令和7年度施政方針
令和7年3月浜田市議会定例会議の開会に当たり、今後の市政運営に関する所信を申し述べ、議員並びに市民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
施政方針を表明する久保田章市 浜田市長
はじめに
令和7年度は、私にとって、市長3期目の最後の年となります。本任期の集大成として、各種施策の仕上げに取り組んでまいります。
これまでの取組を振り返り、市の現状を踏まえつつ、令和7年度の施政方針を申し上げます。
取組の振り返り
まずはこれまでの取組の振り返りについて3点申し上げます。
1. 新型コロナ対応、物価高騰対策
1点目は、新型コロナ対応と物価高騰対策についてであります。
本任期を振り返りますと、その大半を新型コロナ対応と、その後に続く物価高騰対策に注力した3年半でありました。
令和2年1月、国内で初めて新型コロナウイルスが確認された後、本市におきましても様々な感染拡大防止対策を講じるとともに、国や県の制度を補完する市独自の支援策にも取り組みました。
国が実施した特別定額給付金には、いち早く特別定額給付金室を設置して支給を行い、市の独自支援策として、国に先行した「ひとり親世帯」への給付や、全国に先駆けた「インフルエンザ予防接種費用助成」も行いました。
ワクチン接種では、医師会をはじめ関係機関の協力を得て、個別接種を主体としながら、補完的に集団接種を取り入れる形で、正確かつスピード感のある対応に努めました。
市長3期目となる令和3年10月以降も、各種感染対策に取り組むとともに、全業種で利用可能なプレミアム付「はまだ応援チケット」を発行して地域経済の回復を図るなど、コロナ禍で厳しい状況にある市民生活と地域経済を支えてまいりました。
令和5年5月に感染法上の位置付けが5類へ移行され、経済活動は正常に戻りつつある一方で、原油価格や食料品などの物価高騰で、市民や事業者には厳しい状況が続いております。こうした中、市民生活を守り地域経済を支えるため、子育て世帯への応援金の支給や、敬老福祉乗車券の購入上限冊数の引き上げ等による高齢者支援を行いました。さらに、第4弾となるプレミアム付「はまだ応援チケット」を発行することにより、地域経済の活性化支援にも取り組みました。
2. 若者対策
2点目は、若者対策についてであります。
若者世代の減少が進む中、令和3年度からは若者の出会い・結婚・出産・子育てをトータルで応援する事業に取り組み、令和5年度からは「若者支援ファンド事業」による若者向け支援施策の充実に取り組みました。
また、国の「地域おこし協力隊」制度を活用し、農業、音楽、スポーツ、歴史・文化、事業承継などの分野で活躍する方を協力隊員として受け入れ、若者の移住促進に取り組んでまいりました。
さらに、令和3年度からは、特定地域づくり事業協同組合を活用した若い音楽家の誘致にも取り組みました。
3. 協働のまちづくり
3点目は、協働のまちづくりについてであります。
本市では、令和3年度から協働のまちづくりに取り組んでおります。これまで、地域の活動に対し、まちづくりセンターやまちづくりコーディネーターと連携した人的支援、まちづくり総合交付金事業による財政的支援などを行ってまいりました。また、令和6年度から高齢者の生活支援を行う「地域支え合い生活支援事業」を新たに創設し、地区まちづくり推進委員会が行う活動を支援いたしました。
令和4年2月に策定した「協働のまちづくり推進計画」につきましては、取組の進捗状況を浜田市協働推進本部で自己点検するとともに、浜田市協働のまちづくり検討部会で評価・検証を行いました。
また、まちづくりセンターにつきましては、令和6年3月に浜田市協働のまちづくり検討部会から提出された報告書を基に評価・検証を行い、令和7年度以降の方針を策定いたしました。
市の財政状況
次に、市の財政状況について申し上げます。私は、財政運営に当たりましては、できるだけ国等の支援を受けて財源を確保し、必要な事業をしっかり行う、というスタンスで財政運営を行ってまいりました。
ここ数年、新型コロナウイルス感染症対策や物価高騰対策をはじめ、ケーブルテレビの光回線化などの大型事業に取り組んでまいりましたが、財源の大半を国からの交付金などで賄いました。
また、自主財源の獲得にも努め、ふるさと寄附は、毎年10億円を上回る中国5県でトップクラスの寄附を集め、緊急性を有する事業など、一般財源では賄えない事業に取り組んでおります。
こうした財政運営の結果、本市の財政状況は、健全化指標でみると、県内8市の中でトップクラスにあります。今後も繰り上げ償還などにより、更なる健全化に努めてまいります。
市の貯金ともいえる基金残高につきましては、令和6年度末に財政調整基金が約58億円、繰り上げ償還の原資となる減債基金が約30億円、ふるさと応援基金が約24億円、まちづくり振興基金が約20億円など、合計で約159億円確保しております。
令和7年度に取り組む事業は、こうした市の財政状況も考慮し、必要性と優先順位を考え、有利な過疎債なども活用し、財政運営を行ってまいります。なお、現過疎法が令和12年度までの時限立法であることも踏まえて取り組んでまいります。
令和7年度の施政方針
令和7年度は、先ほど述べました取組及び第2次総合振興計画を踏まえ、施策を推進してまいります。
最初に、令和7年度、特に力を入れる4点につきまして、申し上げます。
1. 防災危機管理
1点目の、防災危機管理につきましては、市民への迅速かつ正確な防災情報の伝達と、命を守るための防災意識の高揚を2本の柱として取り組んでまいります。
防災情報の伝達につきましては、防災行政無線の老朽化に加え、以前から聞こえにくいといった声も伺っておりますので、令和7年度から2か年をかけて屋外スピーカーを高性能なものに更新するほか、自宅内で聞こえる個別受信機の普及にも力を入れてまいります。
また、防災意識の高揚につきましては、令和6年度から6月の第1日曜日を総合防災訓練の実施日と定めており、令和7年度も全市を挙げて訓練を実施いたします。これに加えて、津波被害が想定される地域での地震津波避難訓練や毎年9月に実施する「安全チェックの日」などの機会を捉えて、市民の防災意識の高揚を図ってまいります。
2. 若者対策
2点目の、若者対策につきましては、令和7年度も引き続き、ふるさと寄附を財源とした「若者支援ファンド事業」に取り組み、若者支援の充実に努めてまいります。
若者の移住・定住につきましては、地域おこし協力隊の受入れに更に力を入れ、若い力を地域で生かすとともに、彼らの定着に向け、支援してまいります。また、令和6年度から始めた地域おこし協力隊インターン制度にも、引き続き取り組んでまいります。
3. 協働のまちづくり
3点目の、協働のまちづくりにつきましては、引き続き、まちづくりセンターやまちづくりコーディネーターと連携し、地区まちづくり推進委員会の活動や設立支援に取り組みます。
まちづくりセンターにつきましては、令和6年度に策定した市の方針に基づき、まちづくりセンターが地域の実情に応じた活動拠点として、より一層その機能が高められるよう取り組んでまいります。
令和6年度に、地区まちづくり推進委員会の事務負担を軽減するため、「地区サポーター」を試行的に設置いたしました。地区まちづくり推進委員会へのアンケートや現場の声を伺った結果、好評であったため、令和7年度には更に設置団体を増やして、地域の活動を支援してまいります。
4. 浜田郷土資料館の建替え整備、石見神楽の保存・伝承の拠点
4 点目に、浜田郷土資料館の建替え整備、石見神楽の保存・伝承の拠点について申し上げます。
浜田郷土資料館につきましては、令和4 年から令和5 年にかけて実施した市民見学会参加者の約8 割から「建替え整備すべき」との意見をいただきました。その後、令和5 年12 月には文化団体から、約560 人の署名とともに「建替え事業の推進を要望する」との要望書をいただきました。
石見神楽の保存・伝承につきましては、石見神楽伝承内容検討専門委員会から令和6 年11 月に提言をいただき、その中で「拠点施設の検討が必要」との意見を頂戴しました。
一方、三桜酒造跡地については、その前年の令和5 年12 月、三桜酒造跡地公共活用検討委員会から、「市の内外から多くの人が訪れ、賑わいのある公共空間となるよう整備活用を求める」、「石見神楽伝承施設の候補地の一つとすることは差し支えない」との提言をいただきました。
これらの提言や各団体の意見などを踏まえ、検討した結果、①施設は1 か所に集約整備した方が整備費・運営費が圧縮できる、②三桜酒造跡地は、交通至便で市民や観光客にとってもアクセスが良い、③駅前周辺の賑わいに寄与し、周辺に民間事業者の投資が期待できる、などの観点から、三桜酒造跡地に次の3 つの機能を有する施設を整備することで進めてまいります。
機能の1 つは、石見神楽の保存・伝承と郷土資料館の複合施設である(仮称)神楽伝承・郷土資料館、2 つ目は、石見神楽の上演を柱としつつ多目的にも活用できる(仮称)神楽ホール、3 つ目は、市内外の多くの人が訪れ交流ができる屋外の交流広場であります。
なお、三桜酒造跡地公共活用検討委員会から、「民間活力を生かす手法を検討すべき」との意見を頂戴しましたが、三桜跡地での施設の整備・運営は事業の性格から公共で行い、民間事業者には周辺エリアへの投資を期待したいと考えております。
令和7 年度には、三桜酒造跡地において、上記3 機能を具体化するため、浜田駅周辺エリアの賑わい創出も視野に入れつつ、基本構想の策定に取り組みます。あわせて、石見神楽伝承内容検討専門委員会からの提言を受け、石見神楽の保存・伝承の拠点整備に向けて検討委員会を立ち上げるとともに、石見神楽の歴史やものづくり技術などの調査にも取り組みます。
総合振興計画7大綱における重点施策
続いて、「まちづくりの7つの大綱」に沿って、「特に力を入れるべき施策」を中心に申し上げます。
1 活力のある産業を育て雇用をつくるまち
大綱の1つ目「活力のある産業を育て雇用をつくるまち」につきましては、「水産業」、「農林業」、「観光」の3つの振興について申し上げます。
1. 水産業の振興
① 水産事業者の誘致および維持存続の支援
1点目は、水産業の振興であります。
浜田漁港の令和6年の水揚げは、36億5,000万円となり、令和5年と比較して約1億円減少しました。
水産浜田の再生のためにも水揚げ量の増大が最重要課題であり、地元漁船の維持存続と地元外漁船の入港促進に取り組んでおります。
沖合底びき網漁業については、令和5年度には1船団が新船を建造され、さらに現在、別の1船団が令和7年8月漁期の操業開始に向け、新船建造を行っておられます。残る底びき網漁船2船団や地元まき網漁船においても存続に向け、引き続き、国や県の事業を活用し、しっかり支援してまいります。
また、新たな水産事業者の誘致活動にも力を入れてまいりました。こうした誘致活動により、このたび大手水産事業者である福岡市の株式会社三陽の浜田市進出について合意し、1月24日に水産業の振興に関する包括連携協定を締結しました。現在、計画されているアジフライなどの加工事業に伴い、雇用の増加や購買力向上による地元外のまき網漁船の入港、浜田港からの輸出なども期待されます。水産業の振興に向け、同社と連携し取り組んでまいります。
② 養殖事業の実現可能性
令和5年4月から令和6年度末までの2年間、大手水産会社との間で養殖事業等の調査・研究に関する協定を締結し、浜田漁港周辺での養殖事業の可能性調査を行い、今年度末には調査結果について報告されることとなっております。
水産資源が減少する中、養殖事業の必要性が高まっていますので、引き続き、養殖の事業化を目指してまいります。
2. 農林業の振興
2点目に、農林業の振興についてであります。
本市は、令和5年4月に、県内初となる「オーガニックビレッジ宣言」を行いました。農機具メーカーや大学等と連携し、自動操舵機械やアイガモロボの導入、有機堆肥、もみ殻燻炭の試作等の取組を進めるほか、学校給食への有機米の提供など、食育にも取り組んでまいりました。
令和7年度は、引き続きアイガモロボや、低コストな栽培技術の更なる普及拡大、地域おこし協力隊制度を活用した農業研修生の受入れを行うとともに、学校給食への有機野菜・有機米の提供を進めてまいります。
林業では、森林環境譲与税を活用し、引き続き、森林整備、市産木材の利用促進、林業従事者の育成・支援に努め、木材産業の活性化と、循環型林業の展開を進めます。
林業の収益性向上を目指し、課題である再造林の低コスト化と、管理費の削減を図るため、令和5年度から大学や企業と連携し、早生樹としてユーカリの実証実験を行っております。
令和7年度は、三隅地域の市有林でユーカリを植栽する予定であり、獣害に対する耐性や生育状況を確認しながら、森林再生の一つの手法として、引き続き取り組んでまいります。
3. 観光の振興
① 石見神楽を軸とした観光振興
3点目に、観光の振興についてであります。
観光では、「石見神楽」を軸として、「温泉」と「食」などの地域資源を生かした観光を推進いたします。
石見神楽は、浜田市が誇る伝統芸能であり大切な文化であります。その保存・伝承に向けては、石見神楽伝承内容検討専門委員会からの提言書を踏まえ、教育委員会と連携して取り組んでいくとともに、石見神楽や、石見神楽を支える伝統のものづくり・文化の魅力を活用させていただき、観光振興にもつなげてまいります。
本年4月から開催される大阪・関西万博は、石見神楽を世界に発信する絶好の機会であり、6月19日、20日の両日、開会式の会場となるEXPO ホールにおいて、浜田市単独公演を実施いたします。また、7月29日、30日、31日には、万博首長連合が主催する催事にも出演いたします。1970年の万博公演が石見神楽の飛躍の契機となったように、2025年の公演を石見神楽の新たな未来へとつなげるとともに、その魅力を発信することで、国内外の方に広く知っていただき、観光振興を図ってまいります。
② 美肌観光と食の魅力向上
昨年の温泉総選挙で、美又温泉が「美肌部門」で全国第1位、旭温泉が「歴史/文化部門」で全国第1位となりました。この結果や優れた泉質を広くPR するとともに、市内事業者と連携して「美肌食」や「美肌商品」などの美肌資源を活用した美肌観光に取り組んでまいります。
「食」の取組では、「どんちっち三魚」や「山陰浜田港四季のお魚」などの水産ブランドの認知度向上を図るとともに、「あんこう鍋」や「バトウめし」など、浜田港の新鮮なお魚を使用した料理の魅力を広く発信してまいります。
さらに、「はまだお魚市場」を核として、様々なイベントを開催し、港周辺エリアの賑わいづくりに取り組み、食による観光誘客につなげてまいります。
③ 交流人口の拡大
また、浜田市では、令和7年8月に、高校総体の体操競技大会が開催されるほか、9月には、全国から地域活性化に取り組む研究者等が集う「地域活性学会」が開催されます。こうした機会を通じて、更なる交流人口の拡大を図ってまいります。
4. その他
その他、原材料の高騰や人手不足等の社会情勢に合わせた事業者の支援や販路拡大、BUY 浜田運動、ふるさと寄附の推進による商工業の振興、国際貿易港浜田港の利用促進と取扱貨物量の増加、企業立地による雇用の創出などに取り組んでまいります。
2 健康でいきいきと暮らせるまち
大綱の2つ目「健康でいきいきと暮らせるまち」につきましては、3点について申し上げます。
1. 高齢者・障がい者福祉の充実
1点目は、高齢者・障がい者福祉の充実についてであります。
高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を推進するとともに、認知症支援施策の充実を図ってまいります。
障がい者福祉の充実につきましては、障がいのある人もない人も共に住み慣れた地域で安心して暮らすことができる地域共生社会の実現に向け、浜田圏域自立支援協議会を中心に、基幹相談支援センターやサービス提供事業所等の各関係機関が連携し、障がいがある人やその家族等の支援体制の充実に取り組んでまいります。
2. 子どもを安心して産み育てる環境づくり
2点目に、子どもを安心して産み育てる環境づくりについてであります。
子育て世代の経済的負担を軽減するため、市の独自事業である新生児子育て応援金の支給を継続いたします。また、産後、不安定になりやすいお母さんの心と体のサポートを充実させるため、産後ケア事業を拡充し、従来の「通所型」「訪問型」に加え、新たに「宿泊型」を開始いたします。
浜田市こども家庭センターを中心に、妊娠期から出産・子育て期にわたる切れ目のない支援に努め、安心して妊娠、出産できる環境づくりに取り組むとともに、引き続き支援を必要とする家庭に寄り添った伴走型相談支援に力を入れてまいります。
子ども医療費の助成につきましては、令和7年度から拡充し、中学生までを完全無償化、18歳までの高校生年齢につきましては、入院に係る医療費を無償化いたします。
なお、現在、「浜田市こども計画」を策定中であり、今後は、この計画に沿って取組を進めてまいります。
3. 医療体制の充実
3点目に、医療体制の充実についてであります。
国保診療所の診療体制につきましては、医師の働き方を見直し、将来にわたり、安定した医療を提供できるよう令和7年度から土曜日を休診とすることといたしました。地域住民の皆さんには、ご不便をおかけしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします。
また、浜田准看護学校につきましては、学校存続のための支援策を、設置者である浜田市医師会に対し提示してまいりましたが、残念ながら令和7年度以降の学生募集の再開は難しいと判断されました。
本市にとって、看護職は必要な人材であると認識しておりますので、引き続き浜田市医師会としっかり連携を図り、有効な看護人材確保対策を講じてまいります。
4. その他
その他、健康寿命の延伸を目指し、生活習慣病予防、食育、心の健康づくりを推進してまいります。
3 夢を持ち郷土を愛する人を育むまち
大綱の3つ目「夢を持ち郷土を愛する人を育むまち」につきましては、教育環境の整備について申し上げます。
1. 教育環境の整備
子どもたちに安全で安心な環境で学んでもらうため、引き続き学校施設の整備に力を入れてまいります。
令和3年度から拡充した学校施設の改修事業費を維持するとともに、令和7年度から小中学校の特別教室にも順次エアコンを増設いたします。
美川小学校の建替えにつきましては、新校舎の建設に取り掛かります。
スポーツ施設につきましては、サン・ビレッジ浜田アイススケート場の具体的な活用基本計画の策定に取り組むとともに、2030年の国民スポーツ大会の開催に向け、競技会場の整備に取り組んでまいります。
2. その他
その他、令和7年8月には、全国高等学校総合体育大会体操競技大会が本市で開催されます。全国各地から集まる選手やスタッフ、保護者の皆さんをはじめ、運営に携わる地元高校生など、多くの方の記憶に残る大会となるよう取り組んでまいります。
以上、教育について、重点的な取組を述べましたが、教育方針につきましては、後ほど教育長から申し述べます。
※ 教育方針は、後ろに掲載しています。
4 自然環境を守り活かすまち
大綱の4つ目「自然環境を守り活かすまち」につきましては、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
1. カーボンニュートラルの推進
国の目標に合わせて令和6年1月に改定した「浜田市地球温暖化対策実行計画」に基づき、具体的な施策を実行してまいります。
令和7年度は、ガスから電気とお湯をつくるエネファームの導入に対する補助金の新設や、再エネ設備を導入する若者への補助金予算の拡充を行うとともに、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーで発電された電力を市内の公共施設に順次導入してまいります。
また、テラチャージ株式会社との包括連携協定に基づき、引き続き市内の公共施設へのEV 充電器の設置を進めてまいります。
2. その他
その他、循環型社会の構築に向け、引き続きリサイクルやリユースといった4R運動や分別の推進に取り組み、ごみの減量化・資源化に努めてまいります。
なお、令和7年度は、各支所に設置したリサイクルステーションの移設・更新を予定しており、市民の皆さんの利便性向上を図りながら、リサイクルを推進してまいります。
5 生活基盤が整った快適に暮らせるまち
大綱の5つ目「生活基盤が整った快適に暮らせるまち」につきましては、4点について申し上げます。
1. 道路整備
1点目は、道路整備についてであります。
国道や県道につきましては、長年の要望活動が実を結び、整備が進んでおります。山陰道は、三隅益田道路が令和7年度中に開通予定であります。また、4車線化事業が進められている浜田道では、令和7年度からトンネル工事1か所、橋梁下部工事3か所が予定されております。早期完成に向け、引き続き国やNEXCO西日本に要望してまいります。
市道等の機能維持と安全面の対策につきましては、令和6年度に増額補正を行いましたが、令和7年度も同規模の予算を増額し取り組んでまいります。特に、通学路の安全対策は、令和2年度から取り組んでおりますが、令和7年度から更に3年間、事業を延長して整備を進めてまいります。
市道の整備につきましては、社会資本整備総合交付金などを活用し、費用対効果の高い道路整備に取り組んでまいります。
道路の落石対策等につきましては、市道及び農道、林道で約110か所ある要対策箇所のうち、緊急度の高い約30か所について、令和7年度から2か年で応急対策を行ってまいります。
2. 地域情報化と自治体DX の推進
2点目に、地域情報化と自治体DX の推進についてであります。
本市では、令和2年度から高速情報通信基盤の整備に向けてケーブルテレビ回線の光化工事に取り組み、通信速度の地域格差の解消に努めてまいりました。現在、宅内への引き込み工事を実施しており、令和6年度中に概ね完了する見込みです。今後は、この高速情報通信基盤を活用し、防災情報伝達手段を強化するとともに、ケーブルテレビやSNS を活用した行政情報等の発信の充実に努めてまいります。
自治体DX につきましては、住民サービスの向上、行政の効率化の観点から喫緊の課題であります。令和7年度は、新たにDX推進課を設置し、体制を強化するとともに、スマートフォンのアプリを活用した行政手続きの検討や、全庁的な事務の効率化、情報システムの標準化などに注力してまいります。
なお、現在、試験的導入を行っております本庁窓口と支所窓口をオンラインでつなぎ、本庁職員がモニター越しに対応する「オンライン窓口」と、手数料などの「キャッシュレス決済」につきましては、令和7年度中の本格導入を目指してまいります。
3. 上下水道事業
3点目に、上下水道事業についてであります。
上水道の基幹管路の耐震化につきましては、引き続き長浜地区及び波佐地区での工事を進め、新たに周布地区及び国府地区に配水する管路の工事にも着手いたします。
下水道事業につきましては、令和8年度の供用開始を目指し浜田処理区の整備に取り組んでおります。令和7年度は、処理場の建設工事を本格化するとともに、市役所を含む殿町一帯と、浜田駅前周辺の管路工事に取り組んでまいります。
4. 公共交通の充実
4点目の、公共交通の充実につきましては、令和6年2月に策定しました「浜田市地域公共交通計画」に基づき、引き続き、効果的で利便性の高い交通施策に取り組んでまいります。
好評をいただいております「あいのりタクシー等運行支援事業」、「敬老福祉乗車券交付事業」を継続して実施するとともに、これらの事業を含め、高齢者等の皆さんが利用しやすいよう交通施策の改善を図ってまいります。
また、民間のバス路線の廃止や、タクシー事業の縮小が行われており、大きな原因の一つが乗務員の不足であります。市といたしましても、地域公共交通の維持・確保のために、「交通事業者乗務員確保支援事業」を新たに実施してまいります。
6 安全で安心して暮らせるまち
大綱の6つ目「安全で安心して暮らせるまち」につきましては、3点について申し上げます。
1. 周布橋の架け替え工事
1点目は、周布橋の架け替え工事についてであります。
令和3年8月豪雨で被災した周布橋につきましては、被災橋梁の撤去や新しい橋梁の下部工事を進めてまいりました。昨年11月の大雨の影響等により工程が遅れましたが、令和8年3月の供用開始に向けて引き続き工事を進めてまいります。
2. 米軍機騒音問題
2点目の米軍機騒音問題につきましては、島根県や県内関係市町に加えて、広島県側の自治体とも協力して、外務省・防衛省に飛行訓練の中止及び対策強化の申入れを行ってまいります。
3. 地域における消防力の充実
3点目に、地域における消防力の充実についてであります。
消火訓練につきましては、消火器の取扱い方法だけでなく、住宅用火災警報器の設置や点検の重要性、防炎製品の有効性を伝え、火災から身を守る方法を習得していただけるよう取り組んでまいります。
また、応急手当の普及につきましては、市民の皆さんが計画する講習会や各種イベントに積極的に参加し、啓発活動を行い、より身近に感じていただけるよう努めてまいります。
7 協働による持続可能なまち
大綱の7つ目、「協働による持続可能なまち」につきましては、4点について申し上げます。
1. まちなか交流プラザの活用
1点目は、「まちなか交流プラザ」の活用についてであります。
開館後1年半が経過し、高校生や大学生などの若者を中心に多くの市民に利用いただいております。
中間支援組織「はまだ協働学舎ファンタス」を中心に、浜田商工会議所や石央商工会とともに、市内企業と学生が交流する場を設け、地域と学生がつながる機会を創出いたしました。
また、「はまだ未来アトリエ」として、島根県立大学浜田キャンパスのゼミ活動や市民講座のほか、出雲キャンパスの市民講座にも活用いただき、大学と地域がつながる機会も増えております。
引き続き、各機関と連携し、若者から高齢者まで世代を超えた多様な市民の交流の場となるよう、取り組んでまいります。
2. (仮称)長沢サブセンターの整備
2点目の「石見まちづくりセンター(仮称)長沢サブセンター」の整備につきましては、令和6年度に設計業務が完了するとともに、一部外構工事に着手いたしました。
令和7年度には建設工事に着手し、令和8年度の利用開始に向け準備を進めてまいります。
3. 島根県立大学との連携
3点目は、島根県立大学との連携についてであります。
令和3年度の学部再編から4年が経過しました。新たに設置された学部においても、4年生までの学生がそろい、これまで以上に地域やまちづくり活動団体との交流、本市の課題解決に向けた共同研究事業などに取り組んでいただいております。また、浜田探索ツアーなどの取組を引き続き実施するとともに、令和7年度からは、学生の地域活動参加の一助となるよう、新たに学生と地域をつなぐ交通支援事業を予定しております。
4. 人権尊重のまちづくり
4点目の人権尊重のまちづくりにつきましては、「浜田市人権教育・啓発推進基本計画」に基づき、一人ひとりの生き方や考え方を認め合い、尊重される社会の実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。
また、令和5年度に制定しました「浜田市人権を尊重するまちづくり条例」の基本理念を普及し、市民の皆さんや事業者の皆さんとともに人権尊重のまちづくりを推進してまいります。
5. その他
その他、男女共同参画の推進に関しては、「浜田市男女共同参画推進計画」に基づき、男女共同参画社会の実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。
また、定住の促進に関しては、引き続き、きめ細やかな相談対応や、空き家の有効活用のほか、地域と多様に関わる関係人口との連携を図ってまいります。
以上、7つの「まちづくりの大綱」に沿って、令和7年度に取り組む施策を中心に説明いたしました。
各地域で力を入れること
次に、地域ごとに、令和7年度に最も力を入れる施策について申し上げます。
1. 金城地域
金城地域におきましては、美又温泉が温泉総選挙2023、2024で部門第1位を獲得し2連覇を達成いたしました。令和7年度は、令和5年度から計画を進めてまいりました「外湯を兼ねた日帰り入浴施設」の建設工事に着手いたします。学術的にも医学的にも大変高い評価をいただいている、美又温泉の泉質の良さを最大限に生かした魅力ある施設となるよう進めてまいります。
2. 旭地域
旭地域では、山ノ内梨園の利活用に取り組んでまいります。
山ノ内梨園の空き圃場につきましては、「有機野菜」の露地栽培に向けて参入を検討する企業等との調整を進めております。一方、市の振興作物である「大粒ぶどう」についても、圃場の利活用策の一つと考え、関係者と連携し取り組んでまいります。
新たな「大粒ぶどう」就農者については、山ノ内梨園新規就農モデルを設けて、技術の習得や就農計画の策定などを支援し、認定農業者となりうる担い手の育成に取り組んでまいります。また、赤梨生産者の担い手確保と事業継承支援などに、並行して取り組んでまいります。
令和6 年4 月から休止中の「地域交流プラザまんてん」につきましては、施設の最適なあり方を検討し、運営を担う事業者を探すなど、再開に向けて取り組んでまいります。
3. 弥栄地域
弥栄地域では、ふるさと体験村の持続可能な運営に向け、引き続き指定管理者と連携した取組を進めてまいります。令和6年度は、地元団体と連携した「農業体験プログラム」や「有機農産物を利用したランチメニュー」等の開発及び実施に取り組みましたが、宿泊者数の増加につながっていないことが課題となっております。
令和7年度は、宿泊者にとって魅力のある「どぶろく」の提供、自然環境を生かした散策コースや子どもの遊び場の設置など、宿泊者数の増加に向けた取組を指定管理者と一緒に進めてまいります。
新たな取組としましては、弥栄地域に設立された「特定地域づくり事業協同組合」に対する支援を行い、有機農業を核とした労働者派遣事業を進めてまいります。この取組により、雇用の確保や人材育成を行うことで、地域の課題である担い手不足の解消に取り組み、更なる有機農業の推進と地域産業の活性化を図ってまいります。
4. 三隅地域
三隅地域では、石州和紙の振興に取り組んでまいります。ユネスコ無形文化遺産の「石州半紙」に代表される石州和紙は、国の伝統的工芸品でもあり、石見神楽の面や蛇胴等にも使用されております。
昨年はユネスコ無形文化遺産登録10周年を迎え、8月には三隅中央会館で「石州紙まつり」が行われ、12月には京都市の二条城で記念式典が開催されました。
これを契機として、更なる手漉き和紙技術の伝承と和紙の利用拡大につなげるため、和紙技術者を養成する研修制度の拡充と、和紙の利活用・販路拡大に向けた支援策について、検討を進めてまいります。
令和7年度予算
次に、令和7年度予算(案)についてであります。
ハード面では、周布橋及び谷口橋の架け替えや次期防災情報システムの整備などのインフラ整備をはじめ、小中学校特別教室へのエアコン整備や美又地域の外湯整備を引き続き行います。また、美川小学校建設工事の本格実施に加え、新たに橋梁の耐震化事業や道路の落石応急対策工事に着手いたします。
ソフト面では、子ども医療費助成制度や草刈報償費制度の拡充、学生と地域をつなぐ交通支援や、自治体DXの推進などに取り組んでまいります。
こうしたことから、一般会計の予算規模は433億2,000万円、令和6年度当初予算と比較した場合、次期防災情報システム整備事業や美又地域再開発事業などの投資的経費の大幅増に伴い、金額で41億7,732万5千円の増、率にして10.7% の増となります。
また、引き続き財政健全化にも取り組んでまいります。令和7年度も、約8億円の繰り上げ償還を予定しており、実質公債費比率、将来負担比率の県内トップクラスを堅持する計画であります。
最後に
以上、令和7年度の施策について申し上げました。
本年10月には、新浜田市が誕生して20周年を迎えます。この節目に当たり、20周年記念式典のほか、浜っ子夏まつりに併せて計画しております「大盆踊り大会」など記念事業を通して、市民の皆さんと祝うとともに、様々な世代の市民同士の交流や、未来へ向けた新たな出発の機会としたいと思います。
令和7年度は、私にとりましても、本任期最終年度であります。「元気な浜田」を実現するための各種施策の仕上げに取り組み、市民の皆さんに、浜田市に「住んでよかった」と実感していただけるよう、強い決意を持って取り組んでまいります。
議員各位におかれましても、一層のご理解、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
令和7年度教育方針
私は、市長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、令和7年度の教育方針を申し述べ、皆さまのご理解をいただきたいと思います。
教育方針を表明する岡田泰宏 教育長
はじめに
今年度、島根県教育委員会では、教育振興の最上位計画となる「次期しまね教育魅力化ビジョン」の策定に取り組まれています。県と市町村は同じ方向感を持つことが重要なため、計画策定の意見聴取にあたり、私は本市の教育の方向性と重ね合わせながら5つの視点で意見を述べました。
1点目に「ふるさと教育を原点にひとづくりを目指す」理念の継承、2点目に「こども基本法」の理念に沿った教育観の反映、3点目に「地域の子どもは地域で育む」という考え方のさらなる浸透、4点目に教育DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、そして5点目にスピード感を持った教職員の働き方改革の推進であります。
特に、2点目に触れた「こども基本法」の基本理念には、「全ての子どもが個人として尊重され、基本的人権が保障されること」、「子どもが自らのことに直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会や、多様な社会活動に参加する機会が確保されること」などが定められています。
社会的弱者である子どもの人権を考えることは、様々な偏見や差別について考える機会にもなりますので、今後の人権教育や人権啓発に生かしていきたいと考えています。
本市は、改めてそれら5点の視点を念頭に、また、子どもの将来像については、「何を知っているか」ということ以上に「何ができるようになるか」という視点を大切にして教育行政を推進してまいります。
さて、令和7年度は、いよいよコミュニティ・スクールがスタートします。コミュニティ・スクールとは学校運営協議会を設置した学校のことで、「地域とともにある学校」、「学校を核とした地域づくり」を進めるための有効な仕組みであります。
学校と地域がそれぞれの役割を尊重しながら、子どもについて語り合い、熟議して、具体的な実践活動につなげていきたいと考えています。
学校と地域の協働活動がより深まっていくことは、「社会教育」や「ふるさと教育」の充実にも通じるので、児童生徒の声を聴きながら、特に、子どもの社会参加力を高められるような活動に結び付けながら、子どもたちの郷土愛を育んでまいります。
また、大人が子どもの体験活動に関わることは、大人の学びにも通じていきます。本市がこれまで培ってきた「地域学校協働活動」や「はまだっ子共育推進事業」などの土台を大切にしながら、コミュニティ・スクールの質が向上していくように努めてまいります。
スポーツについては、2030年の第84回国民スポーツ大会・第29回全国障害者スポーツ大会の開催に向けて会場整備計画の策定に取り組むとともに、市民の皆さんが日々のスポーツ・レクリエーション活動に取り組みやすい環境づくりを進めてまいります。
文化行政については、「文化財保存活用地域計画」の実効元年となります。本市の重要な伝統芸能である石見神楽の保存・伝承に向けても総合的で具体的な施策を展開していく考えです。
以上のことを踏まえ、今年度、特に力を入れたい具体的な施策を教育振興計画の5つの柱ごとに申し述べます。
1. 学校教育の充実
はじめに、「学校教育の充実」についてであります。
学力育成対策については、児童生徒自ら学びに向かう力を育てることが大切なことから、指導主事による学校訪問などを通じて「子どもの声でつくる授業づくり」を進めてまいりました。
今後も、「国語教育を要としつつ、理数教育の充実に努める」という考え方のもとに、引き続き「協調学習」、「図書館活用教育」、「要約学習」に取り組むとともに、小中学校の算数・数学の授業改善に力を入れてまいります。
また、令和6年度は、理科教育設備整備費補助金を活用して小学校の備品等を整備しましたが、令和7年度は中学校の備品等を整備いたします。
授業改善にはICT機器の活用は欠かせません。紙とデジタルの教材を有効に組み合わせて授業の質を一層高められるように、教員の研修や好事例の紹介などに取り組みたいと考えています。
さらに教育DXの推進にも繋がるAIドリルを導入いたします。これは児童生徒一人一人の理解度に応じて適正な難易度の問題を出題するドリルなので、学校や家庭で繰り返し活用することで「個別最適な学び」に通じていくことを期待しています。
また、教職員の働き方改革にも関連する「部活動の地域移行・地域展開」については、中学生の意見や島根県の方針を踏まえて、本市における方針を策定してまいります。
部活動の地域移行・地域展開は、中学生の部活動を地域が支えるだけでなく、協力団体の後継者育成にもつながる双方向の取組にもなりますので、関係者のご理解とご協力をお願いします。
学校施設の整備については、老朽化した施設の改修を集中的に行い、子どもたちが安全かつ安心して学べる教育環境の改善に取り組みます。
特に、近年の猛暑により、特別教室にもエアコン設置の必要性が高まっていることから、令和7年度に中学校の音楽室から開始し、令和10年度までに各小中学校の理科室や家庭科室など3教室程度の特別教室にエアコンを設置していきたいと考えています。
美川小学校の建替えについては、令和9年度の開校に向け、旧第四中学校の解体を完了するとともに新校舎の建設工事を開始します。
一方で、今後、児童生徒数は大きく減少していく見込みなので、子どもたちにとってより良い教育環境を求めて、スピード感を持って、小中学校の適正配置の検討を進めてまいります。
不登校傾向及び不登校児童生徒への対応については、令和6年度より試行的に「校内フリースクール」を2校に設置し、支援員の配置や環境整備を進めてまいりました。
令和7年度も引き続き支援を行うとともに、学校や教室に入りにくい児童生徒が安心して過ごせる居場所を整えてまいります。
学校給食については、令和5年度に学校給食費を見直しましたが、保護者の負担を軽減するために激変緩和措置を行いました。令和7年度についても国の臨時交付金を活用し、激変緩和措置の継続と価格高騰が続くコメの購入補助を行います。
なお、前回の学校給食審議会の答申に基づき、令和7年度には、令和8年度からの学校給食費の改定についても検討を始めます。
また、学校給食における有機農産物の利用について、全国で有機農産物の利用促進の取組が行われています。
本市も地元農家や関係機関とも連携しながら、引き続き有機農産物の利用に取り組んでまいります。
幼児教育の充実については、乳幼児期は、遊びこむことが重要な学習であり、そのためには、子どもの興味・関心に即した環境に出会わせることが必要と考えています。
こうした考え方がさらに浸透していくように、浜田市幼児教育センターや幼児通級教室の機能を活かしながら、各幼児教育施設や関係機関とともに幼保連携、幼小連携を進めてまいります。
高等学校の魅力化に向けては、HAMADA教育魅力化コンソーシアムの活動を通じて、高校生の地域活動を支援してまいりました。また、市内の高校3校合同による地元中学校への進学説明会も開催してきました。
高校生の地域貢献活動の充実は、進路決定の際の大きな経験となり、その活動の見える化は、中学生の進学意識の向上にも繋がります。高校の定員や教員数を確保し高校の教育力を維持することは、高校生のみならず小・中学生にとっても重要になりますので、引き続き市内の高校への地元進学率向上を目指して取り組んでまいります。
2. 家庭教育支援の推進
次に「家庭教育支援の推進」についてであります。
家庭教育支援については、引き続き、各まちづくりセンターで実施している親子を対象とした体験活動や「浜田親子共育応援プログラム(HOOP!)」により、親自身の学び、親同士の関係づくり、親子の絆づくりが深まるよう取り組んでまいります。
また、家読(家庭読書)は早い時期からの本との出会いの場となります。本を通じた触れ合いで家族の絆が深まり、好奇心や創造力などの子どもたちの豊かな心が育まれ、社会への適応性向上にも繋がっていきます。
家読を推進するため、子どもたちの成長過程や各家庭の状況に応じた様々な場面において、読書に親しむ環境づくりや情報提供に関係機関と連携して取り組んでまいります。
また、小中学生については、1人1台端末を家庭に持ち帰り、各家庭でもAIドリルを活用できるようにすることで、家庭学習の充実を図ります。
AIドリルは、不登校傾向の児童生徒にとっても、自分の理解度に合わせた演習に取り組むことができるので、活用してもらうように働きかけて家庭学習を支援したいと考えています。
引きこもりの子どもや若者の社会参加・自立支援については、各関係機関と連携を図りながら、本人や家族の困り感を丁寧に聴くことに重点を置いた相談対応、自宅から外へ出て気軽に立ち寄れる居場所の確保、いろいろな体験教室の充実などを行ってまいります。
3. 社会教育の推進
次に「社会教育の推進」についてであります。
社会教育を推進する拠点であるまちづくりセンターを中心に、持続可能な地域づくりに積極的に参画する人づくりを進めるとともに、地域のまちづくり団体と連携した実践活動が進むよう取り組んでまいります。
また、令和7年度に小中学校に設置する学校運営協議会と連携・協働し、「地域の子どもは地域で育む」の考えのもと、目指す子ども像や地域のビジョンを共有しながら、「学校・子どもを核とした人づくり・地域づくり」を進めてまいります。
「図書館」については、「第3次浜田市子ども読書活動推進計画」の目標達成に向け、さらに家庭、地域、学校等と連携した取組を進めるほか、ふるさと応援基金を活用し児童クラブ等への貸出サービスを拡充し、読書環境の充実を図ります。また、引き続き郷土資料等の整理に取り組み、整理が進んだものから公開してまいります。
4. 生涯スポーツの振興
次に、「生涯スポーツの振興」についてであります。
本年8月2日から5日まで、全国高等学校総合体育大会体操競技が島根県立体育館を主会場に開催されます。昨年のパリオリンピックにおいても日本チームがメダルを獲得した競技ですので、多くの方の来場が見込まれます。暑さ対策などを徹底し、全国各地から集まる選手やスタッフ、保護者の皆さんにとって満足いただける大会となるよう、地元高校生をはじめ関係の皆さんと一丸となって、運営してまいります。
また、2030年の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催に向け関係団体と連携を深めるとともに、近年大会を開催された自治体の運営等を参考にしながら、円滑な大会運営ができるよう準備を進めてまいります。
スポーツ施設の整備については、浜田市野球場トイレの洋式化など、老朽化した施設の改修を行い、利用者にとって安全で快適な環境づくりに努めてまいります。
サン・ビレッジ浜田アイススケート場については、屋内人工芝施設、または体育館施設として機能を転用し、より多くの若者や子育て世代に利用される施設として活用を図ります。令和7年度には基本計画を策定し、施設の具体的な活用方針について検討を進めてまいります。
また、国民スポーツ大会の開催に向けて、必要な施設整備を行うために、軟式野球の競技会場となる浜田市野球場、三隅中央公園市民野球場、サッカー競技会場となる浜田市陸上競技場、サン・ビレッジ浜田スポーツ広場、三隅中央公園市民陸上競技場を対象とした競技会場整備基本計画の策定に引き続き取り組みます。
5. 歴史文化の伝承と創造
次に、「歴史文化の伝承と創造」についてであります。
芸術文化の振興については、引き続き市内の二つの美術館や文化ホールを活用して、市民の皆さんが芸術文化に触れる機会を提供してまいります。また、浜田市文化協会や芸術文化団体など市民が主体となった活動を支援してまいります。
芸術文化活動は心を豊かにし、余暇の充実にも通じる活動です。子どもたちがそうした活動に関わっていくことで創造性も育まれていきます。学校だけでなく各団体でも子どもたちが芸術文化に触れる機会を提供していただくことは、芸術文化団体の担い手育成にも通じていくものと考えています。
なお、令和7年度は浜田市名誉市民である故山﨑修二画伯のご遺族より寄贈された貴重な絵画の中から、浜田にゆかりの深い作品を中心に企画展を開催し、画伯を広く紹介するとともに功績を顕彰することとしています。
芸術文化施設の整備については、老朽化した施設の改修を進めるため、石央文化ホールの外壁改修工事及び屋上防水工事に取り組みます。
石見神楽の保存・伝承については、石見神楽伝承内容検討専門委員会からの提言を踏まえ、まずは面や衣裳など石見神楽を支えるものづくり技術の文化財指定に向けた調査、市内に散逸している歴史的な石見神楽用具や関係資料の調査、石見神楽の歴史整理に取り組みます。
また、石見神楽保存・伝承拠点については、検討委員会を設置し、拠点の機能や展示活用方法の検討を行います。
浜田郷土資料館の建替えも喫緊の課題であり、教育委員会としては世界こども美術館との複合化案を検討してきましたが、石見神楽保存・伝承拠点との親和性も高いことから、この拠点との複合化や併設について、市長部局と連携を取りながら検討を進めてまいります。
最後に
以上、令和7年度の教育方針について申し述べました。
教育委員会は、これらの方針、施策を実現していくために、市長部局との連携を密にして、学校や家庭、地域の理解と協力を得て取り組んでまいります。
議員並びに市民の皆さんの、一層のご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
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