や指定校の取組を広げるなど、授業の質を高めてまいります。
 さらに、指導主事等の学校訪問により、学校としての組織的な授業改善や校内研究を支援するとともに、授業構想段階から学校現場の教員と一緒になって「子どもの声でつくる授業」を目指してまいります。

 教職員の働き方改革への支援として、校務支援システムを導入し、教職員の校務負担を軽減してまいります。浜田・江津・大田・川本・美郷・邑南の三市三町の自治体と共同してシステムを導入することで教職員の異動時における負担や導入経費も軽減してまいります。
 また、休日における部活動の地域移行については、国のガイドラインを踏まえ、可能な限り早期の実現を目指すこととし、顧問に代わって指導ができる「部活動指導員」の配置等に取り組みます。

 次に、「ふるさと郷育」についてであります。
 「ふるさと郷育」は、故郷を愛し、いつかは故郷の役に立ちたいと考える子どもたちを育むために欠かせない教育です。
 本市では、これまで幼稚園や小・中学校を中心に、地域の協力を得て、自然体験活動や海洋教育などに取り組んでまいりました。令和4年度からは、HAMADA教育魅力化コンソーシアムを通じて、高等学校と地域が連携した教育活動や高校生の主体的な地域活動への参画を支援し、幼少期から高校まで切れ目のない取組へと広がってきています。
 今後は、学校と地域の協働活動をさらに深めて、学校で学んだことを地域活動に活かせるよう働きかけるなど、「ふるさと郷育」を学校から家庭、地域へと広げてまいります。

 不登校傾向及び不登校児童生徒への対応については、引き続き教育支援センター「山びこ学級」における学習支援や福祉・医療などの関係機関との連携、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等を活用した相談支援などに取り組みます。
 山びこ学級ではオンライン授業の可能性も研究し、機能強化を図ってまいります。
 また、「浜田市いじめ防止基本方針」の下、アンケートQU等を活用し、いじめの未然防止や早期発見のための集団作りやいじめを認知した場合の組織対応など、各校が適切かつ迅速に対応できるよう指導・支援を行ってまいります。

 児童生徒の学校給食については、全国的な原油価格・物価高騰により、給食の食材料費も高騰するなかで、令和5年度から学校給食費の値上げを予定しています。 
 学校給食費の急激な増加による保護者の負担を軽減するために、給食費の値上げ分に対する激変緩和措置を計画しています。
 また、「オーガニックビレッジ宣言」に関連して、学校給食での地元有機農産物の一層の利用や食育活動を推進してまいります。

 小中学校の適正配置については、令和4年度に策定した「浜田市立小中学校統合再編計画」に基づき、美川小学校の建替えに着手いたします。また令和5年度末に雲雀丘小学校と第四中学校の2校が閉校となります。学校や保護者はもちろんのこと、地域の皆さんとも連携し、円滑な学校統合を果たせるよう準備を進め、閉校記念事業への支援や統合先へ通学するためのスクールバスの購入等も行ってまいります。

 学校施設の老朽化に対する緊急対策については、令和3年度から始めた3年間の集中期間の最終年度になりますが、さらに充実した学校施設となるよう令和6年度から3年間の事業の延長を行い、計画的に児童生徒の安全安心な学校環境の整備に取り組みます。
 また、小中学校のトイレの洋式化については、令和4年度に14校、123基を設置しましたが、設置率75%程度まで引き上げることを目標とした整備計画を立てており、目標達成に向けて引き続き取り組みます。
 併せて、小中学校の暑さ対策として取り組む特別教室へのエアコン設置については、優先順位等を勘案した整備計画の策定に努めてまいります。
 最後に、学校施設等に設置されていました小型焼却炉については、ダイオキシン等の分析調査が終了しましたので、速やかにすべての焼却炉を撤去いたします。

 幼児教育の充実については、公立幼稚園4園を統合し、新たに浜田幼稚園が開園します。浜田幼稚園には、市全体の幼児教育の質の向上に向けた先導的な役割を担う「浜田市幼児教育センター」や、特別な配慮を必要とする幼児の支援を行う「幼児通級教室」を設置し、その円滑な運営に向けて取り組んでまいります。
 

 2. 家庭教育支援の推進

 次に「家庭教育支援の推進」についてであります。
 家庭教育支援については、「HOOP!浜田親子共育応援プログラム」により、乳幼児の子を持つ親への学びの場の提供や親同士の交流等、地域ぐるみで家庭教育を支援する環境づくりに努めてまいりました。
 昨年は、コロナ禍にあって十分な活動ができておりませんので、改めてファシリテーター等の人材確保やスキルアップ研修、学校等への啓発活動に取り組んでまいります。
 引きこもりの子どもや若者の社会参加・自立支援については、自宅の外に気軽に立ち寄れて、ひとりではないということが実感できる居場所をつくることが何よりも大切と考えています。
 青少年サポートセンターがそうした役割を担えるように、いろいろな体験活動や学習支援の提供に努めてまいります。併せて、一人ひとりの気持ちや思いに寄り添った相談対応を行って、自立に向けた支援につなげてまいります。

 3. 社会教育の推進 

 次に「社会教育の推進」についてであります。
 社会教育を基盤とした人づくり、まちづくりを推進するために、まちづくりセンターと地域のまちづくり活動団体が連携した実践活動が一層進むよう、センター職員のスキルアップを目指して、社会教育士の取得を進めてまいります。
 また、「はまだっ子共育推進事業」については、「地域学校協働活動」、「地域子ども活動」、「家庭教育支援活動」の3つの柱を軸に、学校と地域が、目指す子ども像や地域像等のビジョンを共有しながら引き続き地域を担う人づくりに取り組んでまいります。
 
 「図書館」については、「第3次浜田市子ども読書活動推進計画」に基づき、家庭、地域、学校等と連携した取組を進めてまいります。
 特に「家読」は、家庭での読書を通じて、家族の絆を深め、豊かな心を育むことを目的としていますので、家庭ごとに自由な方法で取り組むことが重要と考えています。出産前から家読を勧めるとともに、様々な機会に読み聞かせやイベントを行うなど、関係機関で力を合わせて家読の推奨を行います。
 また、令和5年度は、浜田市立中央図書館と三隅図書館が新築開館してから10周年の節目となります。ボランティア団体と協力しながら、より多くの市民の皆さんに楽しんでいただける図書館となるよう努めてまいります。
 さらに、郷土資料等の整理や子育て世代・若者向けの蔵書の充実を図ることで、市民の皆さんのニーズに応えられるよう努めてまいります。

 4. 生涯スポーツの振興

 次に、「生涯スポーツの振興」についてであります。
 令和12年に、第84回国民スポーツ大会が島根県を会場に開催される予定であります。本市ではサッカー、ビーチバレーボール、体操、トランポリン、ゴルフ、そして軟式野球の6つが競技会場に選定されました。複数の競技が開催されることから、運営体制や環境整備について十分な検討が必要となります。浜田市体育協会及び各競技団体と連携を深め、選手や指導者の育成及び競技の普及、そして円滑な運営ができるよう準備を進めてまいります。
 また、令和5年度は新たにエキスパート指導者を招聘する事業に取り組みます。元プロ野球選手で日本代表のコーチ経験のある方をエキスパート指導者として招聘し、市内で活動する中学校部活動やスポーツ少年団等を対象に指導を行っていただき、浜田市から全国にはばたく選手の育成に取り組みます。
 スポーツ施設の整備については、浜田市陸上競技場を公認競技会の開催が可能な第4種公認陸上競技場の要件を維持するための改修工事や、体育館施設の照明のLED化を行ってまいります。
 また、「浜田市スポーツ施設再配置・整備計画」に基づき、内容のローリングを行いながら、スポーツ施設の在り方について整理・検討を行いますが、サン・ビレッジ浜田のアイススケート場については、外部委託などにより調査を行い、施設の方針について検討してまいります。

 5. 歴史文化の伝承と創造

 次に、「歴史文化の伝承と創造」についてであります。
 芸術文化の振興については、市民の芸術文化活動の活性化を図るため、浜田市美術展や全国の美術大学生を対象とした石本正日本画大賞展を開催し、芸術文化に触れる機会を提供してまいります。
 小中学生に優れた芸術に触れる機会を提供するスクールコンサートについては、令和4年度から実施方法を変更し、学校からも好評を得た一般社団法人石見音楽文化振興会と、連携して取り組んでまいります。
 芸術文化施設の整備については、世界こども美術館の外壁改修・屋上防水工事や、石正美術館旧館の空調機器の更新を行ってまいります。

 文化財については、地域における様々な文化財の保存活用を計画的に促進するため、文化財保存活用地域計画の作成に引き続き取り組んでまいります。
 現在、各地域の文化財情報の把握を行っています。これまでの市町村誌やまちづくりセンターが作成した地図や資料をもとにリストを作り、地域の方へのアンケートを順次行いながら進めてまいります。
 また、市内に残る指定文化財をはじめとした貴重な文化財を守るための取組を行うとともに、石見神楽関係などの文化財指定に向けて引き続き取り組みます。文化財審議会委員の意見を聴きながら調査を実施し、将来に向けて文化財を伝え残せるよう努めてまいります。

 浜田郷土資料館の建替え整備については、施設の現状を知っていただくための見学会などを引き続き開催し、若い世代の方々を含め、市民の皆さんのご意見をお聞きしながら、今後の整備について検討してまいります。

 最後に 
 

 以上、令和5年度の教育方針について申し述べました。
 新型コロナウイルス感染症の収束は未だ見通せない中、5月には感染症法上5類への引き下げも予定されています。教育委員会としても、学校や所管する文化スポーツ施設で混乱が生じないように、対応方針を共有して、なるべく「子どもたちの学びを止めない」、「文化やスポーツ活動を止めない」努力をしてまいります。
 議員並びに市民の皆さんの、一層のご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

 

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