令和7年度教育方針
私は、市長の施政方針を受け、教育委員会を代表して、令和7年度の教育方針を申し述べ、皆さまのご理解をいただきたいと思います。
はじめに
今年度、島根県教育委員会では、教育振興の最上位計画となる「次期しまね教育魅力化ビジョン」の策定に取り組まれています。県と市町村は同じ方向感を持つことが重要なため、計画策定の意見聴取にあたり、私は本市の教育の方向性と重ね合わせながら5つの視点で意見を述べました。
1点目に「ふるさと教育を原点にひとづくりを目指す」理念の継承、2点目に「こども基本法」の理念に沿った教育観の反映、3点目に「地域の子どもは地域で育む」という考え方のさらなる浸透、4点目に教育DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、そして5点目にスピード感を持った教職員の働き方改革の推進であります。
特に、2点目に触れた「こども基本法」の基本理念には、「全ての子どもが個人として尊重され、基本的人権が保障されること」、「子どもが自らのことに直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会や、多様な社会活動に参加する機会が確保されること」などが定められています。
社会的弱者である子どもの人権を考えることは、様々な偏見や差別について考える機会にもなりますので、今後の人権教育や人権啓発に生かしていきたいと考えています。
本市は、改めてそれら5点の視点を念頭に、また、子どもの将来像については、「何を知っているか」ということ以上に「何ができるようになるか」という視点を大切にして教育行政を推進してまいります。
さて、令和7年度は、いよいよコミュニティ・スクールがスタートします。コミュニティ・スクールとは学校運営協議会を設置した学校のことで、「地域とともにある学校」、「学校を核とした地域づくり」を進めるための有効な仕組みであります。
学校と地域がそれぞれの役割を尊重しながら、子どもについて語り合い、熟議して、具体的な実践活動につなげていきたいと考えています。
学校と地域の協働活動がより深まっていくことは、「社会教育」や「ふるさと教育」の充実にも通じるので、児童生徒の声を聴きながら、特に、子どもの社会参加力を高められるような活動に結び付けながら、子どもたちの郷土愛を育んでまいります。
また、大人が子どもの体験活動に関わることは、大人の学びにも通じていきます。本市がこれまで培ってきた「地域学校協働活動」や「はまだっ子共育推進事業」などの土台を大切にしながら、コミュニティ・スクールの質が向上していくように努めてまいります。
スポーツについては、2030年の第84回国民スポーツ大会・第29回全国障害者スポーツ大会の開催に向けて会場整備計画の策定に取り組むとともに、市民の皆さんが日々のスポーツ・レクリエーション活動に取り組みやすい環境づくりを進めてまいります。
文化行政については、「文化財保存活用地域計画」の実効元年となります。本市の重要な伝統芸能である石見神楽の保存・伝承に向けても総合的で具体的な施策を展開していく考えです。
以上のことを踏まえ、今年度、特に力を入れたい具体的な施策を教育振興計画の5つの柱ごとに申し述べます。
1. 学校教育の充実
はじめに、「学校教育の充実」についてであります。
学力育成対策については、児童生徒自ら学びに向かう力を育てることが大切なことから、指導主事による学校訪問などを通じて「子どもの声でつくる授業づくり」を進めてまいりました。
今後も、「国語教育を要としつつ、理数教育の充実に努める」という考え方のもとに、引き続き「協調学習」、「図書館活用教育」、「要約学習」に取り組むとともに、小中学校の算数・数学の授業改善に力を入れてまいります。
また、令和6年度は、理科教育設備整備費補助金を活用して小学校の備品等を整備しましたが、令和7年度は中学校の備品等を整備いたします。
授業改善にはICT機器の活用は欠かせません。紙とデジタルの教材を有効に組み合わせて授業の質を一層高められるように、教員の研修や好事例の紹介などに取り組みたいと考えています。
さらに教育DXの推進にも繋がるAIドリルを導入いたします。これは児童生徒一人一人の理解度に応じて適正な難易度の問題を出題するドリルなので、学校や家庭で繰り返し活用することで「個別最適な学び」に通じていくことを期待しています。
また、教職員の働き方改革にも関連する「部活動の地域移行・地域展開」については、中学生の意見や島根県の方針を踏まえて、本市における方針を策定してまいります。
部活動の地域移行・地域展開は、中学生の部活動を地域が支えるだけでなく、協力団体の後継者育成にもつながる双方向の取組にもなりますので、関係者のご理解とご協力をお願いします。
学校施設の整備については、老朽化した施設の改修を集中的に行い、子どもたちが安全かつ安心して学べる教育環境の改善に取り組みます。
特に、近年の猛暑により、特別教室にもエアコン設置の必要性が高まっていることから、令和7年度に中学校の音楽室から開始し、令和10年度までに各小中学校の理科室や家庭科室など3教室程度の特別教室にエアコンを設置していきたいと考えています。
美川小学校の建替えについては、令和9年度の開校に向け、旧第四中学校の解体を完了するとともに新校舎の建設工事を開始します。
一方で、今後、児童生徒数は大きく減少していく見込みなので、子どもたちにとってより良い教育環境を求めて、スピード感を持って、小中学校の適正配置の検討を進めてまいります。
不登校傾向及び不登校児童生徒への対応については、令和6年度より試行的に「校内フリースクール」を2校に設置し、支援員の配置や環境整備を進めてまいりました。
令和7年度も引き続き支援を行うとともに、学校や教室に入りにくい児童生徒が安心して過ごせる居場所を整えてまいります。
学校給食については、令和5年度に学校給食費を見直しましたが、保護者の負担を軽減するために激変緩和措置を行いました。令和7年度についても国の臨時交付金を活用し、激変緩和措置の継続と価格高騰が続くコメの購入補助を行います。
なお、前回の学校給食審議会の答申に基づき、令和7年度には、令和8年度からの学校給食費の改定についても検討を始めます。
また、学校給食における有機農産物の利用について、全国で有機農産物の利用促進の取組が行われています。
本市も地元農家や関係機関とも連携しながら、引き続き有機農産物の利用に取り組んでまいります。
幼児教育の充実については、乳幼児期は、遊びこむことが重要な学習であり、そのためには、子どもの興味・関心に即した環境に出会わせることが必要と考えています。
こうした考え方がさらに浸透していくように、浜田市幼児教育センターや幼児通級教室の機能を活かしながら、各幼児教育施設や関係機関とともに幼保連携、幼小連携を進めてまいります。
高等学校の魅力化に向けては、HAMADA教育魅力化コンソーシアムの活動を通じて、高校生の地域活動を支援してまいりました。また、市内の高校3校合同による地元中学校への進学説明会も開催してきました。
高校生の地域貢献活動の充実は、進路決定の際の大きな経験となり、その活動の見える化は、中学生の進学意識の向上にも繋がります。高校の定員や教員数を確保し高校の教育力を維持することは、高校生のみならず小・中学生にとっても重要になりますので、引き続き市内の高校への地元進学率向上を目指して取り組んでまいります。
2. 家庭教育支援の推進
次に「家庭教育支援の推進」についてであります。
家庭教育支援については、引き続き、各まちづくりセンターで実施している親子を対象とした体験活動や「浜田親子共育応援プログラム(HOOP!)」により、親自身の学び、親同士の関係づくり、親子の絆づくりが深まるよう取り組んでまいります。
また、家読(家庭読書)は早い時期からの本との出会いの場となります。本を通じた触れ合いで家族の絆が深まり、好奇心や創造力などの子どもたちの豊かな心が育まれ、社会への適応性向上にも繋がっていきます。
家読を推進するため、子どもたちの成長過程や各家庭の状況に応じた様々な場面において、読書に親しむ環境づくりや情報提供に関係機関と連携して取り組んでまいります。
また、小中学生については、1人1台端末を家庭に持ち帰り、各家庭でもAIドリルを活用できるようにすることで、家庭学習の充実を図ります。
AIドリルは、不登校傾向の児童生徒にとっても、自分の理解度に合わせた演習に取り組むことができるので、活用してもらうように働きかけて家庭学習を支援したいと考えています。
引きこもりの子どもや若者の社会参加・自立支援については、各関係機関と連携を図りながら、本人や家族の困り感を丁寧に聴くことに重点を置いた相談対応、自宅から外へ出て気軽に立ち寄れる居場所の確保、いろいろな体験教室の充実などを行ってまいります。
3. 社会教育の推進
次に「社会教育の推進」についてであります。
社会教育を推進する拠点であるまちづくりセンターを中心に、持続可能な地域づくりに積極的に参画する人づくりを進めるとともに、地域のまちづくり団体と連携した実践活動が進むよう取り組んでまいります。
また、令和7年度に小中学校に設置する学校運営協議会と連携・協働し、「地域の子どもは地域で育む」の考えのもと、目指す子ども像や地域のビジョンを共有しながら、「学校・子どもを核とした人づくり・地域づくり」を進めてまいります。
「図書館」については、「第3次浜田市子ども読書活動推進計画」の目標達成に向け、さらに家庭、地域、学校等と連携した取組を進めるほか、ふるさと応援基金を活用し児童クラブ等への貸出サービスを拡充し、読書環境の充実を図ります。また、引き続き郷土資料等の整理に取り組み、整理が進んだものから公開してまいります。
4. 生涯スポーツの振興
次に、「生涯スポーツの振興」についてであります。
本年8月2日から5日まで、全国高等学校総合体育大会体操競技が島根県立体育館を主会場に開催されます。昨年のパリオリンピックにおいても日本チームがメダルを獲得した競技ですので、多くの方の来場が見込まれます。暑さ対策などを徹底し、全国各地から集まる選手やスタッフ、保護者の皆さんにとって満足いただける大会となるよう、地元高校生をはじめ関係の皆さんと一丸となって、運営してまいります。
また、2030年の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催に向け関係団体と連携を深めるとともに、近年大会を開催された自治体の運営等を参考にしながら、円滑な大会運営ができるよう準備を進めてまいります。
スポーツ施設の整備については、浜田市野球場トイレの洋式化など、老朽化した施設の改修を行い、利用者にとって安全で快適な環境づくりに努めてまいります。
サン・ビレッジ浜田アイススケート場については、屋内人工芝施設、または体育館施設として機能を転用し、より多くの若者や子育て世代に利用される施設として活用を図ります。令和7年度には基本計画を策定し、施設の具体的な活用方針について検討を進めてまいります。
また、国民スポーツ大会の開催に向けて、必要な施設整備を行うために、軟式野球の競技会場となる浜田市野球場、三隅中央公園市民野球場、サッカー競技会場となる浜田市陸上競技場、サン・ビレッジ浜田スポーツ広場、三隅中央公園市民陸上競技場を対象とした競技会場整備基本計画の策定に引き続き取り組みます。
5. 歴史文化の伝承と創造
次に、「歴史文化の伝承と創造」についてであります。
芸術文化の振興については、引き続き市内の二つの美術館や文化ホールを活用して、市民の皆さんが芸術文化に触れる機会を提供してまいります。また、浜田市文化協会や芸術文化団体など市民が主体となった活動を支援してまいります。
芸術文化活動は心を豊かにし、余暇の充実にも通じる活動です。子どもたちがそうした活動に関わっていくことで創造性も育まれていきます。学校だけでなく各団体でも子どもたちが芸術文化に触れる機会を提供していただくことは、芸術文化団体の担い手育成にも通じていくものと考えています。
なお、令和7年度は浜田市名誉市民である故山﨑修二画伯のご遺族より寄贈された貴重な絵画の中から、浜田にゆかりの深い作品を中心に企画展を開催し、画伯を広く紹介するとともに功績を顕彰することとしています。
芸術文化施設の整備については、老朽化した施設の改修を進めるため、石央文化ホールの外壁改修工事及び屋上防水工事に取り組みます。
石見神楽の保存・伝承については、石見神楽伝承内容検討専門委員会からの提言を踏まえ、まずは面や衣裳など石見神楽を支えるものづくり技術の文化財指定に向けた調査、市内に散逸している歴史的な石見神楽用具や関係資料の調査、石見神楽の歴史整理に取り組みます。
また、石見神楽保存・伝承拠点については、検討委員会を設置し、拠点の機能や展示活用方法の検討を行います。
浜田郷土資料館の建替えも喫緊の課題であり、教育委員会としては世界こども美術館との複合化案を検討してきましたが、石見神楽保存・伝承拠点との親和性も高いことから、この拠点との複合化や併設について、市長部局と連携を取りながら検討を進めてまいります。
最後に
以上、令和7年度の教育方針について申し述べました。
教育委員会は、これらの方針、施策を実現していくために、市長部局との連携を密にして、学校や家庭、地域の理解と協力を得て取り組んでまいります。
議員並びに市民の皆さんの、一層のご支援ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
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