令和6年度教育方針
私は、市長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、令和6年度の教育方針を申し述べ、皆さまのご理解をいただきたいと思います。
はじめに
昨年4月、こども家庭庁の創設と同時にこども基本法が施行されました。子どもを真ん中において、子どもの人権を大切にして、健やかな育ちを社会全体で支えようという理念が明確になりました。
私たち大人は、「子育て」ではなく、「子育ち」という子ども主体の成長に大人が伴走していく意識改革を進めながら、学校・家庭・地域の教育力を結集していくことが大切と考えています。
「地域の子どもは地域で育てる」という考え方のもとに、学校は保護者や地域としっかりつながって思いを共有していきます。さらには、学校が介さずとも、地域と子ども、地域と家庭がつながりあって、子どもたちが様々な体験ができるような仕組みを作っていきたいと考えています。
学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる仕組みのひとつとして、令和7年度からの小中学校のコミュニティスクール化を目指してまいります。
学校と地域の協働活動がより深まっていくことは、島根の教育の柱である「ふるさと教育」の充実にも通じていきます。本市は、これからもふるさと教育の理念を大切にして、子どもたちの郷土愛を育んでまいります。
また、児童生徒が安心して通える学校となるよう、音楽室を中心にしたエアコンの設置や、不登校児童生徒がほっとできる居場所の校内設置など、教育環境の整備にも取り組みます。
さらには、急激に少子化が進む中で、児童生徒にとってより良い教育環境を求めて、将来的な小中学校の適正配置に向けた検討も始めなければならないと考えています。
一方で、教職員は本当に多忙で教員不足も深刻な問題です。昨年12月に、島根県と県内市町村の教育長が連名で、教職員の働き方改革に関する共同メッセージを公表いたしました。教員が授業改善や生徒指導に関わる時間を生み出すためにも、また、教員を目指す若者を増やしていくためにも、教職員の働き方改革に全力で取り組みますので、保護者や地域の皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。
さらに、社会的弱者である子どもの人権に目を向けることは、すべての人権意識の向上にもつながるものと考えます。子どもの人権をキーワードにして、様々な偏見や差別のない社会を目指して、人権教育や人権啓発に取り組んでまいります。
また、学校では、「お互いを大切にし、相手の気持ちを考えて、人が嫌がることは絶対にしません、言いません」という意識の浸透を図り、いじめのない学校づくりを目指してまいります。
さて、本市は、令和7年のインターハイの体操競技大会や、令和12年の国民スポーツ大会島根県大会の複数の競技会場となります。こうした大会に向けて、競技力の向上にあわせてスポーツ振興を図りたいと考えています。
また、石州半紙、石見神楽、北前船寄港地の3つの国の文化財や文化遺産を有する希少な自治体として、これらの保存と活用に努めるとともに、文化芸術活動のさらなる充実を図ってまいります。
このため、老朽化している文化・スポーツ施設の整備にも取り組みます。
以上のことを踏まえ、幼児教育、学校教育、社会教育とつながる生涯学習全般の中で、今年度、特に力を入れたい具体的な施策を教育振興計画の5つの柱ごとに申し述べます。
1. 学校教育の充実
まず、「学校教育の充実」についてであります。
学力育成対策は、児童生徒自らが学びに向かう力の育成を図りながら、国語教育を要としつつ、理数教育の充実にも努めてまいります。
具体的には、「協調学習」や「図書館活用教育」を柱としつつ、読解力育成のための「要約学習」にも取り組みます。理数教育については、小中学校の算数・数学の研究校を増やすとともに、理科教育設備整備費補助金を活用して小学校備品等を整備し、引き続き外部講師による小学校科学教室を開催いたします。
併せて、ICT機器を活用した授業についても、研修機会の確保や授業改善の取組を広げるなど、授業の質を一層高めてまいります。
さらに、指導主事等の学校訪問により、組織的な授業改善や校内研修を支援するとともに、授業構想段階から現場の教員と一緒になって「子どもの声でつくる授業」を推進してまいります。
教職員の働き方改革への支援として、近隣自治体と共同で導入した校務支援システムを本格稼働いたします。
また、部活動の地域移行については、子どもたちの声も大切にしながら、複数の学校による合同部活動や顧問に代わって指導ができる「部活動指導員」の拡充などに取り組み、部活動顧問の負担軽減を図ってまいります。
併せて、学校と地域の連携・協働を更に推進していくため、コミュニティスクールの具体的な仕組みや体制の検討を進め、保護者や地域住民等が学校運営に必要な支援について協議する場である「学校運営協議会」の令和7年度の設置を目指したいと考えています。
特別支援教育については、一人一人の実態や特性を丁寧に把握し、持てる力を充分に発揮できるよう、教員等の資質向上のため、関係機関との連携や、相談体制の充実などに努めてまいります。
不登校傾向及び不登校児童生徒への対応については、不登校児童生徒が増加する中、文部科学省では「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLO(ココロ)プラン)をとりまとめられました。
本市においても、試行的に「校内フリースクール教室」を設置し、学校や教室に入りにくい児童生徒が安心して過ごせる居場所を整え、自分のペースで学びが進められるよう支援を行ってまいります。
児童生徒の学校給食については、令和5年度に学校給食費を値上げしましたが、保護者の負担を軽減するために激変緩和措置を行いました。令和6年度についても激変緩和措置を実施いたします。
また、学校給食における地元有機農産物の利用についても、地元農家や関係機関とも連携しながら取り組んでまいります。
小中学校の適正配置については、令和5年度末に雲雀丘小学校と第四中学校の2校が閉校となり、それぞれ原井小学校と第三中学校へ統合となります。
閉校となる学校の児童生徒が安全に統合先の学校へ通学できるよう、保護者や地域の協力を得ながら、新たにスクールバスを運行いたします。
また、石見交通「有福線」が令和5年度末で廃止になりますので、利用している浜田東中学校の生徒の通学手段を確保するため、スクールバスを運行いたします。
美川小学校の建替えについては、令和7年度の工事着工に向け、学校・保護者・地域の皆さんとよく話し合い、地域に開かれた学校の実施設計を円滑に進めてまいります。
学校施設の整備については、老朽化した施設の改修を進め、施設の長寿命化を図るとともに、子どもたちが安全かつ安心して学べる教育環境の改善に取り組みます。
また、旭地域で米軍機等の飛行訓練による騒音被害が発生しており、生徒の学習にも支障が出ていることから、旭中学校の防音工事に向けて、国と調整してまいります。
併せて、小中学校の暑さ対策として特別教室へのエアコン設置に取り組み、まずは学校から要望の多かった音楽室を中心に設計を行います。
高等学校については、HAMADA教育魅力化コンソーシアムの活動を通じて、学校と地域が連携した教育活動や高校生が主体的に行う地域活動を支援してまいります。
具体的には、高校生と地域団体等をつなぐ「地域協働活動マッチングシステム」の活用や、高校生が主体的に探究活動を行う「地域系部活動」の取組などを通じて、人づくりと地域活性化の好循環につなげたいと考えています。
一方で、市内県立高校3校は、少子化等の影響で定員確保に苦慮する状況が続いており、このままでは学級数の減少や学校統合が進み、地域の教育力の低下が危惧されます。
このため、市内県立高校3校の定員維持に向けて、県立高校3校の男子共同寄宿舎を整備・運営してまいります。
幼児教育の充実については、昨年4月に開設した浜田市幼児教育センター及び幼児通級教室といった新たな機能が軌道に乗るよう取り組みます。
また、浜田幼稚園では、新たに夏季休業期間中の預かり保育を実施し、サービスの充実に努めてまいります。
2. 家庭教育支援の推進
次に「家庭教育支援の推進」についてであります。
家庭教育支援については、乳幼児の子を持つ親の学びの場や親同士の交流機会の提供等を目的とした「浜田親子共育応援プログラム(HOOP!)」や、各まちづくりセンターを中心に行っている親子を対象とした体験活動などを通して、地域ぐるみで家庭教育を支援する環境づくりに努めてまいりました。
引き続き、これらの事業を活用し、親自身の学びに加え、親同士の関係づくりや親子の絆づくり、地域全体での家庭教育支援が進むよう取り組みます。
引きこもりの子どもや若者の社会参加・自立支援については、青少年サポートセンターや各関係機関と連携を図りながら、本人や家族の困り感を丁寧に聴くことに重点を置いた相談対応、居場所の確保、いろいろな体験教室の充実などを行ってまいります。
3. 社会教育の推進
次に「社会教育の推進」についてであります。
まちづくりセンターを拠点に、社会教育を基盤とした人づくり、まちづくりを推進するため、地域のまちづくり団体と連携した実践活動が進むよう取り組むとともに、センター職員のスキルアップのため、社会教育士の取得を進めます。
また、「はまだっ子共育推進事業」については、引き続き学校と地域が目指す子ども像や地域のビジョン等を共有しながら、地域を担う人づくりに取り組みます。
この取組を進めるためには、学校と地域が一体となってお互いの役割を認識し、共通の目標に向かい対等な立場で活動することが必要です。
そのため、「はまだっ子共育推進事業」を推進する体制について、小中学校に設置する予定の学校運営協議会との連携・協働のあり方を検討します。
「図書館」については、「第3次浜田市子ども読書活動推進計画」に基づき家庭、地域、学校等と連携した取組を進めるほか、ふるさと応援基金を活用し子育て世代や若者向けの蔵書を拡充するなど、読書環境の充実に努めるとともに、郷土資料等の整理を進め、公開に向けて準備してまいります。
4. 生涯スポーツの振興
次に、「生涯スポーツの振興」についてであります。
令和7年のインターハイにおいて、本市は体操競技の開催地に選定されています。開催前年となる本年は、実行委員会を設立し、全国から集まる選手等多くの方に満足いただける大会となるよう準備を進めてまいります。
また、令和12年には、第84回国民スポーツ大会が島根県を会場に開催される予定で、本市は6競技の会場に選定されています。今後、浜田市体育協会や各競技団体と連携を深め、選手や指導者の育成及び競技の普及、そして円滑な運営ができるよう準備を進めてまいります。
スポーツ施設の整備については、老朽化した施設の改修を順次進めてまいります。特に、旭公園市民体育館の屋根改修、ラ・ペアーレ浜田の外壁保護工事、今福スポーツ広場グラウンドゴルフ場の休憩所・屋外トイレの設置、浜田市陸上競技場の写真判定装置の更新を行い、安全で快適に競技できるよう整備いたします。
また、「浜田市スポーツ施設再配置・整備計画」に基づき、スポーツ施設のあり方について整理・検討を行います。
特に、サン・ビレッジ浜田のアイススケート場については、利用者アンケートや外部委託による調査結果を踏まえ、1年を通じて多様なスポーツ種目・レクリエーションなどに対応できる屋内人工芝施設もしくは体育館施設として機能転用を図りたいと考えています。
今後、若者や子育て世代を中心により多くの方が利用できる施設となるよう、具体的な活用方法及び施設整備について検討を進めてまいります。
5. 歴史文化の伝承と創造
次に、「歴史文化の伝承と創造」についてであります。
芸術文化の振興については、引き続き、市内の二つの美術館や石央文化ホールを活用して、市民の皆さんが芸術文化に触れる機会を提供するとともに、子どもたちの創造性を育む活動に取り組みます。
学校においても、音楽家を招いたスクールコンサートを開催するなど、子どもたちが芸術文化に触れる機会を提供いたします。
また、浜田市文化協会など市民が主体となった文化活動を支援してまいります。
なお、令和6年度は、浜田市名誉市民である故橋本明治画伯の生誕120周年記念展を開催するほか、故山﨑修二画伯の御遺族から寄贈される予定の貴重な絵画について、適切な環境での収蔵を行います。
芸術文化施設の整備については、老朽化した施設の改修を進めるため、石央文化ホールの外壁調査業務に取り組みます。
文化財については、地域における様々な文化財の保存活用を計画的に促進するため、令和4年度から取り組んできた浜田市文化財保存活用地域計画を策定いたします。
また、昨年7月には石見神楽蛇胴製作技術を市の無形文化財に指定しましたが、引き続き、面や衣装など石見神楽を支える伝統技術の文化財指定に向けた調査に取り組みます。
併せて、市誌編纂についても、専門家の意見を伺いながら、基本計画の策定に向けて取り組んでまいります。
浜田郷土資料館の建替えについては、整備費や運営費の縮減と相乗効果を考えて、他の施設との複合化や併設を基本に検討を進めております。
今後は、保有している郷土資料の整理も行いながら、「地域の博物館」として活用してもらえる施設を目指してまいります。
なお、展示方法や活用方法などについては、これまで専門検討委員会でまとめていただいた内容を踏まえつつ、石見神楽伝承施設との関係性についても整理したいと考えております。
最後に
以上、令和6年度の教育方針について申し述べました。
教育委員会は、これらの方針、施策を実現していくために、市長部局との連携を密にして、学校や家庭、地域の理解と協力を得て取り組んでまいります。
議員並びに市民の皆さんの、一層のご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
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